アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
5日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ アフガニスタンのカブール空港で、カタールの技術支援の後、国内線の運航再開。駐アフガン・カタール大使は、「国際線も近く再開される」と確認
■ カタール外相特使、カブールでタリバン政治事務所代表と会談し、平和的権力移行の取り組みと包括的政府の樹立について協議
■ 国連事務次長、ドーハでアフガニスタンの人道状況について協議し、来週にアフガン難民支援者の国際会議を開くと発表
■ シリアのダラアで政権側との交渉が破綻した後、同市の住民委員会は、国際社会に住民の安全な退避の保証を要請。政権は、地元戦闘員らの同市からの撤退期限を設定
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ライシ・イラン大統領は、TVインタビューで「我々は交渉を外交のツールとみなしており、交渉には反対しない。ただし、圧力や威嚇の下での交渉は受け入れない」「米は、制裁政策によって何の成果も挙げることができなかった」と述べた。
―地元消息筋によると、シリア政府軍は、シリア南部ホウラーンの名士代表団を攻撃した。同代表団は、シリア政権・露側との交渉を終えてダラア・バラドに戻る途中だった。同代表団は、政権・露側との会合の詳細を報告するためにダラア部族評議会と会合するところだった。同筋によると、ダラア・バラドの住民の強制移住問題については、まだ決着がついていない。
―シリアのダラア住民交渉委員会は、「政権側との交渉が破綻した」と発表した。同委は「政権側が3日前に露主導で至った同委との(停戦)合意の項目に反した(ダラア南部諸地区とその周辺への包囲の解除を実施しなかった)ため、ダラア・バラドの住民のトルコまたはヨルダンへの集団移住の安全確保を露側に求めた」「移住を求めたのは、包囲下にあるダラア・バラドの過酷な状況のためだ」としている。ダラアの住民は、ヨルダンの国王に「介入して政権による殲滅・強制移住作戦を止めるよう」「ヨルダンへの安全な道を開くよう」ビデオで訴えた。また活動家らは、ダラアの住民を守るため、国際社会と国連に介入を呼びかけた。
―地元消息筋によると、シリア政府軍は、地対地ミサイル20発以上でダラア・バラドの各地を攻撃した。親政権メディアによると、政権側は、和解を拒否するダラアの地元戦闘員らに4日の午後4時までに同市から撤退するよう求めていた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジ主導の同盟軍は、「サウジ南部ナジュラーンに向けて発射された弾道ミサイル1発を迎撃・破壊した」と発表した。これより先に、サウジ国営TVは「東部州に対する弾道ミサイル攻撃を阻止した」と報じていた。ロイター通信が消息筋の話として伝えたところによると、同州にあるサウジアラムコ社の施設はミサイル攻撃の影響を受けていないとのこと。その更に前には、サウジのメディアが「同盟軍が、サウジに向けて飛ばされた爆弾を積んだ無人機3機と、ジャーザーンに向けて発射された弾道ミサイル1発を迎撃・破壊した」と報じていた。
―イエメンのホウシー派傘下のメディアは、「サウジ主導の同盟軍が、マアリブ、サアダ両県の複数拠点に対し25回にわたる空爆を行った」と伝えた。
―アブドルアジーズ・サウジ内相がカタール公式訪問のためドーハに到着した。空港で、ハーリド首相兼内相らカタール高官の出迎えを受けた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンの首都カブールのハーミド・カルザイ国際空港で、米軍の撤退後初めて国内線の運航が開始された。まずマザリシャリフ行きの便が飛び立ち、その後ヘラート行きの便が飛び立った。これより先に、カタールの技術チームが、同空港の損傷個所の一部を修復していた。これと並行して、空港経由で人道支援物資を届けるための国際線の運航を促進する「安全な通路」の開設が発表された。駐アフガン・カタール大使は、「国際線の運航も近く再開されるだろう」との見方を示した。また4日、食糧を積んだカタール機が同空港に到着した。
―カフターニー・カタール外相特使は、カブールでバラダル・タリバン政治事務所代表と会談し、アフガニスタンでの平和的な権力移行、包括的政府の樹立などについて協議した。
―ムハンマド・カタール副首相兼外相は、ドーハでグリフィス国連人道問題担当事務次長と会談し、アフガニスタンの人道状況について協議した。両者は、カタールとOCHAの間の調整について話し合った。カタール外相は、人道面での国際的取り組みへの支持を表明し、人道問題での国連との協力を約束した。
―グリフィス国連人道問題担当事務次長は、「国連は、今月13日にジュネーブでアフガニスタン難民支援者会議を開催する」と発表した。またグリフィス氏は、ドーハにあるアフガン難民受け入れ施設の1つを訪問し、最近カブールから退避してきた難民らの状況を視察した。ここは来年カタールで開催予定のサッカーW杯の選手村で、建物の一部が期間限定で難民に提供されている。インファンティーノFIFA会長もここを訪問した。
―ムジャーヒド・タリバン広報担当は、「パキスタン情報機関長官のカブール訪問は、両国間関係の調整のために同長官からの要請で行われたものだ。同長官の訪問は、ドーハのタリバン政治事務所と調整して行われた」「パキスタンは、ハーミド・カルザイ国際空港の運用への支援を申し出た」と述べた。これより先に、イスラマバード特派員は、パキスタン政府筋の話として「ハミード・パキスタン情報機関長官がカブールに到着した。バラダル師を始めとするタリバン幹部と会談する予定だ」と伝えていた。
―米国務省は、「ブリンケン国務長官が5日、カタールを訪問し、その後、独へ向かう」と発表した。同長官は、ドーハでタミーム首長らカタール高官と会談し、同国がアフガニスタンからの米国人やアフガン人の安全な退避を支援したことに謝意を表し、(残る人々の)退避への取り組みの調整やその他の地域の優先課題について協議するとのこと。
―ミリー米統合参謀本部議長は、FOXニュースのインタビューで「米軍のアフガニスタン撤退後、同国で内戦が勃発する可能性がある」との見方を示し、「タリバンがその権力を強固にし、政府を樹立できるかどうかは分からない」と述べた。
―ライシ・イラン大統領は、新内閣の組閣後初めてTVインタビューに応じ「アフガニスタン危機の解決策は、外国からの干渉なしに国民が選ぶ政府を樹立することにある。我々は彼らの決定を尊重し、その政府を承認する」「アフガニスタンでの出来事は、域内の米軍の存在が安全と安定を実現するものではなく、これらを脅かすものであることを証明した」と述べた。
―タリバンによるカブール制圧後3週間にわたり閉鎖されていた同市の中央両替市場で、中央銀行との調整の上、両替商の活動が再開された。
○ マグレブ情勢
―ドベイバ・リビア国民統一政府首相は、軍事検察との会合後「首都トリポリ南部のサラーハッディーン地区で2日前に起きた戦闘(政府側に属する部隊同士の戦闘とされる)に関する調査を急ぐべきだ」と訴え、「この戦闘に関し、必要な法的措置を講じるべきだ」と強調した。一方、内務省はすべての治安機関に対し「自制して、この戦闘に引き込まれないよう」呼びかけた。この戦闘が今後の政治プロセス、特に年末に予定される総選挙に与える影響が大きく懸念されている。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―パキスタンはタリバンのアフガニスタン制圧を歓迎し、クレシ外相はタジキスタン、イラン等近隣4か国を訪問してタリバン政府の国際承認の根回しをした。ユセフ国家安全保障顧問は英サンデータイムズ紙に対し「西側はタリバンを直ちに承認しなければ、新たな9.11事件が起きる」と警告した。外交・情報筋の間では、パキスタンの支援がなければ、タリバンは勝てなかった、という見方が支配的だ。パキスタンのシカル国連(兼豪州)大使は、ムシャラフ元大統領の言葉を引用して「タリバンは、インドに対抗するためにパキスタンが創設した」とツイートした。(アッシャルクルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―サウジアラビアの新型コロナ対策アプリ「タワッカルナ」の使用者が230万人を超え、75カ国以上でサービスが提供されている。当初、ロックダウン中の通行許可を管理する目的で提供されたスマホアプリは、第二段階に入ると、PCR検査予約、ワクチン接種予約、集会コントロール、健康パスポート発行、巡礼サービス、各種証明書ポートフォリオ、情報掲示板等の機能が加わった。第三段階に入った現在は、戦略的パートナー関係の構築、付加価値の追加、世界的な使用の拡大を図っている。(アッシャルクルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし