アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
30日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、アフガニスタンで死亡した兵士13人の遺体を迎える。米軍、カブール空港近くで車を空爆し、「新たな攻撃を阻止した」と発表。タリバン筋は「複数の市民が死亡した」と述べる
■ タリバン、約100か国に対し、各国の国民のアフガニスタン出国を保証すると強調。米、「アフガンから撤退後、カブールに常駐の外交代表を置く計画はない」と声明
■ シリア南部ダラアに対する砲撃が続く中、住民委員会は政権との交渉が決裂したと発表。「政権側が条件を押し付け、市内侵攻を図っている」と批判
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―シリア南部ダラアの「ダラア・バラド住民委員会」は、アサド政権との(停戦をめぐる)交渉が決裂したと発表。「政権は包囲した地域への砲撃をエスカレートさせ、これにより市民2人が死亡した」と批判した。政権はこの2日間、攻撃を強めている。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジ主導の同盟軍は、ホウシー派がハミース・ムシャイトに向けて放った爆発物搭載の無人機3機を破壊したと発表。サウジのメディアが報じた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―米中央軍司令部は29日、アフガニスタンのカブールで「自衛のための空爆」を行ったと発表した。「イスラム国ホラサン州(IS-K)」による、カブール空港への「差し迫った脅威」を取り除くため、市北部で車両を空爆したという。この車両に大量の爆発物が積まれていたために更に爆発が起きたとし、「一般市民に被害が出たかどうかは調査中」としている。
―上記空爆についてロイター通信は、米高官の話として、「爆発物を積んで、空港に対する攻撃の途上にあった車」を攻撃したと報道。「IS-Kの戦闘員とみられる者たちを標的とした」という。一方、AP通信は米高官の話として、「空港に向かっていた自爆攻撃者たちを無人機で空爆した」と報道。
―タリバン筋はアルジャジーラに、「米軍は29日にカブール北部で2度の空爆を行い、車と住宅を攻撃した」「住宅を狙った空爆では、子供4人を含む市民6人が死亡した」と述べた。
―上記に先立ちアルジャジーラは、「空港周辺の住宅に砲弾が落ち、子供1人が死亡し、3人が負傷した」と報道。地元メディアは「砲弾が住宅に落下し、爆発が起きた」と伝えた。
―カブール空港近くでの26日の2度の自爆攻撃により死亡した米兵たちの遺体が、米デラウェア州の基地に到着した。バイデン大統領、オースティン国防長官、軍幹部ら棺を出迎えた。
―タリバンの幹部はアルジャジーラに、「戦闘員たちがカブール空港の周辺で、空港に至る道路に検問所と防護フェンスを設置した」「空港の100メートル圏内に入るのを許さない」と述べた。これに先立ち米は、空港周辺の治安悪化に警鐘を鳴らしていた。
―ブリンケン米国務長官はABCテレビに、「アフガニスタンで31日の米軍撤退の完了を前に、新たな攻撃が起きる大きな可能性がある」「今後数日、リスクは非常に高い。軍指導部は軍の安全を守るべく取り組んでいる」と述べた。
―サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「9月1日以降にアフガニスタンに米大使館を残すことは計画していない」としつつ、「現場に外交官が存在する状態を保証する仕組みを確保できるよう務める」と述べた。
安全保障・軍事戦略の専門家、リチャード・ワイツ氏(ワシントン)の話:(米軍撤退後の米のアフガニスタンでの大使館・領事館関係業務について)米・イラン間でスイスが行っているように第三国の大使館を通じて対応することを、米側が想定しているとの見方が多い。アフガンでそれを担う国としては、中立のスイスやオーストリア、あるいはトルコが考えられる。この方法により米は、タリバンを公式に承認せず、現場に外交官を置くことなくして領事サービスを提供できるというもの。
―米国務省は、アフガニスタンからの退避作戦に関し、数十の国や機関との共同声明を発表。「我々の国民、我々と共に働いた人々、また生存への危険を感じている人々を出国させる決意」を強調した。「タリバンは、外国人や渡航許可を得たアフガン人の出国を認めると保証した」「退避の対象となるアフガン人への渡航許可の付与は続いている」「タリバンはこの合意を確認する明確な声明を出している」としている。
―タリバン政治事務所のナイーム広報担当は、「我々はこれまでアフガン各地で行ってきたのと同様、パンジシール渓谷の状態を平和裏に解決することに拘っている」「(渓谷を拠点とする)アフマド・マスード氏との交渉が決裂した場合には、アフガニスタン統一に拘る」と述べた。また「アフガンの戦争は終結した。カブール空港での安全地帯設置は必要がない。英仏がそうした地域を設けようとする狙いは不明だ」「将来の政治体制については、数日内に発表される」と語った。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―アルジェリア当局はチュニジアに国境を接する東部テベッサで、チュニジア心の党党首で元大統領候補のナビール・カルウィ氏を逮捕した。カルウィは汚職・資金洗浄の容疑でチュニジア当局に拘束の後、未決留置期間が6カ月を超えたことから2019年10月に釈放されていた。(注:その後、カルウィは、「心の党」幹部らと共に、サイード大統領の特別措置で出国を許されていた。議会活動停止などの緊急事態宣言を延長して窮地にあるサイード大統領にとって、新たな火種か。)(アルクドゥス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―中東諸国20カ国のワクチン接種状況。少なくとも1回のワクチン接種を受けた者の対人口比、8月24日現在(イラクは10日以降データがないため、9日時点での状況に基づく)。
1.UAE 84%、 2.カタール 79%、 3.イスラエル 68%、 4.バーレーン 67%、 5.サウジ 62%、6.トルコ 55%、
(中略)…11.イラン 18%、…16.エジプト 4.2%、17.イラク (データなし)18.スーダン 1.5%、19.シリア1.3%、20.ソマリア 1.2%(Ourworld in Dataより弊社ピックアップ)
<特記事項・気付きの点>
―アフガニスタン情勢を重点的に報道。