アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
8日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ カタール、「アフガニスタンの当事者間の中立的仲介者の役割を続ける」と確認し、カブール空港の稼働再開を検討するために専門家を乗せた2機目の航空機を派遣
■ 英外相、「英はタリバンとの連絡チャンネルの維持を希望」と発言。米は現在、対タリバン制裁の緩和を検討せず。タリバンは「中国からの資金に依存する」とし、中国との関係を「特別」と評す
■ タリバン筋、「タリバンは、マスード氏が提示した自勢力の武装維持と次期政府への参加を求める内容の条件を拒否した後、パンジシール州での大規模軍事作戦の実施を決定した」と明らかにする
■ 欧州諸国国防相、「EUの防衛政策の米への依存」を批判し、緊急派遣のための合同部隊の設置を決定
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―アブドラヒアン・イラン外相は、独・仏・墺の各国外相に対し「核合意をめぐるウィーン協議は、イランの権利と利益を保証するものであるべきだ」「米の無責任な振る舞いは止められるべきであり、EUのネガティブなアプローチも終わらせるべきだ」と強調したことを明らかにし、「ウィーン協議の原則は容認できるものであり、この協議は継続されるだろう」と述べた。またイラン外相は、独外相との電話会談で、「イランは、実際に制裁を解除しイランの権利を保証することになる交渉を受け入れる」と述べた。イラン外務省によると、独外相は「できる限り早急にウィーン協議に戻るよう」呼びかけた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―シーシー・エジプト大統領とアブドラ・ヨルダン国王とアッバース・パレスチナ大統領がカイロで会談した。会談後の声明によると、3首脳は「パレスチナ・イスラエル紛争を、2国家解決に基づき、交渉を再開させることで解決するための努力を強化すべきだ」とし、「入植地建設などの2国家解決を台無しにするイスラエルの違法行為を拒否する」と強調した。また「エルサレムと同市のイスラム教・キリスト教の聖地の歴史的かつ法的な地位を維持すべきだ」とし、「ヨルダンによるこれら聖地の歴史的管理の重要性」を確認した。
―パレスチナ保健省によると、ガザ地区のイスラエルとの境界付近で夜間デモ行進が行われ、イスラエル軍の発砲によりパレスチナ人1人が死亡、15人が負傷した。(0527JST、字幕速報)
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンのカブール空港の稼働再開について検討するため、技術専門家を乗せたカタール機の2機目が同空港に到着した。同様の目的で、1日に1機目が到着している。アフガン民間航空局長は、「国内線の運航は3日から再開されるが、国際線については少し時間が必要だ」「航空局はカタールに、航空輸送における支援を要請するつもりだ。アフガン側はカタールとの間でパートナーシップ協定を結ぶ用意ができている」と述べた。
―アフガニスタン民間航空局長(タリバンの幹部)は、カブール空港の被害状況について「レーダーと管制塔が完全に破壊されている。1日に同空港に到着したカタールの技術チームは、修復作業を開始した。待合室も一部破壊されている。国家空港警察に所属する航空機とその事務所が甚大な被害を受けた。これらの損害は4百万ドルに上ると推定されている」と説明した。
―チャブシオール・トルコ外相は、「タリバンや複数の国から、カブール空港の稼働再開に関する支援の要請を受けた。トルコ政府は現在、この件について評価を行っている。最も重要なのは、空港内外の安全確保だ」と述べた。
―ムハンマド・カタール副首相兼外相は、ドーハでのラーブ英外相との共同会見で「カタールは、アフガニスタンの当事者間の中立的な仲介者としての役割を果たし続ける」「アフガニスタンをめぐる国際的合意を強化するための努力を続ける」と強調した。また、「カブール空港の状況はまだ評価の段階にあり、再開の準備が整う時期を明確にすることはできない」としつつ、「できる限り早急に同空港を再開できるとの希望を持っている」と述べた。一方、英外相は「アフガニスタンを将来的にテロの避難所にさせてはならない」「人権について、タリバンの責任を追及すべきだ」と強調すると共に、「アフガニスタンの新たな状況に順応する必要がある」と述べた。
―カタールを訪問中のラーブ英外相は、アルジャジーラのインタビューで、カタールがドーハからアフガニスタンに関する外交の促進を支援していることに謝意を表し、「英は、タリバンが約束を順守するかどうかを知るために、タリバンとの連絡チャンネルを開いておくことを希望する」と述べた。また、30日に国連安保理で採択されたアフガニスタンに関する決議案の採決を露・中が棄権したことについて、同外相は露・中に「過去20年間に実現した利益の維持に、国際的パートナーと共に、より広範に参加するよう」呼びかけた。更に同外相は「今回のカタール訪問では、タミーム首長、ムハンマド外相と会談し、アフガニスタン在留の外国人と同国民のための安全回廊の設置や、アフガニスタンをテロの拠点にしないための国際的合意を形成する方法などについて協議した」と明らかにした。
