アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
6日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 外交筋は「米・英・仏はタンカー『マーサー・ストリート』に対する攻撃に関して、6日に開催される国連安保理の会合で議題とすることを目指している」と確認。イスラエルとイラン間で警告の応酬。レバノンはイスラエルの攻撃的な意志の高まりを指摘し、「交戦規定の変化の責任はイスラエルにある」と警告
■ イラン大統領の就任宣誓の数時間後、米は「核合意をめぐるウィーンでの協議を早急に再開するため、米が外交的解決に向けて取り組んでいる好機をとらえるよう」求め、「そのような機会は永遠には続かない」と警告
■ チュニジア大統領、「後戻りする余地はない」と述べ、大統領顧問は「首相指名に関してまだ最終的な決定は下されていない」と述べる。労働組合は大統領に「可及的速やかに首相を指名するよう」求める
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は、新たに関係者31人が新型コロナに感染した」と発表。一方、東京では感染者数が初めて5千人を超えた。
(スポーツ・ニュース)
関連レポート要旨:オリンピック関係者のコロナ感染者の7月以降の総数は、新たに31人(日本在住23人、外国在住8人)の感染が発表され、358人となった。大会組織委員会は「大会関係者以外と比較して、感染率は低いままだ」としている。同委員会の発表によると、7月1日から8月3日までに空港において4万1千人超の検査が実施され、陽性者数は36人、陽性率は0.09%だった。同時期に54万3千人の検査が実施され、陽性者111人、陽性率は0.02%だった。一方、東京では5日、1日の感染者数が過去最多の5,042人を記録。政府は「大会招致と感染者数の増大に関連はなく、感染力の強いデルタ株の感染拡大が原因だ」とし続けている。
○ イラン・イラク・シリア情勢
―外交筋によると、米・英・仏をはじめとする欧州諸国は、7月29日にオマーン湾で発生したイスラエル系企業が運航するタンカー「マーサー・ストリート」に対する攻撃について、6日に国連安保理の非公開会合で協議することを目指している。外交官らは、「安保理は、この件に関していかなる措置も講じないだろう」との見方を示している。同攻撃では英国人とルーマニア人の2人が死亡し、欧米諸国は、イランに攻撃の責任があるとしている。英、ルーマニア、リベリアは3日、国連安保理に「イランが1機またはそれ以上の無人機を使って攻撃した可能性がある」と(書簡で)伝えたが、イランはこれを強く否定している。
―ガンツ・イスラエル国防相は駐テルアビブ各国大使との面会の中で、「イスラエルはイランを軍事攻撃する準備ができている」と警告し、「イランはイスラエルの脅威であるだけでなく、地域・世界的問題となった」と述べた。また、ラーブ英外相は「イランの状況は、国際的に孤立している」として、「国際的なパートナーとの信頼構築のために
より尽力するよう」求めた。
―ハティーブザーデ・イラン外務省報道官はツイッターで、「イスラエルは現在、イランに対する軍事行動を警告しているが、それはあからさまな国際法違反だ」「イランは自国の権利を侵害するいかなる愚行に対しても、容赦なく反撃する」と述べ、「欧米諸国はイスラエルに無条件で支援を提供しており、それは同国をこのような悪辣な振舞いに向かわせるものだ」と非難した。
―プライス米国務省報道官はイランに対し、「核合意をめぐるウィーンでの協議を早急に再開するために、米が外交的解決に向けて取り組んでいる好機をとらえるよう」求め、「ライシ大統領への米のメッセージは前大統領に対するものと同じであり、シンプルだ。必要があれば、米は国益・安全保障・パートナーの利益を守るつもりだ」「イランの新政府の方針を見守っている」と述べた。
―サキ・ホワイトハウス報道官は、「バイデン大統領は、イラン核開発計画に関して外交的取り組みを前進させ続けることは、米の利益になるとしている」「米はイランとの交渉の第7ラウンドを再開する用意があるが、交渉に復帰するためのスケジュールは永遠に空いているわけではない」と述べた。
