アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
17日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米と仏間の外交危機。仏は「米・英・豪の防衛協力の合意について、事前に知らされていなかった」と述べ、豪による仏との原子力潜水艦に関する契約の破棄を「裏切り行為」と評す。米は同合意を賞賛しつつ、欧州諸国との協力の継続を確認
■ カブールでの国連代表団との会談中、タリバンは国連による制裁の解除と、ブラックリストからの削除を求める。近隣諸国はアフガニスタンでの状況悪化について協議
■ ルネッサンス・ダムに関する国連安保理の声明が出された後、エチオピアは「原則宣言」の堅持を確認。エジプトは「AUから次期の路線を決めたビジョンを受け取った」と述べ、スーダンは交渉による解決を確認
■ イエメン南部アデンで生活状況の悪化に抗議するデモが5日連続で実施される。ハドラマウト地元当局は、部分的外出禁止令を出す
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―レバノンにヒズボラの手配によって、シリアのバニヤース港経由でイラン産の燃料を積んだタンクローリーの車列が入った。これに先立ち、ナスララ・ヒズボラ書記長は、「シリアにイランの燃料を積載した船舶が到着する予定で、レバノンの燃料危機を打開する支援のため、積み荷がレバノンに搬入される」と述べていた。しかし、この措置は国内で大きな論争を引き起こし、米の制裁対象となっているイラン産燃料の輸入の影響について、「新たな政争の波に飲み込まれる可能性がある」との警戒した見方もある。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメン南部アデン県各地で、生活状況の悪化に抗議するデモが再び実施された。クレーターとタワーヒーで再発した抗議デモでは、参加者が、経済状況の改善・物価統制・自国通貨の下落阻止を求めた。
―アデン市で、15日の抗議デモ中に「南部移行評議会(STC)」傘下の部隊の発砲により、最初に死亡した18歳の若者の葬儀が営まれた。葬列者らはSTCを非難し、抗議する人々に対する弾圧行為を止めるよう求めた。また、生活状況と公共サービスの悪化を食い止める断固とした措置を講じるよう求めた。
―イエメン東部ハドラマウト県タリームで、生活・経済状況の悪化に抗議する人々が、オマーンとの国境にある検問所に至る主要道路を封鎖し、商品を積んだトラック数十台が足止めされた。
―ハドラマウトで、拘束されている抗議者たちの解放を求めるデモを治安部隊が解散させようとして発砲し、1人が死亡した。バフサニー・ハドラマウト県知事は、県内での午後8時~午前6時までの外出禁止令を発表。知事広報事務所によると、外出禁止令は無期限とのこと。同県ではここ1週間、知事の解任と公共サービスの改善を求める抗議デモが実施され、治安の混乱が続いている。
○ エジプト情勢
―エチオピアのムフティ外務省報道官は、「エチオピアはルネッサンス・ダムをめぐる交渉の再開を歓迎するが、それは、ナイル川の水資源の公正・公平な使用の原則に基づく」「同ダムに関する国連安保理の声明には拘束力がなく、それに基づくいかなる要求にも関心はない」「2015年の原則宣言の合意は、エジプトとスーダンとの対立解消のために最適な方策であり、AUの現議長国コンゴの外相が3か国歴訪を終えた後、交渉が再開されるだろう」と述べた。
―エジプト大統領府は声明で、「安保理の声明とその拘束力のある性質は、交渉プロセスを成功させるための取り組みを推進する重要なものだ」と表明。シュクリー外相はコンゴ外相との共同会見で、「近いうちに交渉のテーブルに戻ることを望む」「次期の路線を決めたAU議長国によるビジョンを、コンゴ外相から受け取った」と述べた。
