2021年9月1日 (No.21154)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

1日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 米大統領、アフガニスタンでの自国の退避作戦を「歴史的」と称賛。「1日の戦費は3億ドルに達し、毎日18人の退役軍人が自殺している」「テロはアフガン域外のものとなった」と述べる

■ 米軍のアフガニスタン撤退の翌日、タリバンはこれを祝い、「新政府樹立の交渉が終了した」と声明

■ カタール外相、アフガニスタンは重大局面にあると指摘し、民間人保護のための国際的協力を呼びかけ。独外相は、「タリバンとの協議は重要。ドーハでこれを継続する」と述べる

■ シリア南部ダラアで反体制派と政権が衝突した後、3日間の停戦で合意。露の軍警察が市街地に入るとの条件

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―シリア南部ダラアの現地筋によると、地元の諸部族の代表団とアサド政権は31日、停戦をめぐる新たな交渉を始めた。これより先、政府軍とこれを支持する民兵組織が、包囲したダラア・バラド(市中心部)への激しい砲撃を続けていた。

―上記の後、ダラアの部族代表団とアサド政権は、包囲された地域をめぐり、9月1日から3日間停戦することで合意した。露の軍警察がダラア・バラドに入り、停戦の確立にあたる。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―エジプト外務省は短い声明で、ローザ外務次官がトルコの呼びかけに応じて9月7、8の両日にアンカラを訪問し、相互関係についての「予備協議」を行うと発表した。両国の「予備協議」は、トルコ外務次官が今年5月にカイロを訪れて以来。

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―バイデン米大統領は演説で、「アフガニスタンでの軍事作戦は終結した」と述べ、退避作戦を「成功し、歴史的だった」と形容した。また「アフガンでの1日の戦費は3億ドルに達し、毎日18人の退役軍人が自殺している」と指摘。「アフガン出国を望む全ての米国人、アフガン人や他の外国人の協力者の退避に責任を持って取り組む」「困難や脅威を伴わない戦争からの退避は存在しない」と述べた。

ワシントン特派員の報告:アフガニスタンからの撤退計画は確かに、米の軍関係者の賛同を得られていない。一方、バイデン大統領の発言から読み取れる主張は、「軍指導部と協議の上で、撤退計画は策定された。計画の中で(テロで米兵らが死傷する等の)不幸や困難は予測されていたため、撤退の過程で実際に起きた事は驚きではない」「軍人たちと策定した計画は、困難を認識の上で、その通りに実行された」というものだ。

退役軍人を中心に米軍界隈の一部が、共和党を支持するTVや、トランプ前大統領時代にできた過激なメディアに出演して、アフガニスタン撤退のあり方への憤りを盛んに表明している。しかし批判者たちが訴える憤りの理由は、米世論を説得するに至っていない。彼らは「混乱の撤退だ」「タリバンの約束は信用できない」「アフガニスタンは今後もテロの輸出拠点であり続け、テロはいつの日か米国にやって来る」と視聴者に語りかけている。しかし軍人たちの撤退反対の主張がどうあれ、ある世論調査では69%が「アフガン戦争は目的を達しなかった」と考えており、この前提は、79%の「アフガンに残っても益はない。撤退する時だ」との回答を導いている。

サキ大統領報道官は「我々は、前に進むことと米国人の退避に集中している」と述べており、批判が先鋭化してもバイデン大統領が方針を変えることはなさそうだ。米世論では、バイデン大統領ではなく、トランプ、オバマ、ブッシュ(子)元大統領への非難もみられる。

―タリバンの戦闘員たちが米軍の軍服を着て、カブール空港内で米軍の残した車両や軍用機を探し回る映像が拡散。ただカービー米国防総省報道官はCNNに、この状況の深刻さを否定。「米軍が残した装備は航空機も含め、全て兵器を取り除いてあり、タリバンには使用できないものだ」と述べた。

―タミーム・カタール首長は31日夜、オースティン米国防長官から電話を受け、両国の戦略的関係や、それをいかに強化するかを話し合った。カタール国営通信によると米長官は、アフガニスタンの和平や同国からの民間人退避へのカタールの支援に謝意を表した。

―アフガニスタンから20年ぶりに全ての外国軍が撤退。タリバンの構成員たちがカブール空港に入った。空港は、出国を求める群衆の殺到やテロ発生に伴う過去数日の混乱から一転、穏やかな状態となった。(空港の軍事・民間両区域から特派員が報告)

―米軍撤退の翌朝、カブールでは人々の日常生活が幾分戻った。一方、カンダハルでは31日夜、米軍を撤退完了を祝う行進が日中に続いて行われ、参加者はタリバンの旗を掲げた。市内各地で花火が打ち上がり、数時間にわたり祝砲が鳴った。

―タリバンのアナス・ハッカーニー幹部は、アルジャジーラの取材に、「政治体制をめぐる協議は続いている」とし、「アフガニスタンへの外国の介入は今後はない」と強調した。以下、発言要旨:(約3分、特派員の質問にアラビア語で答える様子を放送)

この歴史的な日を祝い、神に大いに感謝する。我々、国民、全イスラム共同体にとって、めでたいことだ。我々はこの日のために戦い、努力し、自由を得た。

(新政府の特徴は?女性やタリバン以外の勢力は参加するか?)体制については目下、協議中だ。協議は90-95%終わったところだが、結論が出るまでは語らない。

(米大使館、在米アフガン大使館の再開は?)我々は世界の全ての国と前向きな関係を望む。他国の事柄に干渉したくないし、各国にも、我が国の問題に介入しないことを期待する。全ての国と政治・経済関係を整え、他の国々に大使館を開く用意がある。

(カブール空港の運営は?技術、警備面で運営可能か?)空港は再開され、通常の便の運航が戻るだろう。空港運営の事情を知る前政権の人々と会った。彼らに運営能力があれば、我々はまず、自国民によって段取りを行う。それが不可能なら兄弟の国々と話す。

―ムハンマド・カタール外相はドーハでのマース独外相との共同会見で「アフガニスタン情勢の展開に対応し、民間人を保護するために、国際的に力を合わせて取り組む必要がある」と述べた。また「アフガンは重大な段階に差し掛かっている。タリバンはテロ対策への協力を示すべきだ」と述べた。

―上記記者会見で、独外相は「タリバンとの協議は重要だ。ドーハでタリバンとの議論を継続する」と述べた。また「カブール空港の運営についてタリバンと協議し、解決策を見出さねばならない」「アフガンに関する国際的な協力が必要だ」と語った。

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―UAEのガルガッシュ外交顧問は31日「トルコ大統領とムハンマド皇太子の電話会談は非常に建設的、友好的だった。UAEは同胞友好諸国と安定繁栄の未来を志向して共同行動をとる新たな時代にある」などとツイートした。消息筋は、18日にタハヌーン・ビンザーイド国家安全保障顧問がエルドアン大統領を訪問した後の電話会談で、悪化していた両国関係の完全な鎮静化が実現した、と見ている。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/256361

中東の新型コロナ動向

―イランでは、8月24日に一日の死者数が709人を記録した後も、連日、500人から600人台後半の高い水準が続いている。新型コロナ禍が始まって以来の第5波の死者数は、過去4回と比較しても最大である。SNSを通じて、ワクチン接種率が低いことへの政府の無策が批判されているが、政府は経済制裁のためワクチン輸入が遅れていると弁明している。(2回接種者の対人口比29日現在9.3%)
(アッシャルク・アルアウサト紙他)

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<特記事項・気付きの点>

―特になし

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