アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
7日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米の国務長官と国防長官がドーハを訪問。米はカタールを「地域で最も親密な軍事パートナーの1つで、アフガニスタンからの退避の最大かつ第1の拠点」と評価。カブールにはさらなるカタール機が到着
■ タリバン、パンジシール州完全制圧後に「アフガニスタンの戦争は終わった」と宣言。同州の反タリバン勢力指導者は制圧された事実を認めつつ、「戦闘を継続して、タリバンと戦うあらゆる勢力を支援する」と誓う
■ アルジャジーラの検証番組、タリバンの進軍を前にしたアフガン政府の軍事・防衛体制崩壊の最終段階からタリバンのカブール制圧に至るまでの様子を独自の映像で浮き彫りに
■ パレスチナ人の収監者6人がトンネルを掘って難攻不落のギルボア刑務所から脱獄。イスラエルに衝撃が走り、パレスチナからは歓声が上がる。イスラエルは治安要員を総動員して捜索
■G7、チュニジア大統領にメッセージを発して一刻も早い首相任命と憲法秩序への復帰を呼びかけ
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―カタールのタミーム首長はドーハを訪れたサウジのアブドルアジーズ内相および同行した代表団と会談し、両国の関係をめぐって協議した。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―6日未明、イスラエルのベト・シェアンに近いギルボア刑務所で収監されていたパレスチナ人6人が、事前に掘ったトンネルを通って脱獄した。6人のうち5人はイスラム聖戦、残りの1人はファタハに所属。同刑務所は国内で最も警備が厳しい刑務所の1つだったため、イスラエルは事件に衝撃を受けている。初期の調査によると、収監者らがトンネルの穴に入る瞬間が監視カメラに捉えられていたにもかかわらず、監視室にいた看守らは誰1人それに気付かなかった。イスラエルの治安機関は警戒体制を強化し、軍と警察が広範な地域でローラー作戦を実施して6人を捜索している。ベネット首相は事件後の状況と影響を分析するため、治安機関と協議した。同刑務所の当局は、今後数日に広範な調査を行って他のトンネルを探すため、パレスチナ人収監者90人を移送した。
―イスラエル軍の戦闘機がガザ地区南部ハーン・ユーニスの西部と東部の抵抗勢力拠点2か所を空爆した。人的被害は報告されていない。イスラエル軍報道官は、この空爆を「ガザ地区に隣接した地域に飛ばされる『火炎風船』に対する反撃だ」と発表したが、ハマース報道官は「パレスチナ人収監者6人の脱獄に対するイスラエルの無能と失敗を隠蔽しようとする試みだ」だと主張した。同軍は最新のガザとの戦い(今年5月)終了後、同地区を繰り返し空爆している。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―カタールのタミーム首長は、ドーハを訪れた米のブリンケン国務長官およびオースティン国防長官と会談した。首長府の発表によると、この会談ではアフガニスタンの情勢展開と同国の安全・安定強化のための努力をめぐって協議が行われた。両長官はカタール首長に対し、同国のアフガン和平プロセス支援での尽力、ドーハでの米・タリバンの和平協議開催、米国民・同盟諸国の国民・民間のアフガン人の退避作業を円滑にするために果たした主要な役割に対するバイデン大統領の感謝の言葉を伝えた。
―米国務省は声明で、カタールのアフガニスタンに関する協力と退避作業への支援に対する謝意を表し、「カタールの支援は不可欠だった」との見方を示した。また、同国を「アフガニスタンからの退避における第1の、そして最大の拠点」「地域で米に最も近い軍事上の同盟相手の1つ」と評価した。
―カブール国際空港へのカタール機の到着が続いている。アフガン支援のための努力の一環。駐アフガン・カタール大使は、「現地にいるカタールの技術チームは国際線の運航再開に向けて最終調整を行っている」「国際線の運航再開の発表は、アフガニスタン側との連携の下で近々行われる」と明らかにした。