―スーダン外務省は「当事3か国が、ルネッサンス・ダムに関する安保理の声明によって促され、AU主導の下、新たな方針や具体的な政治的意志に基づいて、できるだけ早く交渉を再開することを望む」「スーダンは、AU主導による交渉を再開させ、当事諸国をダムの貯水・稼働に関する拘束力ある合意に至らせるプロセスに参加する用意がある」と改めて表明した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン暫定政府情報機関トップのアブドルハック・ワシーク氏は、国連アフガニスタン支援ミッションのライオンズ代表(国連事務総長特別代表)、ミショー国連事務次長(安全・保安問題担当)と会談し、国連職員の安全確保のための方策、ISの脅威、人道支援物資を届ける重要性について協議した。
―アフガニスタン暫定政府のシラージュッディーン・ハッカーニー内相代行は国連代表団に、新政府を承認するための措置を講じること、ブラックリストからのタリバン・メンバーの削除、全制裁の解除、ドーハ合意の履行を求め、「世界の全ての国々との相互尊重の関係を望む」と述べた。一方、国連代表団は、アフガニスタンへの支援提供の継続を確認し、一時停止していた、国連が資金を提供しているプロジェクトの作業再開を約束した。
―露外務省は「アフガニスタン情勢をはじめとする緊急を要する国際情勢を協議するために、タジキスタンの首都ドゥシャンベで、露・中・パキスタン・イランによる外相級の会談が予定されている」と発表し、「戦後の段階におけるアフガニスタン再建の費用の大部分を米が負担するよう」求めた。また、「アフガニスタン人同士の対話の開始、包括的政府の樹立により状況を打開することを目的として、アフガニスタンへの必要な支援の提供を推進する」と述べた。ザハロワ露外務省報道官は、「露にとって、露・米・中・パキスタンを含む『拡大版トロイカ』が主題であり続けている。また、アフガニスタン近隣諸国など地域の11カ国を含む露が作った枠組みにおいて、(アフガニスタンの問題解決に関する)取り組みを計画している」と述べた。
―タジキスタンの首都ドゥシャンベで、露・中国・パキスタンの外相が会合し、イラン外務次官も参加。ラブロフ露外相は、アフガンスタンの近隣諸国によるアフガニスタン国民への支援とその影響力に満足を表明し、「近隣諸国に脅威を与えることなく、アフガニスタン人が自決できる状況を作り出すことは可能だ」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―在米仏大使館の報道官は、「豪が米の原子力水戦艦を得ることができる米・豪・英の新たな同盟について、米によって事前に知らされていなかった」と非難した。また、ルドリアン仏外相は、豪が仏との原子力潜水艦に関する契約を破棄したことを「背中から刺された。信頼を裏切られた」と述べた。
―ブリンケン米国務長官は、「米・英・豪は、バイデン大統領が発表した『AUKUS』において、防衛・安全保障分野での協力を強化する」と述べた。サキ・ホワイトハウス報道官は「米はインド・太平洋地域における安全保障のため、欧州のパートナーや同盟国と協力を続ける」「米は仏との関係を評価している」「米は仏当局者らと、豪に潜水艦を売却する契約をする前に(そのことについて)話をした」と述べた。
―ソマリアのファルマージョ大統領は、「憲法に違反した」としてロブレ首相の権限を停止した。大統領府の声明によると、「(来月予定されている選挙が終わるまで)首相はいかなる官吏の解任・任命もできない」とし、また、閣僚らに対して「通常通り、任務を遂行するよう」求めた。一方、首相は声明を出して権限停止の決定を拒否し、「大統領は政府の憲法上の職務と、選挙の実施を妨害した」と非難した。
エリコの目
―イスラエルのベネット首相がシャルムエルシェイクでシーシ大統領と会談したが、これはイ・エ間の首脳会談としては10年ぶり。前任者ネタニヤフの時代に起きたガザ・エルサレム紛争で判明したことは、ヨルダンから地中海、ガザに至る地域に分布する700万人のパレスチナ人は一体であり、この問題に「解決」を見出さないと、米国のコミットメントが後退する中、イスラエルは存亡の危機を迎えるということ。 イスラエルには、ガザ地区の生活環境改善計画があり、エジプトも、ガザ地区との境界線を開き、ガザ地区住民の苦悩を和らげる施策が期待される。(アルアラブ紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし