アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
5日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、「湾岸海域でイラン人がタンカーの乗っ取りを試みた可能性がある」とする。英は航行の安全確保に向けた米との調整を確認。イランは疑惑を否定し、「国際水域における自国の利益を保護する」と言明
■ ベイルート港爆発事件から1年、デモ隊と治安部隊が衝突。国内外で関係者の処罰と新政権樹立を求める声
■ アフガニスタン、「南部ラシュカルガー近郊で米がタリバンを空爆した」と述べる。米はタリバンに暴力行為の継続を警告、タリバンは高官に対する報復を誓う
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―独通信社によると、ガンツ・イスラエル国防相は4日に安保理常任理事国の大使らと会談し、「イランの相次ぐ攻撃を止めるべく、軍事行動を起こす必要性が生じる可能性がある」「外交と経済、更には軍事行動を起こす時だ。さもなければ(イランの)攻撃は続く」「言葉だけでは不十分だ。行動する時がきた」と述べた。こうした中、米、英、イスラエルは(オマーン湾での石油タンカーに対する)攻撃への報復を誓い、イスラエルは「我々は単独で行動する権利を有している」と確認した。
―イスラエル国防相の上記発言を受け、サラミ・イラン革命防衛隊司令官はホルムズ海峡の部隊と南部沿岸域の軍事基地の準備態勢を確認し、「イランを脅迫する敵は、我々の反応は広範で厳しいものになることを知るべきだ」「シオニストエンティティは、その脅迫と発言の危険性を自覚し、政策を見直すべきだ」「イランの海軍、陸軍、ミサイルシステム、無人機、そのすべてがいかなる攻撃にも即時行動する準備ができている」と述べた。
―プライス米国務省報道官は、「イランの脅威に対する今後の外交措置に関して、米はパートナー諸国との調整を続けている」「ブリンケン長官はラーブ英外相と4日に電話会談を行い、航行の自由を標的とするイランの振る舞いに対する反応の調整について協議した」と述べた。
―ラーブ英外相はブリンケン米国務長官との電話会談後にツイッターで、「英米はタンカー『マーサー・ストリート』に対するイランの攻撃を非難する立場で一致している」「この攻撃について、英は安保理議長に書簡を送付した」「安保理は、イランの国際法違反と、安定を揺るがす行為に対応すべきだ」と述べた。
―駐英イラン大使は国際海事機関(IMO)に宛てた書簡で、「イランは航行の安全確保を順守している。これはイラン及び国際社会の利益に資する」「一部諸国が危険な行動と偏った立場を取っている。これらの国々はイランに対して脅迫的な口調を採用しているが、これは国際法に違反し、航行の安全を揺るがすものだ」と述べた。
―レバノン首都ベイルートの港湾地区で起きた爆発事故から1年を迎えた4日、議会議事堂前などの首都各地で事件の真相究明や責任者の追及を求めるデモ隊と治安部隊の衝突が発生し、数十人が負傷した。治安部隊は放水や催涙弾を用いてデモ隊の解散させた。レバノン赤十字によると、議会前の衝突により54人が負傷した。
―レバノンの改革実現に向けた欧米の圧力を主導するマクロン仏大統領は、「レバノンの指導部は、国民に真実を明かすべきだ」「同指導部は『長引かせる政策』に賭けているようで残念だ。歴史的・道徳的な失敗に思える」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ライシ・イラン大統領はアブドルサラーム・ホウシー派報道官とテヘランで会談し、「イエメンに関する決定は、イエメン人の手中にあり続けるべきだ。誰かが代わりに決定を下すことは出来ない」「イエメンは『世界的な怠慢』に対する抵抗の例となった。イスラム共同体及びアラブ世界の誇りだ」と述べた。一方でアブドルサラーム報道官は、「イランとイエメンは一丸となって『怠慢』に立ち向かっている」「イエメン国民は抵抗の道を選んだ。今後もこの方向に力強く進み続ける」と述べた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―レバノンからイスラエルに向けてロケット弾3発が発射されたたことを受け、イスラエルは4日にレバノン南部の国境地帯を空爆した。イスラエル軍報道官はツイッターで、「レバノンからイスラエルへロケット弾を発射した者が誰であろうと、その責任は同国政府にある」「我々の主権が標的とされることは断じて許さない」と述べた。