―タミーム・カタール首長は、ドーハを訪問したラーブ英外相と会談し、アフガニスタンの情勢展開やカブール空港の稼働再開の可能性について協議した。同外相は、アフガン情勢を協議する目的で、カタールを含む地域諸国を歴訪中。
―アフガニスタン北東部パンジシール州で「人民蜂起」と称する武装勢力を率いるアフマド・マスード氏とタリバンとの交渉が失敗に終わった後、タリバン筋は「タリバンは同州で大規模軍事作戦を開始すると決定した」と明らかにした。同筋はマスード氏が提示した次期政府への参加の条件(同州内で自身の勢力の武装を維持すること、「人民蜂起」勢力に閣僚ポストの3割を与えることなど)を「理不尽なものだ」と評した。
―タリバン政治事務所の創設者で元同事務所代表のタイヤブアーガ氏は、「あらゆるカテゴリー・人種の人々を統治に参加させ、たとえ前政権のものであれすべての若者の能力を生かし、内外から受け入れられる政府を樹立すべきだ」とタリバンを促した。また、国際社会、特にOICに代表されるイスラム諸国や国連、米に対し「アフガニスタンの新たな政権・政府を国家の唯一の正統な代表として承認し、次期政府と外交関係を継続するよう」求めた。
―ムジャーヒド・タリバン広報担当は、「アフガニスタンから外国軍が撤退した後、タリバンは主に中国からの資金に依存することになる」とし、「中国はタリバンの重要なパートナーであり、同国との関係は特別な機会となるものだ。特に、同国には投資や復興ための用意ができているめだ」「中国の支援により、銅鉱山の業務が再開・近代化されることになる。同国は全世界の市場への出入り口とみなされる」と述べた。
―シャーヒーン・タリバン広報担当は、ツイッターで「中国の呉江浩外務次官(補)がタリバンに、カブールの中国大使館を存続させると伝えてきた。呉氏は、『アフガニスタンは地域の安全保障と開発において重要な役割を果たすことができる。中国は人道支援の提供を継続する』と確認した」と述べた。
―プライス米国務省報道官は、「米はアフガニスタン国民への人道支援を継続する」と発表し、「ただしこの支援はタリバンが樹立する政府に向けたものではなく、現地でまだ活動しているこの分野のパートナーら(非政府組織)を通じて提供される。アフガン政府への2国間レベルでの支援は、同政府がアフガン国民の安全な通行やテロとの戦いに関する約束を守るかどうかにかかっている」と述べた。一方、サキ米大統領報道官は「米は現在、対タリバン制裁の緩和を検討していない。米はタリバンをその行動に基づいて判断する」「米は、アフガニスタン情勢に関して取るべき措置について、国際社会との調整を続ける」と述べた。
―国際送金サービス業者のウエスタンユニオン社は、タリバンによるカブール制圧後に停止していたアフガニスタンへの送金サービスを2日から再開すると発表した。ただし、アフガニスタンから他国への送金はまだ停止される。
―スロベニアで2日間にわたって開かれていたEU国防相会合が、緊急派遣のための合同軍の設置で合意して閉幕した。一方、EU外相会合はまだ続いている。どちらもアフガニスタン情勢とそのEUへの影響について協議するもの。ボレルEU上級代表は、「EUは、11月に予定される国防相会合で、緊急派遣のための合同軍設置の詳細について協議する」と明らかにした。EU関係者らによれば、「アフガニスタンからの退避活動に失敗し、米軍に全面的に頼ることになった経験」から学んだことをEUの決定に反映させるもの。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―トルコのチャウシオール外相は「EUが、金を支払ってアフガン難民をトルコに留め置こうと考えているのであれば、協力はできない」と述べ、一時的であってもアフガン難民を滞在させることに否定的な考えを示した。「チャ」外相はEUとの移民に関する協定は「数々の問題を抱えている。状況が落ち着けば、アフガニスタン人の自主的かつ尊厳ある帰還や、シリア人の安全な帰還のために協定の改訂が必要だ」と述べた。オランダ外相との記者会見での発言。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―アブダビ首長国(緊急事態危機災害管理委員会)は、ワクチン接種を完了している入国者(国民、居住者、訪問者すべて)は検疫滞在を免除されるとする新たな措置を発表した。5日より実施される。入国のために必要な措置(渡航前48時間以内のPCR検査陰性証明の提出、入国後の定時のPCR検査等)はグリーン・リスト国からの入国であるか否か等により異なる。非グリーン・リスト国から入国する非ワクチン接種者は10日間の検疫滞在が義務付けられる。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし