2021年9月24日 (No.21177)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

24日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ スーダン移行政府に参加している文民政治家、統治評議会議長と副議長の発言を「民主主義への移行にとって脅威であり、抵抗すべきだ」との見方を示す。職能者連合は「文民と軍人の連立を終わらせるよう」呼びかけ

■ チュニジア労働総同盟、「大統領の最近の諸措置によって、国家が独裁下に置かれることになる」と非難。議会議長は憲法回復のために平和的闘争を呼びかけ、政治諸勢力は「大統領は正当性を失った」とみなす

■ イエメンでサウジアラビア率いる同盟軍、「弾道ミサイルを迎撃し、ホウシー派がサウジアラビアに向けて飛ばした爆発物を搭載した無人機を撃墜した」と発表。同派はマアリブが8回空爆されたことを確認。米はイエメン紛争の終結を求める

■ 米仏関係の緊張が続く中、仏外相は米国務長官に「潜水艦の契約をめぐる危機の打開には時間がかかり、更なる措置を講じる必要がある」と伝え、EUに対して「米による保護への依存から脱却するよう」求める

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イラクのサーレハ大統領は国連総会の演説の中で、「イラクは復興と難民の帰還において前進した」と述べ、国際社会に対し、「人道上、喫緊に必要とされているものを提供し、イラクにおけるインフラ再建を支援するよう」求めた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―イエメンでサウジアラビア率いる同盟軍は、「ホウシー派がサウジに向けて飛ばした爆発物を搭載した無人機5機を撃墜した」と発表し、この攻撃を「越境攻撃によってサウジの安全を狙った、同派による意図的なエスカレートだ」「同派による敵対的な活動を監視し、民間人保護のために適切な措置を講じつるつもりだ」と表明した。

―サウジアラビア外務省元顧問サラーム・ヤーミー氏は、「イエメンでの紛争を終結させるサウジの計画を実行するシステムは、国連を通じて運営されるだろう」「イランはサウジとの関係構築のために迅速に取り組んでおり、それはホウシー派のこの計画への立場に影響するものだ」と述べた。

―イエメン人記者フセイン・ブヘイティ氏はアルジャジーラに対し、「ホウシー派による度重なるサウジ領土への攻撃は、サウジの戦闘機によるイエメン空爆に対する報復だ」「同派の攻撃は、同盟軍のイエメンへの攻撃の激しさを軽減させることに役立った」「サウジ軍は、イエメン国境付近の大半の基地を国内の中心部に移動せざるを得なくなり、それによって、一日に何百回と行っていたイエメンへの攻撃を、以前と同じような頻度でできる能力がなくなった」と述べた。

―イエメンのシャブワ県のサーレハ・ビン・アディユ知事は、「政府軍は『アンサールッラー(ホウシー派)』が掌握している場所を奪還すべく取り組んでいる」と述べた。これに先立ち、同県のアインとバイハーン両郡でホウシー派と政府軍が交戦し、両郡を同派が制圧、双方に死傷者が出た。バイハーン郡の境界付近では戦闘が続いている。

―米国務省報道官は、「米はイエメン危機のための、包括的・恒常的政治解決策を見出す取り組みを続けるつもりだ」「レンダーキング米イエメン担当特使はリヤドでハーリド・サウジ国防次官と会談し、イエメンでの戦争終結、人道状況の改善、空港や港に対する規制の緩和、サウジの安全保障などについて協議した」と述べた。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―ブリンケン米国務長官は国連総会で、「タリバンへの対応において、国際社会は統一した立場をとり続けるべきだ」「国際社会のタリバンへの対応は、同組織による義務の履行と結びつけるべきだ、というのが米のメッセージだ」「バイデン政権はタリバンの行動を監視し、アフガニスタン国民への支援提供を円滑化するため、NGO組織と共に取り組みを続ける」「タリバンによる約束の履行は、国際社会を満足させるためだけのものではなく、アフガニスタンの安定にとっての土台である」と述べた。

