アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
3日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米国務長官、「イスラエル系企業が運航するタンカーに対する攻撃にイランが関与している」と改めて非難。英首相はイランに「攻撃による影響の責任を負うよう」求め、イスラエル首相は「イランは責任を逃れようとしている」と非難
■ チュニジア大統領、経済・財務・投資相と通信技術相を任命し、「奪われた国民の金銭を取り戻す決意をしている」と述べる。著名な文化人・政治家らは「大統領による例外的イニシアティブは憲法に対するクーデターだ」と声明
■ スーダン、「ルネッサンス・ダムの放流情報の欠如はスーダンの水力発電所にとって脅威である」と述べる。エチオピアは「ナイル川の水の利用を制限するいかなる合意にも署名しない」と表明し、エジプトは拘束力ある合意の締結の必要性を確認
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―オマーン沖で7月29日にイスラエル系企業「ゾディアック・マリタイム」(英に拠点を置く運航会社)が運航するタンカー「マーサー・ストリート」が攻撃された件に関して、ブリンケン米国務長官は、「イランが攻撃に関与している」と改めて述べた。また、ベネット・イスラエル首相は「イランは攻撃に関する責任を逃れようとしている」と非難した。更にジョンソン英首相は「民間の船舶に対する卑劣な攻撃の結末は、イランが責任を負うべきだ」と述べ、世界の国際航路を保護する必要性を強く主張した。
―イラン外務省のハティーブザーデ報道官は、「国家の安全・利益の防衛において躊躇せず、あらゆる冒険的な行為に直ちに実力行使によって反撃する」「イスラエル系企業の(運航する)タンカーに対する攻撃にイランが関与しているとの主張は挑発的であり、何ら根拠がない」と述べた。
―イラン外務省は駐イラン英臨時大使代理を呼び出し、上記の攻撃に関する英の発言に抗議した。これより前、英外務省は、「イランが同タンカーを攻撃した」と非難した後、駐英イラン大使を呼び出した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―マハディ・スーダン外相は、「ルネッサンス・ダムの放流に関する情報の欠如は、スーダン国内の各ダムの水力発電所にとって差し迫った脅威である」「同ダムの貯水と稼働に関する合意に至ることは、必要不可欠だ」と述べた。一方、アエメロ駐スーダン・エチオピア大使は、「エチオピアは、現在の不公平な水の分配が続けられ、将来的にナイル川の水の利用が制限されるいかなる合意にも署名しない」としつつ、「公平な水の利用を保証する合意への署名は否定しない」と述べた。また、シーシー・エジプト大統領は、「拘束力のある合意に至るべきだ」との自国の立場を改めて表明した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ブリンケン米国務長官は、「アフガニスタンにおける和平への唯一の方策は政治的解決だ」「駐留米軍に協力したアフガン人を亡命させるための第1陣が7月30日に米に到着し、第2陣も(2日早朝に)到着した。従って約4百人の移送が完了し、このような移送は継続される」「我々は現在、ビザ取得手続きが完了した亡命申請者千人超とその家族を含めた約4千人の移送に重点を置いている」「ビザの発給要件を満たさないアフガン人がいることも知っており、そのような人々も協力者であり、我々の支援を受ける権利がある」と述べた。
―在カブール・米・英両大使館は共同声明を出し、「タリバンは自身の戦闘員を制御できなければ、次期政府における居場所はない」「タリバンは報復としてカンダハール州スピンボルダックの国境検問所付近で民間人数十人を殺害した。この殺害行為は、犯罪者の処罰を必要とする戦争犯罪に相当する」と表明し、また、アフガニスタンの当事者らに即時停戦を促した。
―アフガンの地元メディアによると、タリバンはヘルマンド州でラジオ・TV局の建物を占拠した。また、治安情報筋によると、ヘラート市中心部で爆発物が爆発し、複数が死傷した。また、国防省報道官によると、政府軍はカーピーサー州ナジュラーブ郡の庁舎を奪還。この情報に関してタリバンはコメントしていない。
○ マグレブ情勢
―サイード・チュニジア大統領は新たな大統領令を出し、クーリー経済・財務・投資相を解任してシハーム・ブーグディーリー氏を新たに任命し、また、カリーム通信技術相を解任してニザール・ビン・ナージー氏を代わりに任命した。
―チュニジア大統領府によると、サイード大統領は「国民の金銭を横領した者全てを処罰する」と約束し、「国民の要求を実現し、事態が正常な状態に回復するまで、義務を順守し続ける」と述べた。
―エルドアン・トルコ大統領はサイード大統領と電話会談し、「あらゆる困難にもかかわらず、議会の機能を維持することはチュニジアや中東地域の民主主義にとって重要だ」「チュニジアの安定と平和の維持は地域の安定にとっても重要だ」「チュニジアにおける民主主義の保護、自由の保障、法の支配の順守は極めて重要だ」と述べた。
―チュニジア国内の多くの文化人・大学生・市民活動家・政治家(マブルーク元文化相や労組指導者アブドッサラーム・キクリー氏など)は国内外の世論に向けた共同声明を出し、「憲法に対するクーデターを断固として拒否する」と表明して、サイード大統領に「恣意的で例外的なイニシアティブを終わらせ、憲法の正当性を回復し、議会の業務を再開させるよう」求めた。また、「憲法第80条によって大統領にこのような権限が与えられていない」として、「個人の自由、人権、報道の自由の相次ぐ侵害」に強い懸念を表明した。
―チュニジアの「人民運動」のハイカル・マッキー議員は、「数時間以内、遅くとも3日には次期首相の名前が発表されるだろう」との見方を示した。また、消息筋は、「サイード大統領は、現在国家が直面している深刻な経済危機を考慮し、首相には経済専門家を任命するだろう」と示唆した。国内ではマルワーン・アッバーシー中央銀行総裁、ニザール・ヤイーシュ元財務相の名前が取り沙汰されている。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―エジプト軍は、シナイ半島北部で「非常に危険なタクフィール主義者」との戦闘を続け、彼らイスラム過激主義者89人を殺害し、多数の武器弾薬、無線、ドローン等を押収した、と発表した。エジプト軍側の被害は1人死亡、8人負傷の由。また、同国南西部にあたる西部国境で、同空軍はテログループに対する先制攻撃に成功し、約200台の武装4輪駆動車を破壊した、と発表した。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―モロッコ政府は2日、夜間外出禁止令(夜9時~朝5時)を含む新たな新型コロナ総合対策を発表した。この制限措置は、感染の拡大しているカサブランカ、マラケシュ、アガディールとの市民の往来を禁止し、飲食店の営業も夜9時までとした。公衆浴場、スポーツクラブ等を閉鎖し、25人以上が集まる催事も禁止。同国ではワクチンの普及もあり5月末ごろまで感染拡大が抑えられていたが、最近新規感染者数が1万人に迫っている(過去最高値)。(アッシャルク・アルアウサト紙ほか)
<特記事項・気付きの点>
―特になし