2021年8月23日 (No.21145)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

23日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ カブールからの退避作業が継続。米大統領は「何千人もの退避は長く困難な道のりだ」と説明。タリバンはカブール空港周辺で部隊を増強

■ アフガニスタンで国の将来の政治をめぐる協議。タリバンは幅広い参加による政府樹立に向けて元高官や部族指導者らとの連絡範囲を拡大

■ 米、アフガニスタンのアルカイダによる米国内への脅威の存在を否定。英首相はG7緊急首脳会議を招集。トルコ大統領は難民危機を警告

■ レバノン政府が9月末までの輸入燃料への補助を決定した後、同国でガソリン公定価格が65%引き上げられる。ヒズボラ書記長は「イランから燃料を運ぶ第2の船が数日中に出航する」と発表

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―レバノン当局は、燃料価格を約65%値上げした。前日に大統領宮殿で開かれた会合では、9月末まで燃料輸入を補助するため、政府が中央銀行から最大2億2500万ドル借入すると決定されていた。10月1日からは、輸入燃料への政府の補助金が完全に打ち切られることになる。

―レバノンのヒズボラのナスラッラー書記長はテレビ演説で、「ヒズボラには、石油・天然ガス採掘の能力を持つイランの企業をレバノンの水域に誘致する用意がある」「石油を運ぶイランの第2の船が近日中にレバノンに向かい、他の船もこれに続く」と発表した。また、「湾岸やその他の諸国がレバノンを支援したいと表明したが、米が反対しているため実現していない」として、バイデン政権にこれをやめさせるよう駐レバノン米大使に呼びかけた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―バイデン米大統領は、「数千もの人々をカブールから退避させることは、それがいつ始まったとしても、困難で痛みを伴う任務であり、我々の前には長い道のりがある」「7月以降アフガニスタンから約3万3000人を退避させた」「米はカブール国際空港周辺の状況に関して協力しているタリバンと協議した」と述べた。その一方で、「タリバンの振る舞いが悪ければ、制裁を科すことに賛成だ」と表明した。

―ロイター通信が伝えた目撃証言によると、タリバンの要員らは、カブール国際空港の主要な入り口の前で人々が整然と列に並んで周辺に群がることを避けるよう、上空に向けて威嚇射撃を行い、こん棒を用いた。その結果、空港の前に集まった人々が長蛇の列をなしたが、大きな怪我を負った者は出なかったという。

―タリバンのカブール国際空港における治安責任者であるファーティフ師はアルジャジーラのインタビューで、「7日以内に民間の航空便の運航に対して空港が開かれるだろう」との見通しを示した。また、「人々が空港に入るのを阻止しているのは米人らだ」と主張した。

―タリバンは、「パンジシール州の地元高官らが同州を平和的に引き渡すことを拒んだ後、戦闘員数百人が制圧のため現地に向かった」と発表した。タリバンは、同州の平和的な引き渡しを求めてアフマド・マスード氏との連絡経路を開いており、交渉は継続している。(マスード氏は国内で唯一タリバンの支配が及んでいない同州の指導者で、かつて反タリバン勢力を率いた故アフマド・シャー・マスード元国防相の息子)

―サリバン米大統領顧問(国家安全保障担当)はCNNのインタビューで、「米はカブールの安全保障のため、軍事上のチャンネルを通じてタリバン幹部と連絡を取っている」と述べ、「米人とアフガン人協力者らが空港への安全な経路を必要としていることをタリバンは理解すべきだ。経路が遮断されたら即座に強く反撃する」と警告した。また、「アフガニスタンの状況は悲劇的」と述べると共に、「米情報機関はアフガニスタンのアルカイダが現在米国内に対する脅威になっているとは考えていない」と明らかにした。

―オースティン米国防長官はABCニュースで、「米軍はカブール国際空港が安全であり続けることを確認し、これを防衛する」「米人を空港に運ぶためのあらゆる手段を探す」と述べた。また、「カブール空港内の多数のアフガンの民間人らの映像は非常に憂慮すべきものだった」「これはアフガン政府と政府軍の崩壊が引き起こしたパニックが原因だった」との見方を示した。