○ マグレブ情勢

―チュニジアのサイード大統領が例外的措置を延長する大統領令を出したことを受け、共和、タカットル(労働と自由のための民主フォーラム)、アフェク・チュニス(チュニジアの地平)、民主潮流などの諸政党は「大統領は憲法から逸脱し、正当性を失った」と述べ、「憲法に対するクーデターに立ち向かう『人民戦線』を形成するための協議を続けている」と表明した。また、人民共和連合、チュニジア意思運動(イラーダ)、ワファー運動、人民の意思の4政党は、「サード大統領のクーデターに立ち向かう取り組みを調整するために、統一した政治的枠組み『民主戦線』を形成する」と発表した。一方、チュニジア労働総同盟(UGTT)は大統領の諸決定に失望と驚きを表明し、大統領に対して「決定する前に専門家に相談し、自身の友達に相談するだけで満足しないよう」求めた。

―チュニジアのガンヌーシ議会議長(「ナハダ運動」党首)はAFPのインタビューに対し、「サイード大統領の決定は、革命によって反対された独裁に後戻りするものだ」「平和的な闘争は、憲法と民主主義を取り戻すために国民に残された唯一の選択肢だ」と述べた。

―リビアのメンフィ大統領評議会議長は国連総会での演説で、国際社会に対し、「リビアからの傭兵と外国軍部隊の撤退において責任を果たすよう」求め、「10月に、政治プロセスの成功を支援するための国際会議が開かれる」「最重要課題は国民和解であり、それが政治プロセスを成功させる最も重要な要素だからだ」と述べた。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―スーダン情勢

・職能者連合は、移行政府における文民と軍人の連立を非難し、「連立を終わらせるよう」求めた。また、自由変革勢力は、軍によってクーデターが阻止された後のブルハーン統治評議会議長とダガロ副議長の発言(軍は国家の後見であると述べ、政治家による権力争いを非難)を「文民革命勢力と軍との間に亀裂を生み出そうとしている」と非難した。

・首都ハルツームで数十人が生活状況の悪化に抗議してデモに繰り出し、治安部隊が催涙ガスを用いてこれを阻止した。クーデター未遂後に移行政府内で非難の応酬が繰り広げられ、行き詰まった状況の中、各地の広場でデモが実施されている。同市の警察は、「中心部のジャクソン広場付近で、『暴徒ら』が1台の警察車両に火炎瓶を投げつけて車が燃え、警官複数が負傷した」との声明を出した。

・同市で物価高騰に抗議し、移行政府の文民・軍人双方の辞任を求めるデモが実施され、警察が解散させた。警察は、「『暴徒ら』との衝突で警官複数が負傷し、警察の車両数台が放火された」と発表した。

・同市中心部のシハ―ファ地区で「抵抗委員会」として知られる集団が、2日前に軍が阻止したクーデターの試みを非難して抗議行動を実施し、ブルハーン議長とダガロ副議長の発言を拒否し、革命のスローガンを実現するよう求めた。

・「ベジャ族族長最高評議会・独立部族長(The Beja Tribes Chiefs Supreme Council & Independent Clans Leaders)」が数日前に、ポートスーダン港を閉鎖し、(港に向かう)主要道路を封鎖したことを受け、同組織の支持者集団がポートスーダン国際空港へ向かう道路を封鎖した。同組織は、政府の退陣・軍事評議会の設置・ジュバでの和平交渉(南スーダンが仲介する政府と反政府勢力との和平交渉)のプロセスの中止という政治的要求を実現すべく、政府に圧力をかける試みとして同港を閉鎖した。

―ルドリアン仏外相は国連本部でブリンケン米国務長官と会談し、「潜水艦(の契約)をめぐる危機の脱却には時間がかかり、行動が必要だ」と(ツイッターで)述べた。また、ルメール仏経済・財務相は仏放送局「フランス・アンフォ」に対して、「EUは米の保護に依存することはできない」「米が欧州諸国を保護し続けると思うことは大きな過ちだ」と述べた。

エリコの目

―最近の主要国の新型コロナ感染状況をまとめました。短評、(新規感染者数/1日あたり死者数それぞれ過去5日間の平均、の順)
トルコ:第4波継続中(27,551/233)
イラン:第4波のピークは越えたが、死者数高止まり(16,946/343)
イラク:爆発的拡大の第3波は収束局面(2,929/44)
サウジアラビア:ほぼ収束(63/6)
UAE:収束局面。但し数値の信頼性に疑問(335/2)
カタール:ほぼ収束(121/0)
チュニジア:急速に収束中も死者数多し(815/33)
イスラエル:第3波はピークアウトか、依然感染者数多し(6,442/18)

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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