―国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は声明で、「レバノンからイスラエルに向けて少なくとも2発のロケット弾が発射され、イスラエル軍がレバノン南部の複数地点を空爆を実施した」と確認し、「UNIFIL司令官は各当事者と連絡を取り、攻撃の停止と、情勢の激化を回避するよう促した」「UNIFILはレバノン軍と共に、国境地帯の安全強化に取り組んでいる」と述べた。
一方でプライス米国務省報道は、「レバノンを拠点とする武装集団によるイスラエルに対するロケット弾攻撃を激しく非難する」「事態の鎮静化に向け、米はイスラエルとレバノンと連絡を取り続ける」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン首都カブール中心部で3日夜に起きた、モハマディ国防相の自宅を狙った攻撃について、タリバンは「政府とその高官に対する報復の始まりだ」として犯行を認めた。政府発表によると、自動車爆弾によるこの自爆攻撃でこれまでに民間人8人死亡、25人が負傷した。また、3時間の銃撃戦の末に襲撃犯4人が拘束された。今回の自爆攻撃は、政府とタリバンの交渉開始以降初めてとなる。
―アフガニスタン国防省は声明で、「南部ヘルマンド州州都ラシュカルガーで4日朝、空爆によりタリバンの75人が死亡した」と発表。一方タリバンは、「同市内の市場で火災が発生した」と述べた。また、国防省報道官は、「タリバンのバーミヤン州『知事』が政府軍の空爆により死亡した」と述べた。
―アフガニスタン外務省は、同国の情勢をめぐる国連安保理の緊急会合の開催を呼びかけた。これに先立ち安保理は、タリバンが7月30日に西部ヘラートにある国連事務所を攻撃したことを非難し、暴力行為が激化していることに深い懸念を示した。
―カービー米国防総省報道官は4日、「米はアフガニスタン政府軍を支援するための力と能力を有している。同軍の支援のため、米軍は空爆を継続する」「米はタリバンのアフガニスタンでの活動を監視し続ける」と述べ、「治安状況は依然として憂慮すべきものにある」と指摘した。
―アフガニスタン駐留米軍に協力したアフガニスタン人の国外退避をめぐり、ビザの発給まで協力者らを第三国で待機させる米の方針について、トルコは同国が待機の場所となることを断固拒否する姿勢を示した。ビルギチ・トルコ外務省報道官は、「我々との協議もなしに米が下した無責任な決定を受け入れない」「米が協力者の移送を望むのなら、旅客機で直接行えばいい」と述べた。
これに先立ち、米国務省は2日、アフガニスタン人協力者について、メディア関係者やNGOスタッフ等、米国ビザの取得資格を満たさない人も、難民として受け入れる方針を発表した。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―7月、中国の王毅外相はシリアのアサド大統領「就任式」に出席し、欧米が批判している95.1%の得票率による再選を称賛した。中国は、イランやロシアのように兵力を派遣していないものの、安保理で繰り返し拒否権を行使してアサド政権を支えてきた。王毅外相は「一帯一路」への参加を呼び掛けた由だが、中国は、2500~4000億ドルはかかるとされるシリア復興ビジネスに狙いを定めていると見られている。しかし、国民の8割が貧困ライン以下にあるとされ、孤立を深めているシリアで、復興がどのように可能なのか、疑問の声もある。(アラビーポスト)
中東の新型コロナ動向
―イスラエル政府は、同国の新規感染者数が2日連続で3,000人を超えるなど「第4次」の感染拡大が懸念されているとして、公共の場におけるマスクの着用をはじめとする予防措置を呼び掛けるとともに「最大で2カ月程度のロックダウン」を実施する可能性に言及した。当局者は、政府としてはこの措置は取りたくないが、このまま感染拡大傾向が続けば、実施は止むを得ない、と述べた。この措置によれば、9月からの新学期開始も延期される。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし