2021年10月1日 (No.21184)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

1日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ スーダンで民政移管を求めるデモが続く。統治評議会議長は米特使に対して「政治諸勢力の更なる参加」を約束。首相顧問はアルジャジーラに対し「軍事企業の管轄が対立の原因だ」と述べる

■ カタール外相は「アフガニスタン暫定政府との対話を円滑化する用意がある」、EU上級代表は「EUはアフガニスタンの孤立を望んでいない」と述べる。タリバンは「国家機関の構築のためにチャンスを与えるよう」求める

■ 米、「エチオピアが停戦で合意できない場合、数週間以内に同国の対象に制裁を科す」と示唆。エチオピアは「内政干渉した」と非難して国連職員7人を国外追放

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―レバノンのヒズボラは、「同国南部ヤーティル村周辺でイスラエル軍の無人機を撃墜した」と発表し、ヒズボラ傘下のメディアは撃墜した無人機とする映像を公開した。一方、イスラエル軍は「通常の治安活動をしていた中で同軍の無人機が墜落したことに関して状況・詳細を調査中」との声明を出すも、墜落の原因については言及していない。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―ラピッド・イスラエル外相はバーレーンの首都マナーマにイスラエル大使館を開設した。ザイヤーニー・バーレーン外相や両国政府高官らが立ち会った式典で、今年末までにイスラエルにバーレーン大使館が開設されることが明らかにされた。ラピッド外相は「イスラエルは湾岸の友人たちとともに、穏健派の勇敢な同盟を率いて行く」と述べた。同外相の訪問はイスラエル政府高官として初のバーレーン公式訪問であり、ハマド国王とサルマン首相兼皇太子と会談した。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―ムハンマド・カタール副首相兼外相はドーハでボレルEU上級代表と会談して共同会見を開き、国際社会に「アフガニスタンを孤立させないよう」促し、「カタールはアフガニスタンからの退避作業・タリバン暫定政府との対話に関して、同盟諸国の支援を続ける」と確認した。また、「(タリバンによる)逆行した一部の措置に失望した。彼らにこのような措置を講じないよう促し続けている。我々はイスラム国家としてタリバンに、『イスラム国家はイスラム法を適用しつつ、女性問題に対処することができる』ということを説明しようと試みている」と述べた。

―ボレルEU上級代表は上記の共同会見で、「EU及び国際社会の期待に関するタリバンへメッセージを伝えることにおいて、カタールは重要な役割を果たすだろう」と述べ、「アフガニスタンの新たな状況への対処におけるカタールの重要且つ戦略的な役割」を賞賛した。また、アルジャジーラの定時ニュース番組にゲストとして出演し、「EUはアフガニスタンが孤立することを望んでおらず、人道支援を提供したいと思っている。我々は新(暫定)政権と連絡を取る用意があるが、それは同政権を承認するということではない」「現在、同政権の承認に関しては取り上げられていない」「EUは、特に女性や人権問題に関するタリバンの振舞いを監視し続けるつもりだ」と述べた。

―欧州評議会は加盟諸国に対し、「アフガニスタンにおける最優先事項を、人道危機への対処、及び経済崩壊を回避するために人道支援を提供する方策を見出すことにすべきだ」と呼びかけ、「加盟諸国は難民の保護において、道義的・法的責任を負うべきだ」とした。

―バラダル・アフガニスタン暫定政府第1副首相代行はムッタキ外相代行がカブールの外務省で主催した晩餐会で外国大使らを前に、「政府は世界の全ての国々との関係構築を望んでいる」「諸問題は対話を通じて解決すべきだ」「政府には他者に害を与え、敵対する意図や政策は一切ない」と述べた。また、「出国した大使館職員らが戻るよう望む」として、「彼らの安全と保護を保障する」と約束した。

―ナイーム・タリバン政治事務所広報担当は、「タリバンに、アフガニスタンにおける国家機関を構築するチャンスを与えるよう」求め、「タリバンは、アフガニスタン国民の利益に基づいて、国際社会と関わる用意がある」と述べた。

○ マグレブ情勢

―チュニジアのナハダ運動は、「サイード大統領が権力を独占し、憲法に違反する活動に没頭し続けている」と非難し、「憲法の手続きを順守していない、大統領令に基づく首相の任命は憲法に反する決定であり、国内経済・社会の危機を深刻化させる」と警告し、大統領の決定に反対する全ての勢力に対して「民主化路線を終わらせる予兆である例外的措置への平和的・市民的抵抗における取り組みを連携させるよう」呼びかけた。

