アルジャジーラ・モニタリング
＜ニュース・ヘッドライン＞
19日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 外国人とアフガニスタン人協力者の退避が続く中、米軍とタリバンがカブール空港前の群衆を解散させるために実弾とガス弾を発射
■ タリバン幹部、アフガニスタンが評議会により統治される可能性に言及。UAEにいるガニ氏は「和解の取り組みに感謝している」と述べるも、米国務省は「同氏は責任のある立場にいない」とする
■ 独、「タリバン代表団とドーハで協議を行っている」と述べる。英は「タリバンに対する国際的な立場の統一に取り組んでいる」と明かす。米、「タリバンとの開かれた連絡チャンネルが存在する」と明言
■ トルコ大統領、エチオピア首相とティグレ州の危機について協議し、エチオピア・スーダン間の仲裁を提案
＜特定関心項目報道ぶり＞
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平（占領地情勢）
―ガザ地区での停戦定着に向けた取り組みの一環として、カーメル・エジプト総合情報局長官は18日にテルアビブと西岸地区ラーマッラーを訪問して協議を行った。カーメル長官はベネット・イスラエル首相と会談した際に、同首相のエジプト訪問に関するシーシー大統領の正式な招待を伝えた。ラーマッラーでアッバース大統領と会談したカーメル長官は、ガンツ・イスラエル国防相との会談終了後に帰国する見通し。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―外国人とアフガニスタン人協力者の退避が続く中、カブール空港の前に終結している数千人の群衆を解散させるべく、米軍は18日にゴム弾とガス弾を発射した。ロイター通信は、「タリバン戦闘員が空に向けて発砲した。危害を加えるためではなく、群衆の解散が目的とみられる」「NATO筋によると、カブール空港入口付近で18日夜に発生した押し合いにより、民間人の少なくとも17人が負傷した」と報じた。
―ミリー米統合参謀本部議長は18日に開かれたオースティン米国防長官との記者会見で、「カブール空港の治安状況は安定している」「タリバンは米の作戦に介入していないが、米国民の空港への移動を円滑に進めている」と述べた。一方でオースティン国防長官は、「米軍の目的はアフガニスタンからの退避能力の向上だ」「タリバンとの摩擦はこれまでのところ確認されていない」「米軍はアフガニスタン人協力者への支援を順守する」と述べた。
―米国防総省は「カブール空港には現在4500人の米兵がおり、その内700人が過去24時間で到着した。あと数百人がまもなく到着する」「タリバンとの連絡チャンネルが存在する」と発表。一方で米国務省は、「アフガニスタンでのテロ対策」を約束。
―バイデン米大統領はABCニュースのインタビューで、「タリバンは米国民及び外国人の退避を円滑にしているが、アフガニスタン人協力者の退避が困難となっている」「米が退避させたい米国民は約1万～1万5千人、アフガニスタン人は5万～6万5千人だ」「アフガニスタンの映像を見て、迅速に行動して事態および空港を掌握する重要性を理解し、実際にそうした」「混乱を避けてアフガニスタンから撤退する方法は他になかったと思う」と述べた。
―マース独外相はベルリンでの記者会見で、同国の特使が18日にドーハでタリバン代表団との協議の第1ラウンドを行ったと明かし、「同様の協議を行っている米との調整の下、特使は19日に第2ラウンドを行う」「タリバンに影響を与えるべく、独はカタールのような第三者を通じた全てのチャンスの活用を試みている」と述べた。
―ジョンソン英首相は、「現時点でタリバンを評価することは難しい。評価はタリバンの発言ではなく、行動に基づき下される」「英はアフガニスタン国民支援のために5億ポンドを拠出する。同国での体制が変化した事実と向き合うべきだ」「英は国際社会と共に、タリバンへの対応に関する計画の策定に努める」と述べた。
一方でカーター英国防参謀長は18日、「英はタリバンと協力して展開する場所での安全を確保している」「タリバンは空港で退避作戦に協力しており、カブール市内の治安と静寂を保っている」と述べた。
―エルドアン・トルコ大統領は18日に、「トルコはタリバンと協力することに開けている」として、「タリバン幹部による『穏健』な発表内容」を歓迎したほか、「今もカブール空港の安全確保に取り組んでいる」と述べた。
―タリバンは18日に部族長老らとの協議を開始し、全ての政治犯の釈放を決定した。こうした中、タリバン幹部のハシミ氏はロイター通信のインタビューに応じ、「アフガニスタンは評議会により統治され、アクンザダ師が最高指導者であり続ける公算が大きい」と述べた。ロイター通信は「ハシミ氏の描いた構想は、タリバンがアフガニスタンを制圧していた1996-2001年の権力構造に酷使している」と評価。
―UAEは18日夜に、タリバンの首都侵攻を受け国外逃亡したガニ大統領がUAEに滞在していると確認した。UAE外務省は声明で、「UAEは人道上の理由でガニ大統領とその家族を受け入れた」と述べた。
―国外逃亡したガニ大統領は、家族と共にUAEに滞在していることが発表された数時間にフェイスブックで配信した動画で、逃亡の際に多額の現金を持ち出したとの疑惑を否定し、「流血を避けるために出国した」と改めて表明した。
これについてバイデン米大統領は、「ガニ大統領は飛行機に乗って他国へと出国し、米が訓練した政府軍は武器を放棄して崩壊した」とコメントした。一方でシャーマン米国務副長官は記者会見で、「ガニ大統領の滞在に関するUAEの発表を確認した」「ガニ氏は今やアフガニスタンで責任のある立場にいない」「米とUAEの関係は良好だ」と述べた。
―カブールで18日に、タリバンの全土掌握後として初の女性たちのデモ行進が行われた。デモ隊はタリバンの戦闘員らを前に、教育および各分野で働くことに関する権利の確保を訴えた。これに先立ち、タリバンは17日の会見で、「イスラム法に基づいて女性を扱い、権利を確保する」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
＜その他の重要ニュース要旨＞
―エルドアン・トルコ大統領は首都アンカラでアビーアハメド・エチオピア首相と会談し、その後の共同記者会見で、「トルコはエチオピア・スーダン間の危機解決に向けて仲裁を行う用意がある。両国共にトルコの友人であり、対話を行うことが重要だ」「（エチオピア国境付近の係争地）ファシュカをめぐって本日協議したほか、先週会談したブルハーン・スーダン統治評議会議長とも協議した」「エチオピア側とは域内外の情勢や、エチオピア北部ティグレ州の現状について協議した」「トルコは、戦略的に重要な位置にあるエチオピアの平和・安定・統一を重視している」「エチオピアはアフリカの角地域におけるトルコの最大のビジネスパートナーだ」と述べた。
一方でアビーアハメド首相は、両国間の歴史的関係に言及し、「エチオピアはトルコとの関係を重視しており、発展させる用意がある」「トルコは世界的な影響力を有する国であり、国際関係の構造に役割を担っている」と述べた。
エリコの目
ーUAEは、イスラエル企業「パーセプト」社製のドローンを使用して、油田、太陽光発電施設他のインフラの監視を行っている。イスラエル・メディアが報じた。同社はイスラエルで十指に入るドローン製造開発会社。暗号解読やAIを搭載しており、24時間監視が可能。（アラビー21）
中東の新型コロナ動向
ーパレスチナ自治政府の医療当局者は、デルタ型変異株がガザ地区でも感染を広げている可能性を指摘し、これまで、新型コロナ感染の感染は抑えられていたが、最近になり、感染は拡大している。入院加療を要する人の数が急増している、と懸念を示した。当局は、住民がワクチン接種に消極的であること、基本的な予防措置が守られていないことが原因であると問題視している。（アルクゥドス・アルアラビー紙。※感染者統計は、能力的問題もあり信用できないが、ほとんど感染者の出ていなかった7月以降漸増し16日は新規感染者数620人。）
＜特記事項・気付きの点＞
―特になし
