2021年9月20日 (No.21173)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

20日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ アフガニスタン東部での連日の攻撃につき、ISが犯行声明。国連総長は「国連は人道支援配布のためにタリバンと関わっている」と説明

■ 豪の仏との潜水艦契約破棄をめぐる同盟諸国間の危機が継続。英仏の国防相会談は仏側がキャンセル。米仏首脳は電話会談へ

■ リビア国家最高評議会、12月下旬実施予定の大統領・議会選挙に係る憲法上・立法上の規定を承認

■イスラエルの裁判所、ギルボア刑務所から脱獄して再逮捕されたパレスチナ人収監者2人につき、取り調べのため勾留期間を10日間延長。パレスチナ側は収監者らの生命を危険に晒さないよう警告

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―特になし

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―イスラエル北部ナザレの裁判所は取り調べのためとして、パレスチナ人のムナーデル・ヌフィーアート、アイハム・カマムジー両収監者の勾留期間を10日間延長した。2人は他の4人の収監者と共にギルボア刑務所から脱獄していたが、イスラエル軍が西岸地区北部ジェニンで軍事・治安作戦を実行し、再逮捕していた。同裁判所は警察の要請に基づき、公判の流れと取り調べについて報道規制を敷いた。先に再逮捕されていた4人は、新型コロナウイルスの感染拡大を理由として、公判への出頭が許されず、オンラインでの参加のみが認められた。弁護団はこれを被告らに対する権利侵害だとみなしている。

○ 国際テロ・過激主義情勢

―アフガニスタンで、48時間内に7度の爆発が発生。19日に東部ナンガルハル州ジャララバードで警察車両と送電塔を狙った爆発があり、3人が死亡、複数が負傷。同州シェルザードでも爆発があったが、被害の規模は未だ不明。18日にはカブールで自動車に設置された簡易爆弾が爆発、少なくとも2人が負傷。また、同日にジャララバードで警察の車列や州知事事務所付近、病院周辺等の計5か所で爆発が発生。これにより3人が死亡、警官複数を含む20人以上が負傷した。ロイター通信によると、「イスラム国(IS)」の地元組織(「ホラサン州」)が東部での一連の爆発について犯行声明を出した。

イスラム主義集団専門家ハサン・アブー・ハニーヤ氏の話(アンマン):ISの「ホラサン州」は2015年1月からアフガニスタンに存在しており、米軍やNATO軍、前政府の軍、そしてタリバンには、これを駆逐することが出来なかった。米軍等が撤収したら、この組織が新たに台頭することは予測可能だった。前政府と米軍が存在していた昨年にも220件以上の攻撃を実行しており、今年は米軍が配置されていたカブール国際空港周辺で血なまぐさい自爆攻撃を起こした。構成員らはパキスタンとアフガニスタンの元タリバン戦闘員ら、パキスタンの諸集団、中央アジアや周辺諸国のジハード主義者らだ。中国のウイグル人やイランのバルーチ人らも参加している。彼らはアフガニスタンに焦点を絞るタリバンとは違って、世界規模に標的を広げる「グローバル・ジハード」を目指しており、タリバンが国際社会に政治的に参加しようとしていることに反感を持っている。彼らの攻撃は現在のところ、路傍に簡易爆弾を置く等の比較的単純なものだが、過去に米軍が駐留していた際も攻撃の水準が高かったことを鑑み、さらなる分析が必要だ。

―政党「アフガニスタン変革の波」は、カブールで記者会見を開いた。タリバンが同国で政権を握ってから政党の記者会見が開かれたのは初めて。その中でマルディーヤ・アフマディ副党首(女性)は、女性の権利を保障して全国民を守る包括的な政府の樹立を呼びかけ、学校・大学は女生徒に門戸を開かねばらならないと訴えかけた。

―グテーレス国連事務総長はCNNのインタビューで、国連高官らとタリバン幹部らがカブールで開いた会合を「極めて前向きな内容だった」と評価し、「国連はアフガン国民の支援のため(タリバンと)関わる必要がある」と強調した。

―イラン軍のバゲリ参謀総長は、「米軍がアフガニスタンでの全国的な政府の樹立と強力な軍の構築なしに撤収したことで、同国並びにイランを始めとする周辺諸国は脅威に晒されることになった」と指摘し、アフガニスタンでの「米軍の敗北」への満足の意を示しつつも、同国での情勢展開への懸念を表した。また、「イランに友好的でアフガン国民の決定に基づく包括的な政府の樹立を期待する」「イラン軍はアフガニスタンでの国防・治安上の脅威を監視し、極めて慎重に情勢展開を注視している」とした。

○ マグレブ情勢

―リビア国家最高評議会は、12月24日に実施が予定されている大統領・議会(2院制)選挙を実施する上での憲法上の根拠となる法案と選挙法案を承認した。大統領と議員に立候補するためには、軍事機関に所属していないこと、そして軍事機関での任務を終えてから少なくとも2年経過していることが条件とされている。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―豪が(米英豪による新たな安全保障パートナーシップ「AUKUS(オーカス)」の創設に伴い)仏との潜水艦共同開発契約を破棄したことから生じた同盟諸国の関係危機が継続。仏は今週ロンドンで開催が予定されていた同国のパルリ国防相とウォレス英国防相の会談をキャンセルすると発表。アタル仏政府報道官によると、バイデン米大統領はこの問題を協議するため、マクロン仏大統領と電話会談を行うにあたり、日程を指定するよう求めた。

エリコの目

―イスラエル政府幹部からは、「イスラエルは単独でもイランを軍事攻撃できる」旨の発言が相次ぐが、圧倒的な軍事力の優位にも拘らず、それは実行されない可能性が極めて高い。戦争が激化し、地 上戦になるとイスラエル軍は弱い。発言は「国内向け」であるのと同時に、「軍事攻撃を諦める代わりにバイデン政権のイスラエル寄り政策(入植に反対しないなど)を引き出す狙い」があると見られる。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/257759

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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