―リビア情勢

・代表議会と国家最高評議会の両代表団はモロッコの首都ラバトで、協議会の初日に直接協議を行った。国連リビア支援ミッション(UNSMIL)が主催するこの協議では、両者は12月24日に予定されている総選挙実施の準備として、対立点を解消し、憲法規範と選挙法に関する合意の形を見出すために取り組む。

・上記の協議後に開かれた会見で、ノーランド駐リビア米大使は「選挙の実施は12月24日に予定されており、選挙運動は1~2週間の間に開始されるべきだ」「選挙を実施するための立法・憲法上の根拠に関して早急に合意する必要がある」と述べた

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―スーダン情勢

・当局は「検察の命令に従って、ハルツームで多くのデモ参加者を拘束した」と発表。警察は「拘束した者らは治安部隊に対する暴力行為を先導した」と非難。同市中心部にある「旧政権解体委員会」の建物周辺では、民政移管と暫定行政機構の設置を完了するよう求める抗議者らと警官隊との間で、一進一退の攻防が繰り広げられた。検察は、戦略的に重要な施設や公共施設が多数ある首都中心部の地域への治安部隊の増派を求めた。

・フェルトマン米「アフリカの角」地域担当特使はハルツームでブルハーン・スーダン統治評議会議長と会談し、「自由で公平な選挙の実施・文民政府の樹立まで、スーダンの暫定政府と国民への支援を継続する」と確認し、「暫定政府のメンバーである文民と軍人間の協力、及び政治移行に貢献した政治諸勢力の参加が重要だ」と述べ、「政治移行を守り、クーデターを阻止した」として暫定政府の軍人メンバーを賞賛した。一方、ブルハーン議長は、「あらゆる勢力を代表する文民政府樹立に至る自由で公平な選挙の実施のため、移行期における民主化を信じている政治諸勢力の参加が重要だ」と述べた。

・アルマーン・スーダン首相顧問はアルジャジーラに対し、「統治評議会議長職を文民に移管することは、政治合意・憲法宣言に明記されている。これが文民と軍人の暫定政府メンバー間の唯一の対立点ではなく、様々な対立点がある。その中で最も顕著な対立点は、軍事企業の(財務省による)管轄である」「30日のハルツームでのデモは軍隊に抗議するものではなく、クーデターを起こした者たちを対象としたものだ」と述べた。

・グテーレス国連事務総長はスーダンに関するバーチャルによる国際会議で、「軍事クーデター未遂」を改めて非難し、「スーダンは混乱した治安に関する課題に直面し続けている。その1つがクーデター未遂だ。これは脅威が続いていることを想起させるものであり、市民と人権の保護・全ての人々に安全と平和をもたらすことに全力を尽くす重要性を確認させるものだ」と述べた。

・閣僚評議会は閣議決定において、「革命勢力の団結と暫定政府の軍人・文民の協同を可能にするため、更なる努力によって移行期を乗り切るべき」とし、クーデターを阻止した軍やその他の正規部隊を賞賛。現状における諸問題を協議するために閣僚評議会と統治評議会による緊急会合の開催を呼びかけた。

―エチオピア情勢

・米は、エチオピア当局が「内政干渉した」として国連職員7人を国外追放したことを強く非難した。エチオピア外務省は声明を出し、UNICEFの職員を含むこの7人の国外退去に72時間の猶予を与えた。

・グテーレス国連事務総長は、エチオピアが国連職員7人を「ペルソナ・ノン・グラータ」として国外追放すると発表したことに「衝撃を受けた」と述べた。トレンブレイ国連事務総長報道官は、「国連はエチオピア政府に働きかけており、国連職員のエチオピア滞在と活動の継続が許可されることを期待している」と述べた。

・サキ・ホワイトハウス報道官は、「(情勢に)明確且つ具体的な変化がない中で、エチオピにおける(ティグレ州での)紛争に関与する人物・組織に対して、米は数週間以内に制裁を課す意向だ」「停戦・人道支援物資の搬入の許可・人権尊重の保証のための対話の開始など、意義のあるステップを米が目にする必要がある」と述べた。

エリコの目

―パキスタンのタリバン支持という「賭け」は諸刃の剣。ギャロップ社の世論調査によると、国民の55%は、タリバンの権力掌握に「満足している」。タリバンを支援し、これからも支持すると明言するイムラン・カン首相の人気は更に高まっているが、国内に過激主義を呼び込む危機と隣り合わせである。(アルクドゥス・アルアラビー紙)

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