アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
21日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、カブール空港到達を目指す米人とアフガン人を攻撃しないようタリバンに警告し、追加のヘリで空港外からの人々の輸送を進める。カタールは「過去72時間で数百人の学生とジャーナリストを退避させた」と発表
■ 米大統領、「タリバンが国際的な認知を得ることに関し、厳しい条件を科す」と述べる。独首相は「タリバンとの協議は不可欠」、英首相は「必要があればタリバンと共に働く」と発言
■タリバン幹部とアフガン前政府高官らが会合。タリバンは部族指導者や民間の活動家らと会い、「政府の陣容を近々発表する」と予告
■チュニジア大統領、「私に対して諸外国と共謀している勢力がある」「イスラムに基盤を置く政治勢力が国家を攻撃しようとして、私の暗殺を試みるまでに至っている」と非難
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―カブールが戦闘を経ずしてタリバンの手に落ちてから数日、市内の状況は平穏へと向かっている。その一方で、外国への移住を目指す人々が、各国大使館の入り口や空港周辺に未だ押し寄せている。
―米国防総省は、「米人らがタリバンから殴打を受けたとの報道は懸念を呼ぶ。このようなことは受け入れられないとタリバン側に伝えた」と声明した。また、「必要書類を備えた米人とアフガン人が阻害されることなく確実に検問所を通過できるようにすることをタリバンに求めた」としつつ、全体的には問題はなかったとした。
―バイデン米大統領は、「タリバンは国際的な正当性を得ようと試みている」「これを得るための条件は、厳しく困難なものとなるだろう。タリバンがアフガン国民をいかに扱うかにかかっている」と述べた。また、「米が7月以降アフガニスタンから退避させた人数は1万8000人以上だ」と発表し、「米はアフガン人協力者との約束を守る」「退避作業を完了する日を特定し、その日までに終えると約束することは出来ないが、終了に向けてあらゆるリソースを投入する」と表明した。
―米国務省の発表によると、ブリンケン国務長官はカタールのムハンマド外相(副首相兼任)と電話会談を行い、最新のアフガン情勢をめぐって協議した。国務長官は同外相に対し、米国民や米大使館職員、危険に晒されたアフガン人らが同国経由で安全に移動できるようカタールが便宜を図ったことについて謝意を表した。また、地域の安全を推進するカタールと米の強力なパートナーシップを称賛した。
―AP通信が米高官の話として伝えたところによると、米のヘリがアフガン人96人を退避のためカブール国際空港に運んだ。
―ロイター通信によると、タリバン幹部は「タリバンはアフガン人がカブール国際空港から出国することを妨害していない。渡航のための法的書類を所持していないのに空港入口で混乱を増大させている者らを遠ざけているだけだ」と述べた。同空港周辺では、出国を目指して空港に入ろうと試みる数百人のアフガン人を分散させようとして、発砲する様子が見られていた。
―ロイター通信が米高官の話として伝えたところによると、カブールからの退避便の出発が20日に数時間停止していた。カタールのアル・ウデイド空軍基地に8千人が滞在して、収容能力が限界に達し、新たな着陸先が決まらなかったため。その後、米の現場指揮官が航空便の運行再開を指示。バーレーン等が着陸先として含まれた可能性があるが、ロジスティック面での便宜性から、退避便は西欧や南欧、および独のラムシュタイン空軍基地に向かうとみられる。
―カタール外務省のハーテル報道官は、「カタールによるアフガニスタンでの退避作業は続いている」「過去72時間に300人以上の退避が行われた。その大半が女子学生だ。200人以上のメディア関係者も退避した。彼らの多数が家族と同行し、ドーハの安全な場所に滞在している」とツイートした。
―ニューヨーク・タイムズは、「アフガン人ジャーナリストとその家族らをカブールから退避させるにあたり、カタール政府と連携した」と報じた。
―アフガン国家和解高等評議会のアブドラ議長は、「交渉と政治体制に関して、カルザイ元大統領と共にタリバン側と詳細な協議を行った」と発表した。これに先立ち、タリバン幹部の1人が同組織幹部らと前政府高官らの間の協議のための会合の存在を明らかにしていた。タリバンは前政権を構成していた一部の人々に新政府で役職に就くことを提案する予定で、女性も新政府で役割を持つことになるという。
―タリバン政治局メンバーのアナス・ハッカーニ氏(タリバン内の強硬派「ハッカーニ・ネットワーク」の指導者の弟)は、東部ホースト州で諸部族や民間の活動家らと会合した。会合では地元の諸課題や国の将来等が取り上げられたという。
―タリバンのシャヒーン広報担当は中国国際テレビ(CGTN)のインタビューで、「アフガニスタンの全勢力を網羅する政府の樹立に向けて、協議が行われている」と述べた。
―アフガニスタンのガニ前大統領の下で国防相を務めていたモハマディ将軍は、「アフガン政府軍と民衆蜂起軍は、タリバンとの戦闘の末に北部バグラン州の3郡を奪還した」とツイートした。
―ジョンソン英首相は、「必要であれば、英政府はタリバンと協働する」「カブール国際空港の状況は少しずつ改善している」「英政府はアフガニスタンからの自国民の退避に休みなく取り組んでいる」と述べた。
―プーチン露大統領はモスクワでの独首相との共同記者会見で、「アフガニスタンの分解と周辺諸国へのテロの拡大」を警告し、アフガン社会の特殊性を鑑みて民主主義の構築という外部の価値観を押し付けないよう国際社会に求めた。
―メルケル独首相は、「タリバンは権力の座に就いた。彼らと協議を行う必要がある」「優先事項は、独の外交使節に協力したアフガン人らを支援して、今後数日間で独に退避させることだ」と述べた。
○ マグレブ情勢
―チュニジアのサイード大統領は、「イスラムに基盤を置いた政治勢力がチュニジア国家を攻撃しようと試みている。彼らの試みは、私の暗殺計画にまで及んでいる」と非難し、「大統領府のミサイル発射台には、彼らを攻撃するのに十分なミサイルがある」と警告した。
―チュニジア大統領は、国家汚職対策機関のアンワル・ビン・ハサン長官を解任した。同機関の管理・財務の責任者が一時的に職務を遂行する。これより前、治安部隊が理由を告げずに突然同機関の本部を閉鎖し、職員を全員退去させていた。同国のNPO団体「アイ・ウォッチ」(I WATCH)は、この治安部隊の動きへの驚きを表し、同機関にあるファイルには機密データが含まれているとして、汚職を告発した人々の素性を守るため、必要とされるあらゆる予備的措置を取るべきだとした。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―イスラエルのベネット首相が来週訪米するが、「米国のアフガニスタンでの敗北はイスラエルの敵をより大胆にするだろう。イスラエルの安全保障は怪しくなった」とイスラエル紙は伝えている。「バイデン政権は現状、特段の圧力をかけて来ていないが、イスラエルは西岸・入植地からの撤退を米に求められても、見返りに提供される米の安全保障措置に首を縦に振るのは難しいだろう」との見方。(アラビーポスト)
中東の新型コロナ動向
―UAEでは、世界に先駆けてシノファーム製ワクチンを中心とする新型コロナ・ワクチン接種が進んだが、既に、3回目のブースター接種が始まっている。対象は2回のシノファーム製ワクチン接種を完了してから一定期間(首長国により異なる)が経過している国民等。接種センターが長蛇の列、とのツイッター情報もある。(タイムアウト・ドバイ、ツイッター)
―エジプト当局は、エジプト製シノヴァック・ワクチンの接種を9月より開始すると発表した。それまでに500万回分が生産され、年末までには8千万回分を製造できる予定とのこと。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―アフガン情勢を重点的に報道。