アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
22日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イスラエル軍、ガザ地区の各地を夜間空爆。同地区境界付近でのパレスチナ人デモ隊との衝突でイスラエル兵1人が負傷したことを受け、同軍は同境界付近の部隊を増強
■ 米、「カブール空港付近に安全上の脅威がある」として、空港建物外からの代替退避手段を取る可能性を示唆。NATOは「危険に満ちた状況だ」とし、タリバンは「数時間内に空港の状況を改善する」と約束
■ タリバン政治事務所代表、カブールで次期政府の形について協議。タリバンは「法の支配を尊重し汚職のない中央集権体制を望む」と述べる。カルザイ前大統領は、タリバン幹部らと今後の政治的ステップを模索
■ レバノン政府、燃料危機の只中で、燃料輸入への1か月間の補助金提供を決定。アウン大統領は「職務執行内閣首相と包括的経済再生計画について協議した」と述べる
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―レバノン政府は、「中央銀行が燃料輸入への補助金提供のための暫定的な口座を開設する」と発表した。大統領宮殿で開かれた財政・金融に関する臨時会合の後のこと。燃料危機を軽減する目的で、輸入燃料に対し9月末までに最大2億2,500万ドルまでの補助金が支払われる。1ドル=8千レバノン・ポンドの為替レートが適用される。アウン大統領は、「当局は燃料輸入への補助を決定した。その費用の一部を国庫で負担しなければならない」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル軍は、ガザ地区の数か所でパレスチナ抵抗運動の拠点を空爆した。これより先に、イスラエルのガザ地区東部との境界線で、イスラエル兵1人が発砲を受けて重傷を負った。イスラエル警察の声明によると、境界フェンス付近で(下記集会・デモ行進に参加していたパレスチナ人との)衝突が起きた際に、国境警備隊の兵士1人が至近距離から発砲を受けて負傷した。
―イスラエル軍は、「治安状況を評価した後、ガザ地区付近の部隊の増強を決定した」と発表した。パレスチナ人の発砲でイスラエル兵1人が重傷を負ったことを受けての決定と見られる。ガンツ・イスラエル国防相は、「(上記の)南部での出来事は重大なものであり、これに対応する」「我々は、いかなる違反行為もイスラエルの主権に対する侵害も認めない」と述べた。
―パレスチナ保健省は、「ガザ市東部のイスラエルとの境界線地域で市民による大規模行進が行われた際に、イスラエル軍が行進参加者らに向けて実弾やガス弾を発砲し、子供10人を含むパレスチナ人41人が負傷した」と発表した。同地域では、アルアクサー・モスク放火事件から52年にあたって、パレスチナ抵抗運動諸派が集会を開催し、「イスラエルによる同モスクとエルサレムに対する侵害行為とガザ地区
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンのカブール空港周辺では、国外への退避を希望する人々が殺到して混乱状態が続いている。ロイター通信によると、タリバン幹部は「タリバンは同空港にいる外国軍を保護する」「タリバンは、同空港の状況改善と、出国者の32時間以内の円滑な出発のための安全確保を目指している」と述べた。
―カービー米国防総省報道官は、「アフガニスタンからの退避活動を支援するために、米軍が空港の安全境界線の外での活動に出る可能性も排除しない」「カブールと同空港周辺の状況は常に変化しており、治安状況の評価も人々の安全に資する形で変更される」と述べた。米政府は自国民に「安全上の脅威があるため、カブール空港に近づかぬよう」勧告した。IS系組織の脅威があるとされる。
―ボレルEU上級代表は、「米とその同盟諸国が今月31日までに数万人のアフガン人とその家族を退避させることは不可能だ」と述べた。また、「米の治安・監視措置は非常に厳しく、EU職員の空港への通行を阻害している」とし、米に「より柔軟に対応するよう」苦情を申し立てたことを明らかにした。
―NATOの幹部は、「カブール空港からの退避活動は遅々としており、危険に満ちている」「NATOは、いかなる形でも同空港の外でタリバン戦闘員や民間人と衝突することは望まない」と述べた。同幹部は、ロイター通信に対し「タリバンによるカブール制圧以降、各国大使館や援助団体で働いていた外国人とアフガン人約12,000人のアフガニスタンからの退避が完了した」と明らかにした。これより先に、NATOの幹部らとタリバンは「15日以降、同空港とその周辺で少なくとも12人が死亡した」と発表していた。
―AFP通信がカタール当局者の話として伝えたところによると、カタールはアフガニスタンから退避する人々が米・独・英などへ行けるよう便宜を図り、まだその取り組みを続けている。同当局者によると、アフガン人約7千人がカタールに到着し、これから他の諸国に向かうとのこと。
―タリバンの大物幹部は、ロイター通信に対し「数週間以内にアフガニスタン統治の新たなモデルを提示する計画をしている」「国内治安を管理するチームと財政危機を管理するチームを設置して、問題への対応にあたる」と明らかにした。一方、バラダル政治事務所代表は、「包括的な政府」の樹立に向けてタリバン指導部や元政府高官、イスラム法学者らと会合するために、カンダハルから首都カブールに入った。
―タリバンのナイーム広報担当は、ツイッターで「ディラワル師率いるタリバン政治事務所代表団が、カブールで多くの政治家らと会合した」「同代表団は、これらの政治家らの安全を守ると再確認した」と述べた。また同代表団は「タリバンは、法の支配を尊重し汚職のない強力な中央集権体制を望んでいる。そこでは、すべての国民に国家と国民に奉仕する機会が与えられる」と伝えたとのこと。
―(かつて反タリバン勢力を率いた)故アフマド・シャー・マスード元国防相の息子のアフマド・マスード氏は、パンジシール州の地元名士らと会合し、「タリバンと協力するための条件」を含む案を提示した。その後、同州名士らはカブールへ赴き、アブドラ国家和解高等評議会議長と会合した後、タリバン幹部らと会合した。
カブール特派員のレポート:カルザイ前大統領とアブドラ国家和解高等評議会議長は、カブールでタリバン代表団と会合し、新たな政治体制の基盤構築や、いかなる政治・市民勢力も排除しない拡大型の挙国一致政府の樹立、権力の円滑な移譲の準備、国民の(生活)状況の改善、銀行の再開などについて話し合った。今後アフガニスタンがどこへ向かうべきかを示す行程表の準備にも言及した。
―エルドアン・トルコ大統領は、露大統領と独首相から各々個別に電話連絡を受け、アフガニスタン情勢への対応について協議した。一方、EUは「(カブール空港からの退避活動の安全確保のためにタリバンと連絡は取るが)タリバンを承認はせず、同組織と政治協議はしない」「EUの評価は、同組織の発言ではなく行動に基づく」と強調した。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―米フォーリン・ポリシー誌は、「アフガニスタンの崩壊で同じ運命を心配するイラクの人々」と題する記事を掲載。不安の理由は米軍がイラクからの完全撤退を年末までに完了するとしていることで、イラクとアフガニスタンは、①政治が分裂していること②十分な政府軍兵力がないこと③腐敗の凄さを競争するほど、等共通点がある。しかし、その半面米国はイランの拡張主義の脅威を十分認識し、イラクにはその受け皿もある。重要なことは、米国がイラクを見捨てないことだ、イラク高官はカブール空港の映像を見て米国は信頼できないと感じているが、米国以外に頼れない、等と報じた。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―イスラエルからの報道、断片的なるも次の通り。
保健省は、新型コロナウイルスの新たな変異株感染を10件確認した。このうち2人はイスラエル国内在住者で、残りは国外から入国した者であった。
1日あたりの新規感染者数は7,692人。これは141,000件の検査に対するもので陽性率は5.4%。1日あたり死者数は直近週平均で約22人(※エリコにて算出)であった。
ラピード外相は来訪した日本の茂木外相と会談、経済関係に加えて、両国における適切な新型コロナ対策のメカニズムについても話し合った、と発表した。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし