2021年9月15日 (No.21168)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

15日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 米国務長官、「タリバン政府に圧力をかけるため、アフガニスタンの資金100億ドルは凍結しておく」と強調

■ アフガン暫定政府の外相代行、「世界各国と良好な関係を望む」と述べる

■ カタール外相、「タリバン政権というだけでアフガニスタンを孤立させ、ボイコットしても解決にならない」と述べ、同国との対話を国際社会に呼びかけ

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イラク西部アンバール県の現地筋は、「シリア領のイラク国境近くで、イラクの武装勢力の拠点が無人機に爆撃された」「今のところ被害の規模は不明」と述べた。イラクのメディアは「爆撃によって激しい爆発が起き、軍用車2台が破壊された」と伝えた。米国防総省、対イスラム国(IS)有志連合軍はともに関与を否定。

―イランの燃料輸送船がシリアのバニヤース港で揚荷を完了。燃料はタンクローリーで陸送され、16日にレバノンに到着予定。この燃料輸送は、親イランのヒズボラのナスララ書記長が明らかにし、書記長は「イランはレバノン封鎖の壁を打ち破った」と称賛した。一方、「地域のある陣営へのレバノンの従属を強め、もう一方との紛争に引き込む危険な措置だ」(ハリーリー元首相)などと批判が出ている。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―イエメン南部アデン県で、基本的行政サービスの低下への抗議行動が、クレーター、マアッラー、カッルーア、シェイク・オスマーン、ダール・サアダ、マンスーラの各地に拡大。UAEが支援する南部移行評議会(STC)の治安部隊は、停電問題の解決を求める人々に威嚇射撃を行い、デモを解散させた。デモ隊はタイヤを燃やして主要道路を塞ぎ、STC、イエメン正統政府(ハーディ政権)、(サウジ主導の)連合軍を非難。

―イエメン東部ハドラマウト県タリームでも、暮らしの悪化に憤る人々が抗議を行い、オマーンに至る国際道路を遮断しようとしたが、治安部隊が解散させた。

―バーレーンのジャラーヒマ駐イスラエル大使は、ヘルツォグ・イスラエル大統領に信任状を提出し、初代大使として正式に着任した。またバーレーン政府は、イスラエル人に入国ビザ取得の便宜を図ると発表。国営ガルフ・エアは先週、マナマ・テルアビブ間の直行便が今月末に週2便で就航すると発表していた。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―ブリンケン米国務長官は、上院外交委員会の公聴会で「アフガニスタン前政権の(在米)資金の凍結を解除してタリバン主導の政府に引き渡すことは、現状ではない」「資金の凍結解除は、タリバンが義務を果たし、国際的に約束を守るか次第だ」と述べた。アフガン政府が米の銀行に保有する資金は約100億ドルとされる。

―米国務長官は、「荒れた展開」となった下院外交委員会での証言で、「アフガニスタン撤退はNATOやEUと調整の上で行った」「米は多くの同盟国と同様、アフガンに関する全ての外交の場をカブールからドーハに移した」「タリバンは人権や渡航の自由に関する約束を尊重すると考える」と述べた。また「撤退は米前政権のタリバンとの合意を引き継いだもので、戦争を終わらせるかエスカレートかの二択を迫られていた」とし、「無秩序な撤退」との非難や辞任要求に反論。

―ムッタキー・アフガニスタン外相代行は、初の記者会見で「米はアフガン国民の財産を酷い形で扱っている」「世界と近隣諸国からの圧力に直面している」と述べ、「アフガン暫定政府への協力、その国民への支援」を国際社会や国際的な金融機関に呼びかけた。また「戦闘は終わり、アフガンは安全だ。投資にあたり懸念することはない」「政策と人道支援を混同すべきではない」と訴えた。また「アフガン領を他国への攻撃に使わせない」との約束を守るとし、「他国の干渉を拒否し、世界各国との友好的関係を望む」と強調。

―アフガン外相代行は記者会見で、国内の人権に関する諸外国の懸念について「理に適っていない」「人権は守られている」と強調。「イスラム法に則り、女性が全ての分野で働くことを認める」としつつ、「そこに達するには、どの国もいくらか時間がかかる」と述べた。

―カタール機によるドーハ・カブール間の運航が継続。カタールからアフガニスタンに更なる支援物資(地方諸州にも分配される食糧など)を搬入し、ドーハへの復路便で多数のアフガン人が出国した。一方、カブールと国内諸都市を結ぶ便も通常運航している。

―カタール慈善協会、カタール開発基金は、アフガニスタン各州からカブールへの避難者を対象に、空輸した食糧などの配布を始めた。初回の配布では約600家族が裨益。

―ムハンマド・カタール外相は、ドーハでスペイン外相と共同記者会見し、「アフガニスタンを孤立させ、ボイコットしても解決にならない」と指摘。また「タリバンの支配を理由に関係を断つべきではない。長らく危機にある国に対するボイコットは甚だしい過ちとなる」とし、国際社会にアフガンとの対話を呼びかけた。

―カタール外相は、カブール空港の運営について、「カタールとトルコは空港の技術的修復を行ったが、依然として空港運営をめぐっては交渉中だ」「運営の責任を担う前に、合意が必要な多くの側面がある」と述べた。

―ボレルEU上級代表は欧州議会で、「現在、タリバンを承認することなくタリバンと交渉する以外に選択肢はない」と述べた。また「治安が改善すればカブールにプレゼンスを持つ」との意向を示した。

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―オースティン国防長官のサウジ訪問延期はサウジ側が拒否したもので、米国の湾岸防衛軽視路線へのサウジの不満を反映。ロイターは「匿名の湾岸政府高官が『アフガニスタンは我々が耐えなければならない破滅的な地震だ。我々は本当に今後20年間、米の安全保障の傘に頼れるのか?それは実にいばらの道だ』と述べた」と報道。3日前、トルキー王子(元サウジ情報局長官)は、米に(ミサイルシステム)サードを引き揚げないよう求め、「かなわない場合は、別の支援を求める道もある」と述べていた。また、サウジ政府の情報をよくツイートすることで知られるサッターム・ビンハーリド王子は、「オ国防長官の訪問が延期されて、代わりにロシア議会国際問題委員長が訪問した。偉大なサウジは、誰からも指図されない。相互の敬意と利益に基づいて行動する」とツイートした。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/257385

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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