―上記の米による発言の数時間前、ライシ・イラン大統領は議会で就任宣誓を行い、「地域への外国の介入は何ら問題の解決にはならず、むしろそれ自体が問題である」「地域の危機打開は、真の地域の対話によるべきだ」「国軍の全要員の強化に取り組み、国益が保障される限り、外交や世界との論理的な協力を含むあらゆる手段を用い、国家の目的を達成する」「イランの核開発計画は平和的なものである」「イランに科された制裁は解除されるべきであり、威嚇によって核開発計画の推進は妨げられない」と述べた。
―アウン・レバノン大統領は、「イスラエルは2006年以来初めて、レバノンの村々を攻撃した。それは(イスラエルとヒズボラに敵対行為の停止を求める)国連安保理決議第1701号の深刻な違反であり、攻撃的な意思が高まっていることを示している」と述べた。また、組閣を委任されているディヤーブ氏は外務省に対し、「イスラエルによるこの爆撃に関して、国連安保理に苦情を申し立てるよう」要請し、「このような爆撃はレバノン南部の国境の平穏を脅かす」「イスラエルはレバノンの主権を繰り返し侵害し、シリア国内を攻撃するためにレバノン領空を使用し続けている」と述べた。
―レバノン国軍は、軍司令官らと国連レバノン暫定軍(UNIFIL)司令部との会合後、レバノン国内の地域に対するイスラエルによる空爆、及びレバノン領空をシリア国内への攻撃に使用していることを非難し、「交戦規定の性質の変化に関してはイスラエルに責任がある」との声明を出した。
関連レポートより:イスラエルは、「空爆した地域(レバノン南部ディマシュキーヤ)から北部の入植地に向けてロケット弾が発射された」として、多くの砲弾による空爆を実施した。砲弾は大きく、深さ10メートルの大きな穴が開き、この地域の農地から村々へ向かう道路は完全に遮断された。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―サイード・チュニジア大統領は穀物管理局局長と面会中、「後戻りする余地はない」「国民の要求をよく知る、誠実で堅実な人々としか対話しない。問題を捏造し、内部から行政に打撃を与えるような者とは対話しない」「意見表明によって誰も逮捕されておらず、権利と自由が侵害されることは絶対にない」「国民の日々の糧を浪費する者等に法を適用する」と述べた。
―ハッジャーム・チュニジア大統領顧問は、「新たな首相に関して最終決定は下されていないが、その方向に向かって迅速に動いている」と述べた。一方、タッブービー・チュニジア労働総同盟(UGTT)書記長は、組閣を急ぐよう求め、政府の不在の危険性とその国家機関への悪影響を警告。また、ナハダ運動は「大統領は政府の不在を無視している」と非難した。
―チュニジアの複数の市民団体は共同声明を出し、サイード大統領に対して、「明確な計画と日程に基づき、市民勢力と協力する行動計画を策定するよう」求め、権力分立の原則を順守する必要性、能力が重視される政府を可及的速やかに組閣する必要性を確認した。また、外国政府によるチュニジアへの内政干渉・主権侵害を非難した。更に、2011年以降の汚職に関して調査する委員会の設置を求めた。声明に署名したのは、チュニジア記者組合(SNJT)、裁判官協会、青年弁護士協会ほか。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダンの北コルドファン州州都オベイドの裁判所は、2年前にデモ参加者を故意に殺害した罪で、迅速支援部隊の6人に死刑の判決を下した。
エリコの目
―エジプト商工会議所総連合の専門家会合は、同国のパンの公定価格を現在の5キルシュ/枚から20キルシュ(約1.3円)に値上げすることが適当であると決定した。値上げ幅は300%。エジプトでは、補助金によってパンが生産されており、25~35%が家畜の飼料に(違法に)転用されるなど問題となっている。シーシ大統領は「値上げの時は来た。タバコ1本の値段でパンが20枚買えるというのは問題だ」と述べた。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
―リビア政府は8月7~9日の3日間、終日の外出禁止令を発令することを決定した。飲食店やスポーツ・娯楽施設、公園等はすべて閉鎖される。これは同国中部、西部に発令され、感染状況の落ち着いている東部、南部には適用されない。同国では7月末より夜間(12時間)外出禁止令が施行中。5日の新規感染者数は1,996人で、1日に記録した4,332人からは半減したが、依然、過去最高の感染拡大が継続している。検査陽性率は、数週間前の50%から約20%に低下した。(アッシャルク・アルアウサト紙他)
<特記事項・気付きの点>
―特になし