アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
28日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ カブール爆破テロ、死者175人に。米大統領は新たな攻撃が発生する危険性が高まっているとの報告を受け、軍司令官らに対IS-K攻撃を実施する権限を付与
■ 国際的な退避任務の完了が近づく中、タリバンは「トルコが空港運営の協力要請を受け入れた」と発表し、「カタールに技術的支援を要請する」と述べる
■ 国連、アフガニスタンでの壊滅的な人道状況と、全人口の3分の1を脅かす飢餓を警告し、アフガニスタン人の50万人超が年内に避難を求めることを予測
■ 米大統領、イスラエル首相とホワイトハウスで会談し、「イランとの外交が失敗すれば、他の選択肢を取る」と述べる。イスラエル首相は安堵を示す
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―バイデン米大統領は27日にホワイトハウスでベネット・イスラエル首相と初めて会談した。バイデン大統領は会談の合間に記者団に対し、「イランの生み出す脅威と、核兵器開発阻止について協議した」「外交を第一に取り組んでいるが、外交が失敗すれば他の選択肢を取る用意がある」と述べたが、「他の選択肢」の具体策は明らかにしなかった。
一方でベネット首相は、「米とイランの交渉が頓挫した場合には他の選択肢が存在することについて、バイデン大統領に同意する」と述べ、「イランの核保有を阻止するとの明確な言葉を聞けて嬉しく思う」と安堵を示した。
―イラクのメディアによると、正体不明の集団が27日夜にイラク領内からカチューシャ・ロケット弾3発を発射し、米軍が展開する対クウェート国境地帯の検問所に着弾した。人的被害は報告されておらず、現時点でイラク当局及び米軍の発表はなし。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―カブール空港周辺で26日に起きた自爆テロ攻撃により、これまでに米兵13人と英国民3人(うち子供1人)を含む175人が死亡、200人以上が負傷した。タリバン幹部によると、同攻撃により少なくともタリバン戦闘員の28人が死亡した。
―バイデン米大統領はベネット・イスラエル首相との会談で、「26日のテロ攻撃後の脅威にも関わらず、米軍は退避作業を続行する」「米軍が実行している任務は危険で、決して少なくない人的損害が伴ったが、その任務は非常に重要であり、過去24時間に1万2千人を退避させた」と述べた。こうした中、米大統領府の声明によると、バイデン大統領は米軍司令官らにイスラム国(ホラサン州)(IS-K)に対する攻撃を実施するための完全な権限を付与した。
―サキ米大統領報道官は、「国家安全保障チームは、カブールで新たなテロ攻撃が発生する可能性があり、脅威は依然として活発であることをバイデン大統領に伝えた」「米軍は空港とその周辺で最大限の治安措置を講じている」「我々はタリバンを信頼していないが、もはや信頼の問題ではない。現状としてタリバンがほぼ全土を掌握しており、米には自国民及びアフガニスタン人協力者の退避任務を完了させるためにタリバンと協力するほか選択肢はない」と述べた。
―カービー米国防総省報道官は、「米は、カブール空港に対する脅威が依然として存在するとみている」「26日のテロ攻撃の全容を明らかにすべく、包括的捜査を実施する」「タリバンはカブール国際空港のどの部分も制圧していない。誤報だ」「空港とその各ゲートは31日まで米軍が管理している。タリバンは空港の周辺の警備を担当している」「米政府は国際社会と協力し、アフガニスタン国民にとって最善の結果を保証することに取り組む」「米は今月末以降もアフガニスタンから人々を退避させる複数の方法を見出すだろう」と述べた。
―プライス米国務省報道官は、「タリバン幹部は、『米の外交的プレゼンスを望んでいる』とはっきりと伝えてきた」「このことについて、米はまだ決定を下していない」と述べた。一方でサキ米大統領報道官は、「米及び同盟諸国がタリバン政権を承認することを急ぐ必要はない」と述べた。これに先立ち米は、「承認は、バイデン政権がタリバン以外の政治家が含まれることを望むアフガニスタンの将来的な政府の性質次第であり、同政府が女性の権利を尊重し、テロ対策に努めると約束することが必要だ」と述べた。
―ロイター通信によると、ルドリアン仏外相は「安全確保が困難となったため、仏はカブール空港からの退避任務を完了した」「カブールの仏大使館職員は現在UAEにいる」「今月末以降も退避希望者に許可を与えるよう、仏はタリバン幹部と連絡する」と述べた。パルリ仏国防相も退避任務の完了を発表し、「仏は保護を必要とする者の退避支援を継続する」と述べた。
こうした中、タリバンのシャヒーン広報担当はツイッターで、「タリバン代表団が仏代表団とドーハで会談し、アフガニスタン情勢や政治諸課題について協議した」「タリバン代表団は仏側に対し、アフガニスタン全土で平和が広まっており、学生たちは登校を再開し、メディアも機能していることを伝えた」と述べた。
―タリバン筋はアルジャジーラに対し、「トルコは、空港の運営に関するタリバンの協力要請を受け入れた」「空港の運営をめぐり、タリバンはカタールに対して技術的支援を要請する」と述べた。
―エルドアン・トルコ大統領は27日、「トルコは、大使館の臨時事務所が設置されているカブール空港内でタリバンとの初の協議を行った。協議は3時間半に及んだ」「必要となれば、同様の協議を再び行う」「トルコは、米軍撤退後の空港運営に関するタリバンの提案の評価を行っている最中だ」「タリバン側は『我々は空港の安全を確保し、あなた方(トルコ)が運営を担う』と言っているが、この件についていかなる決定も下していない」と述べた。
―国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のクレメンツ副高等弁務官は27日の記者会見で、「アフガニスタンの人道状況は壊滅的であり、全人口の3分の1が飢餓の危機に瀕している」「アフガニスタンの約50万人が今年末までに難民となる可能性がある」「アフガニスタン難民が流出する可能性に備えて、UNHCRや国連人道問題調整事務所(OCHA)等が避難所などを準備する費用として、年末までに2億9920万ドル(約329億円)が必要だ」と述べ、近隣諸国に「国境を開けるよう」呼びかけた。
一方で世界保健機関(WHO)は、「アフガニスタンで医療支援物資が不足しており、残り数日分しか残っていない」と警鐘。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―カタールのタミーム首長は26日、UAEのタハヌーン・ビンザーイド国家安全保障顧問(ムハンマド皇太子弟)の訪問を受けた。この訪問についてガルガッシュUAE外交顧問は、「同胞友好国との協力と繁栄の橋を繋ぐことが現情勢下の主題であり、UAE が今集中的に取り組んでいることだ。肯定的な未来を見つめ、対立のページを閉じる。シェイク・タハヌーンのカタール訪問は両国の未来と成功がひとつであることを意味している」と述べた。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―本日はお休みします。
<特記事項・気付きの点>
―特になし