アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
11日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イスラエル軍、6日にギルボア刑務所から脱獄したパレスチナ人収監者6人のうち2人を拘束
■ 1年以上の政治的空白の末に、レバノンで新内閣の組閣。ミーカーティ氏は「レバノンはアラブ諸国を必要としている」と強調
■ カブール空港を出発した仏人らの搭乗する旅客機がドーハに到着。過去24時間で2機目。仏は「カタールの支援は非常に重要だ」として謝意を表する
■ 「9.11」から20年、その前夜に米国土安全保障長官は「米が現在直面している最大のテロ脅威は国内テロだ」と確認
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―レバノン首都ベイルートの港で昨年8月に起きた爆発事故を受け、当時の内閣が引責辞職して以来1年以上の政治的空白が続いていたが、レバノン大統領府は10日、「アウン大統領と、新首相候補に指名されていたミカティ氏が新内閣樹立で合意した」と発表した。
―(2005年と、2011~2014年に)首相を2度務めているミーカーティ氏は、「レバノンの現状は困難且つ例外的であり、国民が一丸となることが必要だ」「経済・医療・文化・報道分野で実績のある複数を含む専門家24人(うち女性1人)から成る新内閣は、レバノンで起きている崩壊を止めるべく取り組む」「国際通貨基金(IMF)との交渉のためにも、競争と分裂の政治は脇に置くべきだ」「我々全員が絶えるべきだ。レバノンが緊急着陸する飛行機であれば、出来るだけ早く離陸するために乗客である国民に求められるのはしっかりとシートベルトを締めることだ」と述べ、「アラブ世界との断絶された関係を修復することが必要だ。アラブ諸国の支援を得られるよう努める」と強調した。
―アウン・レバノン大統領は10日の組閣発表後の記者会見で、「新内閣の組閣は最良の形であり、全員がどん底から抜け出すことに取り組むべきだ」「燃料不足やパン等の食糧品の価格高騰、貧困、コロナ対策といった基本的な問題の解決から開始する」と述べた。
―レバノンの新内閣組閣に対する各方面の反応:マクロン仏大統領、「レバノンが深刻な危機から抜け出すために不可欠な一歩」として歓迎/グテーレス国連事務総長、「解決すべきことはたくさんあるが、事態の正常化に向けた基本条件である組閣は非常に重要な一歩であり、ミーカーティ氏の幸運を願っている」/ボレルEU外務安全保障政策上級代表、「組閣は経済・金融・社会危機の解決と、待ち望まれている改革の実現に向けた鍵だ」。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル軍は10日夜、ナザレ南部のプレシピス山近くで、ギルボア刑務所から6日に脱獄したパレスチナ人収監者6人のうちの2人を拘束した。逮捕されたのはマフムード・アルアールダ、ヤアクーブ・カーデリー両収監者で、いずれもイスラム聖戦所属。
イスラエル当局はヘリコプターを展開してナザレ南部で捜索を続けており、警察は厳戒態勢の敷かれている各地で検問所を設置している。
―脱獄した収監者2人が拘束されてから数時間後、ガザ地区の活動家らがイスラエルに向けてミサイルを発射した。イスラエル軍によると、ミサイルの飛来を受け警報が鳴り響いたが、防空システム「鉄のドーム」が迎撃し、被害は一切報告されていない。また、パレスチナ人武装集団が10日夜に西岸地区北部ジェニンに設置されたイスラエルの検問所で発砲し、その後逃走した。
―シハーブ・イスラム聖戦報道官は、「拘束された収監者2人の命に対してイスラエルは責任がある」と述べ、「イスラエルによる弾圧を止め、収監者を保護するよう」国際諸機関・諸団体に求めた。また、「パレスチナ人収監者クラブ」のファーリス代表も、「拘束された収監者2人に危害が加えられるようなことがあれば、その責任はイスラエルにある」と述べ、「2人を訪問し、拷問を含む尋問を受けていないことを確認するよう」赤十字社に呼びかけた。。
こうした中、西岸地区の各地や、レバノン国内のパレスチナ人難民キャンプ等でイスラエル当局に対する抗議行動が行われた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン首都カブールの国際空港を出発したカタール航空の旅客機が10日にドーハに到着した。カブール国際空港の国際便の運航再開以降ドーハに到着した2機目の旅客機には、外国人を含む156人が搭乗した。
これに先立ち、8月末の米軍撤退後初となる民間航空便が9日夜にカブール国際空港を出発し、ドーハ国際空港に到着した。同機には米国人や、米の永住権を有するアフガニスタン人、複数の外国人を含む約2百人が搭乗。
―米大統領府は、「カブール国際空港における任務の円滑化において尽力し続けているカタールに感謝する」と述べた。米大統領府高官は、「米国人19人がカタール航空の旅客機に搭乗した。また、複数の米国人と、米の永住権を有する11人が陸路で退避した」と確認。
仏外務省は、「カタール航空の旅客機には仏人49人とその家族が搭乗した」と発表し、退避作業において非常に重要な支援を行っているカタールに謝意を表した。
―ムハンマド・カタール副首相兼外相はチャブシオール・トルコ外相と10日にアンカラで会談し、アフガニスタン情勢や、カブール国際空港の運営再開における両国の支援について協議した。カタールとトルコはタリバンに空港の運営を提案しているが、これまでのところ返事はないものの、両国の技術チームが現在空港の運営を担っている。
ムハンマド副首相兼外相は会談後にツイッターで、「カブール国際空港に関するカタールとトルコの協力は、民間人の安全な退避作業の再開に貢献し、アフガニスタンと世界を結んだ」と述べた。
ムハンマド副首相兼外相は9日に外遊を開始して、これまでにイランとパキスタンを訪問し、訪露も行う見通し。
―9.11事件から20年の前夜に、マヨルカス米国土安全保障長官はABCニュースのインタビューで、「米が現在直面している最大のテロ脅威は国内テロだ。それはつまり、SNS等のインターネット上に蔓延する憎悪や陰謀の思想を基に暴力行為に出る人々だ」「アフガニスタンを含む世界各地のテロの脅威を監視している」と述べた。
○ マグレブ情勢
―モロッコで8日に実施された総選挙で独立国民連合(RNI)が第1党となったことを受け、ムハンマド6世国王は憲法に基づき、10日夜にRNIのアジズ・アハヌッシュ党首に組閣を要請した。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―アフリカ連合(AU)は10日、クーデターでコンデ大統領を失脚させたギニアの加盟資格停止を発表。
エリコの目
ーイスラエル治安当局司令部は、逃走中の6人のパレスチナ人収監者を発見した場合は「生きて拘束する」よう注意する必要があると述べた。「彼らを殺害した場合は、西岸・ガザ地区の第三次インティファーダの引き金となる。それは第一次、二次のそれより大きなものとなるだろう、とのこと。ある将官は、彼らは英雄視、神聖視されている、と述べた。クネセット議員や元閣僚らが、「脱獄者は粛清せよ」と呼びかけていることへの反応。(アッシャルクルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし