アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
11日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ アフガニスタンのタリバン、7つ目の州都プレ・フムリーを制圧。米大統領は、アフガン政府軍に「団結して戦うよう」呼びかけ。ドーハでは、アフガン情勢を協議する拡大国際会合
■ イスラエル国防相、CIA長官との会談を前に、イランに対する国際的な動きを求める。国連報道官は、「イスラエル・タンカーの攻撃元に関し、国際社会の見解は様々だ」と述べる
■ アルジェリア、「14県に広がった火災により軍人25人を含む42人死亡」と発表。内務省は、故意による火災の可能性を指摘
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―日本の昨年の人口は1億2,600万人で、2015年の人口と比較して0.7%減少した。しかし、全国各地に約300の成長している町があり、人口、特に若い世帯の増加に比較的成功している。このことは、人口の減少に苦しむ同国にかすかな希望の光を与えている。これらの町では、若い世帯を引き付けるために、子供のための施設を充実させている。特に千葉県流山市は、保育園の多さや新たな居住者への支援推進によって、5年前に比べて人口が14%超増加し、国内で最も高い増加率を実現した。(0653JST、流山市からの特派員レポートと共に報道)
○ イラン・イラク・シリア情勢
―カービー米国防総省報道官は、ツイッターで「ストロール国防副次官補(中東担当)は、イスラエルのタンカー『マーサー・ストリート』への攻撃がイエメンから実施されたとは確認していない。同副次官補は、この攻撃がイランに起因するものだと明確に指摘したG7の声明と米中央軍司令部の調査に言及したが、これはイエメンへの直接の繋がりを指摘したものではない」と述べた。これより先に、同国防副次官補は「米中央軍司令部が6日、同攻撃に用いられた無人機の残骸と他のイラン製無人機の破片を比較して、同攻撃がイランの支援を受けた無人機攻撃であったと結論づけた」と述べていた。
―ドゥジャリク国連事務総長報道官は、湾岸地域内外の関係諸国に対し「域内の緊張緩和」を促した。同報道官は、米高官が「イスラエルのタンカー攻撃はイエメンから行われた」と指摘したことについて質問を受け、「国連にはこの件を調査する権限はない」とし、「安保理理事国各国には、攻撃元について様々な意見がある」と述べた。
―ガンツ・イスラエル国防相は、レバノン国境の同国軍を視察した際に、世界の主要諸国と各国に対し「イランと同国の域内の手先であるヒズボラを抑えるよう」呼びかけた。また同相は、ヒズボラ書記長が先に「域内の交戦規定を定着させた」と発言したことに対し、「域内の均衡を設定するのはイスラエルであり、他のいかなる勢力でもない」と述べ、「ヒズボラはイランからの指示を受けて、レバノンの治安や国民の食料を利用している」と非難した。
―バーンズ米CIA長官がイスラエルに到着した。3日間の公式訪問で、ベネット首相やヘルツォグ大統領と会談する。イラン核合意をめぐるウィーン協議に関する両国の立場の調整協議を行う予定。同長官のイスラエル訪問は、3月の就任後初。
―米中央軍司令部は、「米空軍とイスラエル空軍が行った合同軍事演習『砂漠の鷲』は今までに類を見ないものだった」とし、イスラエル空軍がHPに公開した演習の画像をツイッターに転載した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル治安部隊は、エルサレムのアルアクサー・モスクに近いシルワーン地区にあるパレスチナ人の住宅2軒を「無許可で建設された」として取り壊した。OCHAによると、イスラエル当局は今年初めからこれまでに西岸地区で420以上(シルワーン地区では26)の住宅・施設を取り壊した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンのタリバンは前進を続け、国内全34州のうち7州の州都を制圧した。各地の状況は以下の通り。
政府筋によると、北部バグラン州の州都プレ・フムリーから政府軍と当局者らが撤退し、タリバンが同市制圧を発表/イランと国境を接するファラー州では、タリバンが「州都ファラーを制圧」と発表。また同市の中央刑務所を制圧し、同組織戦闘員を含む全収監者を解放。政府側は「同市中心部ではまだ戦闘が続いている」と主張/ウズベキスタンと国境を接するバルフ州ではタリバンの攻撃が続く。政府軍は援軍を送り、タリバンが州都マザリシャリフに至るのを阻止しようと取り組んでいる/国防省は、「東部パクティヤ州で政府軍が空爆を実施し、タリバン戦闘員35人が死亡した」と発表/ナンガルハル州では、タリバンが「州内の多数の拠点を制圧」と発表/クンドゥズ、ヘルマンド、カンダハルなどの諸州でも双方の戦闘が続いている。
―カタールの呼びかけにより、アフガニスタンの(和平に向けた)交渉路線を救済するための拡大国際会合がドーハで開かれ、アフガン政府とタリバンの両代表団のほか、ハリルザド米アフガン特使、英・EU・国連、そして中国・パキスタン・ウズベキスタンといった近隣諸国の代表らが参加した。これら諸国の代表らは2度にわたって会合を開き、政府代表団、タリバン代表団の各々と個別にアフガン国内の最新情勢について話し合った。
―アブドラ・アフガニスタン国家和解高等評議会議長(政府代表団長)は、上記会合の後、「タリバンは約束事項に違反して戦争や暴力を激化させ、諸都市を攻撃した」「タリバンには、危機解決に向けて主要問題を協議する用意がない」と述べた上で、「過去48時間にタリバン代表者らと話し、交渉を加速させて政治的解決策を見いだし、仲介者の存在を受け入れることで合意した」と明らかにした。
―ナイーム・タリバン広報担当は、アルジャジーラの番組中の電話インタビューで「タリバンはドーハでの交渉路線に全力で取り組み、その成功に尽力している」「交渉の成功は、全当事者が以前の合意に基づいて約束事項を順守するかどうかにかかっている」と述べた。
―バイデン米大統領は、「アフガニスタン政府の指導者らは一致団結して戦い、自分たちと国を守るべきだ」と呼びかけ、「彼らにはタリバンを大きく上回る能力があるのだから、戦う意思を持つべきだ」と強調、「米はアフガン政府軍への支援を約束する」と改めて確認した。
○ マグレブ情勢
―アルジェリア北部のティジウズ、ベジャイア両県で発生した森林火災による死者が42人に上った。このうち25人は住民の救助にあたっていた軍の兵士。同国内ではここ数時間に多くの州で森林火災が発生している。ベルジュード内相は、「すべての予備的証拠が、この24時間に14州で発生した森林火災の背後に犯罪組織がいることを示している。これらの火災が同時に発生しているからだ」と述べた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―エチオピア政府は、6週間前に一方的に宣言した北部ティグレ州での停戦を破棄すると発表し、軍に対し「ティグレ人民解放戦線(TPLF)に対抗するよう」指示した。アビー首相は、TPLFとの戦闘への「国民総動員」を呼びかけた。
エリコの目
―イラクのカーズィミー首相は、同国が今月末にバグダッドでの開催を呼び掛けている「イラクの近隣諸国首脳会議」の機会に、イランとサウジアラビアの指導層レベルの会合を実現したい考え。これより先、サーレハ大統領は同国の仲介でイランとサウジが複数回、バグダッドで会合したことを明らかにしていた。イラクは、近隣諸国の指導者の会合を開催することで、中東における同国の役割回復を図りたい考え。(RTロシア語)
中東の新型コロナ動向
―イランのコロナ禍対策委員会は、保健相が緊急提案した「2週間の外出禁止令」措置を退けた。イラン国内で史上最高値の感染拡大が続いている中で同委員会が保健相の提案を拒否した理由は不明だが、観測筋は経済原則を優先したのではないかと見ている。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし