2021年8月13日 (No.21135)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

13日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ アフガニスタンのタリバンは新たな地域を更に制圧。米国防総省、「現地の自国外交官を避難させるために兵士3千人を増派する」と発表。ドーハでの国際会合の閉幕宣言では「武力による強要で、政府を承認しない」と確認

■ イスラエル外相、「イランとの核合意に代わる案はない」と述べる。CIA長官はイスラエル政府に「米はイラン核開発計画を理由にイランとの戦争に向かわない」と伝える

(※6時台はアフガニスタン情勢のみを報道したため、ミッドナイト・ニュースはなし)

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―ラピド・イスラエル外相は、「イランとの核合意を支持しないが、代替案を見出せない」と述べた。国内メディアによると、同首相は「イスラエルは核合意に関して水面下で欧米諸国と協議を行っている」と述べつつ、詳細は明らかにしなかった。また、「イランに影響を受けたテロのパターン」が地域で拡大していることに懸念を表明し、イランのライシ新大統領による組閣に関して「アルゼンチン・イスラエル大使館爆破事件(1992年)の責任者を入閣させており、テロリスト政府であることの証左だ」と非難した。

―イスラエル政府高官らによると、バーンズCIA長官はイスラエル政府に「イランが核合意に復帰する機会を捉えるのはより困難になった」と伝えた。米代表団はイスラエル訪問中に、「イランの核開発計画を封じ込めるのに核合意は重要だ」「米はイランの核開発計画を理由に戦争に向かうつもりはない」と述べた。

―レバノンのフッブッラー工業相は、「縮小閣議は、燃料輸入の補助金を継続すべきであり、また、貧困世帯への給付金支給カードに関する法律の施行を直ちに開始すべきだと決定した」と述べた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―タリバンは「ヘルマンド、ヘラート、ガズニ各州の州都を制圧した」と発表。これにより13の州都がタリバンに掌握されたことになる。また、治安情報筋によると、政府軍とタリバンが南部のカンダハール市内で交戦中。

戦況レポート要旨:タリバンは1週間に全部で34の州都のうち10都超を制圧/クンドゥズ州をめぐる戦いの後、現在のタリバンの最大の戦果は、ガズニ州州都ガズニの制圧であり、これは150kmしか離れていない首都カブールにとって脅威である。ガズニは国内における第2の都市で、カブールとカンダハールの間に位置する要所であり、同市を制圧したことにより、タリバンは政府軍のカンダハールに向けた南部の兵站ルートを断つことになる/ムジャーヒド・タリバン広報担当、「州都カンダハールの殉教者広場に戦闘員が到着。戦闘を理由に、市内の空港の全発着便の運航停止が決定された」「ヘルマンド州で戦闘員が刑務所に突入し、全収監者を解放した」「ヘラートの警察署をタリバンが制圧」「バルフ州チャムタール郡でタリバンが政府軍の攻撃を阻止し、交戦中に武器・装備等を奪取」。

―ドーハで3日間続いたアフガニスタンに関する国際会議は閉幕し、参加諸国は「軍事力によって強要されるいかなるアフガン政府も拒否する」と表明。会議には、国連・EUの代表に加え、米・英・独・中など10か国以上からの代表が参加した。以下、閉幕宣言の主な内容:紛争当事者双方は暴力行為を停止し、信頼構築のために措置を講じるべきであり、政治的解決に向けた取り組みの加速化が緊要だ/当事者双方が意見を擦り合わせた、解決のための指導原則に沿って行動することが重要だ/インフラ破壊、違法な殺害行為など多くの犠牲者を出した暴力行為の影響に関する報告に懸念を表明する/紛争が続けば和解は更に困難になる/会議参加者は、実施可能な解決に当事者が至った場合、アフガン復興に関する義務を果たすことを確認する/カタールの取り組みに全面的な支持を表明する。

―EUはタリバンに対し、「武力で権力を掌握した場合、国際社会からの承認は得られず、孤立するだろう」と警告して、「直ちに暴力行為を停止し、建設的・計画的な形で交渉を再開するよう」求め、「タリバンの軍事行動は、ドーハ合意に基づく義務に違反している」とした。

―プライス米国務省報道官は、「アフガン国内での治安の悪化を受け、米は数週間以内にカブールにおける外交官の人数縮小を決定した」「米国防総省はカブールのハーミド・カルザイ国際空港に一時的に兵を増派する予定だ」「ブリンケン国務長官とオースティン国防長官は12日、ガニ・アフガン大統領と会談し、この計画に関する調整について協議した」「在カブール米大使館はまだ開かれたままであり、我々はアフガンでの外交活動を継続する意向だ」「また米は領事館のサービス提供も続けるつもりだ」と述べた。

―カービー米国防省報道官は、「米兵約3千人が増派され、在カブール米大使館の職員の人数縮小(避難)を支援する任務を担う」「兵士らは米中央司令部の傘下に入り、カブールのハーミド・カルザイ国際空港に移動する予定だ」「米はアフガンの国民と領土を守るために、能力を有するアフガン政府軍に対する義務から逃れるつもりはない」と述べた。また、「同空港を空爆支援のために米軍が基地として使用することに関して、何の計画もなく、協議もしていない」「米はアフガン政府軍に空爆を通じて可能な限り支援を提供するが、それはいつまでも可能なわけではない」と述べた。

―英政府は「アフガンから自国民を避難させるため、兵士約6百人を同国に派遣する」と表明。

―タリバンのナイーム政治局広報担当(交渉代表団メンバー)は、「タリバンはアフガン国民に武力で何も強要していない」「一部の州は自発的にタリバンに加わっている」「タリバンはあらゆる国々との対等な関係を望んでいる」「政治的解決のための門戸はまだ開かれている」と述べた。

―NYタイムズ紙によると、米政府高官は「タリバンがバルフ州の州都マザリシャリフを制圧した場合、9月に政府が崩壊する可能性がある」と述べた。また、同紙は「米とタリバン間で、タリバンが国家を支配した場合、(外国の支援を得て)それを維持する見返りとして、在カブール米大使館を攻撃しない(保証を引き出す)ことに関して交渉が行われている」と報じた。

○ マグレブ情勢

―アルジェリア北部で発生した森林火災による死者数は、軍人を含め69人に上った。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―UAE連邦国家評議会の防衛・内政・外交委員会委員長のアリー・ヌアイミ氏(ムハンマド皇太子顧問)は、イスラエル・ハヨム紙へのインタビューの中で、間もなく署名から1年を迎えるイスラエル・UAE関係正常化合意を「UAE国民は開かれた心で歓迎した、両国民だけでなく、中東地域全体にとって門戸を開放するよい機会であった」と述べた。(暴力的過激主義対策を研究するヘダーヤ・センターの会長でもある)ヌアイミ氏は、ニューズウィーク誌に対して「中東や、欧米の報道の中でも誤った言い方がされることがある。ガザ(地区)を占拠しているのはイスラエルではない。ハマスだ。ガザ地区のパレスチナ人を苦しめているのはハマスであってイスラエルではない」と述べたことがある。(RTアラビア語、イスラエル・ハヨム紙)

https://www.israelhayom.com/2021/08/12/adviser-to-uae-crown-prince-israel-ties-comprehensive-growing/

中東の新型コロナ動向

―イスラエル保健省の諮問機関である専門家会合は、先に決定した60歳以上の国民に加えて、50歳以上の国民と医療関係者についてもブースター接種(3回目)を実施すべきと発表した。引用記事にリンクされた動画インタビューでは、次の事実も明らかにされている。
・イスラエルはほんの1か月前に新規感染者数の激減を祝ったが、今では全国規模でロックダウンを実施する提案が真剣に議論されている。
・1か月の感染拡大のスピードは世界記録かと思われるほど急激である。(ハアレツ紙)

https://www.haaretz.com/israel-news/as-experts-debate-israeli-hmo-launches-covid-booster-shots-for-people-over-50-1.10112852

<特記事項・気付きの点>

―各国の特派員や有識者らと中継を結び、アフガニスタン情勢を重点的に報道。

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