―ブリンケン米国務長官はFOXニュースのインタビューで、「先週のカブール国際空港の状況は、入り口の外に多数の人々が集まっていたため、極めて不安定だった」「米は現在空港外の群衆の問題を解決しようとしている」と述べた。また、アルカイダについては、「アフガニスタンから米や同盟諸国に9.11事件のような大きな攻撃を行うアルカイダの能力は、大きく減退した。但し、これはアルカイダの支部がアフガニスタンに存在しないことを意味しない」との見方を示した。

―サキ米大統領報道官の発表によると、バイデン大統領はアフガン情勢を協議するため、24日にオンラインでG7首脳らと会合する。アフガン難民に対する人道支援提供の問題が取り上げられるという。これに先立ち、G7の議長を務めるジョンソン英首相は、アフガン情勢を協議するため緊急首脳会議を呼びかけ、「国際社会は安全な退避作業を保証し、人道危機発生を阻止し、過去20年間に獲得した成果を確保するためアフガン国民を支援しなければならない」と述べていた。

―タリバンのハリール・ウル・ラフマン・ハッカーニ幹部はアルジャジーラのインタビューで、以前出国した元政府高官らの帰国の件で、タリバンが本人たちと連絡を取っていることを明らかにし、「幅広い参加の下での政府樹立に向けて、全勢力との真剣な会議が開かれている」と述べた。また、ロイター通信がタリバン幹部の発言を引用して伝えたところによると、タリバンは今後数日で20州の元知事や官吏らと会合する予定。

―カタールのタミーム首長は、ジョンソン英首相から電話連絡を受け、アフガン情勢を始めとする地域内外の最新情勢をめぐって協議した。両者はアフガン国民の利益のため、協議を続けてアフガンの国民和解と平和的政権移行の達成に向けて努力を強めることの重要性を確認。また、ジョンソン首相はアフガン和平交渉でのカタールの努力について、タミーム首長に謝意を表した。

―ジョンソン首相はトルコのエルドアン大統領との電話会談で、アフガン危機について話し合った。両首脳は「アフガンの新政府は多様な国民を代表し、女性やマイノリティを保護するものであるべきだ」「タリバンについての評価は、言葉ではなく行動の基づいて下される」との共通の認識を示した。エルドアン大統領は「アフガニスタンでのトルコの優先事項は自国民の退避だ」「適切な状況が整えば、カブール国際空港の警備を行う用意がある」と述べ、「国際社会がアフガニスタンおよびイランを筆頭とする周辺諸国の支援に動かなければ、大きな難民危機が到来するのは避けられない」と警告した。

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―キッシンジャーはかつて「米国の敵となることは危険だが、味方になることは命取りだ」と言った。この言葉が当てはまるのは今をおいて他にない、と英人ジャーナリストのピーター・オボーンはミドルイースト・アイに寄稿した。米国のアフガニスタンにおける失敗が同盟国に重大な影響を及ぼしていることを強調している。「米国のアフガニスタンにおける恥辱は、歴史の重要な転換点になるかもしれない」との論旨。(アルクドゥス・アルアラビー紙)

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中東の新型コロナ動向

―イラクでは、21日発表の新規感染者数が3,958人と、ほぼ1か月前の水準まで低下したが、保健省の当局者はこれをもって慢心したり、ワクチン接種をやめたりしないよう呼び掛けた。「最近の傾向は第三波の流行がピークを過ぎたことを示しているが、予防措置を守らないと第四波はより大きな規模で襲ってくる」と警告している。同国では先週シーア派の行事アーシューラーで約6百万人が感染予防措置をとることなく人の密集する行事に参加した。保健当局は1日あたり10万回以上のワクチン供給を行っているが、4000万人の人口規模に対し、接種済の国民の数はまだ280万人程度に留まっている。(アッシャルク・アルアウサト紙)

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<特記事項・気付きの点>

―アフガン情勢を重点的に報道。

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