―タリバンは「6日にわたる戦闘の末、パンジシール州を完全に制圧した」と発表し、幹部らが州都バザラックにある州知事事務所前にいる様子を示す映像を公開した。前政府の筋によると、ガニ政権で副大統領を務めたサレー氏は、同事務所がタリバンの手に落ちる直前にパンジシールを離れてタジキスタンに向かった。
―タリバンのムジャーヒド広報担当は、「アフガニスタンの戦争は正式に終わった」「タリバンは国内の全域を掌握した」と宣言した。また、新政府に関しては、「改造や業務遂行状況の改善が容易な職務遂行内閣になる」との見通しを示し、「最終調整を行って数日中に陣容を発表するため、技術的な協議が行われている」と述べた。
―反タリバン勢力「国家抵抗戦線」(NRF)を率いるアフマド・マスード氏は録音音声を公開し、その中でタリバンがパンジシール州を制圧したことを認めて、「タリバンは停戦に関するイスラム法学者らの仲介を受け入れなかった」「過去数日に私の家族の数人がタリバンとの戦闘で死傷した」と明らかにした。また、タリバンとの戦いを続ける意思を表明し、タリバンと戦うあらゆる勢力と協力するとした。国際社会に対しては、タリバンが形成する政府を認めないよう呼びかけた。
―アルジャジーラの検証番組「話の続き」の新たな回(6日0405JST放送)はアフガニスタンの最新情勢を扱い、番組取材班が過去2か月にわたって現地でタリバンの動きを追って撮影した映像を公開した。主な州でのタリバンと政府軍の戦闘を追い、政府の軍事・防衛体制崩壊の最終段階を捉え、タリバンがカブールに到達するまでの様子を描き出す内容。
○ マグレブ情勢
―G7の駐チュニジア大使らは共同声明を発し、同国のサイード大統領に対し、選挙で選ばれた議会が大きな役割を担う憲法秩序に迅速に復帰するよう呼びかけ、チュニジアが現在直面している経済・保健衛生・社会各面での危機の解決に向けて新たな首相の任命を急ぐ必要があると指摘。そうすることで、提案される憲法改正・選挙改革に関する包括的対話への余地が生まれとした。また、大統領が明確な方向性を早急に示すことにより、チュニジアは現在抱えている問題の解決に素早く集中できると伝えた。
―チュニジアのナハダ運動は声明を発し、「サイード大統領が取った例外的な措置は、議会の活動を阻止し、国家を多くの面で中央政府も地方政府もない状態で放置した」として、これを終わらせるよう新たに呼びかけた。また、「この状況から脱出する展望や期日が一切存在しないことで、専制政治の危険性が増す」と警告した。その上で、憲法に定められた一部の国家機関に対する攻撃や、民間人を軍事法廷にかける行為を非難した。
―チュニジアのサイード大統領は、「一部の勢力が治安機関を足場にするため、これに入り込もうとしているが、このような試みは失敗する。治安とは政党を超えたものであるからだ」と述べて、後にこれらの勢力の名前を明らかにすると予告した。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―地元筋によると、スーダン中部ジャジーラ州の「メージャル6」地方で、数日前に同地を襲った鉄砲水のため700軒を超える住宅が倒壊し、数百家族が住居を失った。
エリコの目
―サウジアラビアは、6日、「武器密輸・テロ細胞への所属」容疑で逮捕し、判決が確定していた東部地区の市民アドナーン・シャルファに対する死刑を執行した。同国では先月も「テロ組織を支持し」、警察官を殺害した受刑者一人を「ハッド刑」(シャリーアに基づく断首)により処刑したと発表されている。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
―イエメンのブハイビフ保健相は5日、「イエメンは第三波のピークを迎えつつある」とツイートした。これによると同国の「集中治療室は患者で一杯である」由。(検査と報告の体制が不十分な)イエメンの5日の新規感染者数は52人で、最近で2番目に大きい数字であった。ブハイビブ保健相は国民に対し、新型コロナの脅威を真剣に捉え、自らの命を守るため十分な予防 措置を取るよう呼び掛けている。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし