アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
3日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イエメン・アデンで、UAEが支援する南部移行評議会の部隊同士が衝突。治安ベルト部隊は市内に増派。治安委員会は住民に外出を控えるよう呼びかけ
■ スーダンの政治諸勢力、「自由変革勢力(FFC)結束のための国民合意憲章」を発表。職能者連合はこれを「FFCの代表をめぐり、法や憲法上の危機をつくるもの」と非難
■ 仏、「チュニジア大統領は、憲法改正に向けた『国民対話』を始める意向を仏大統領に伝えた」と発表。労働総同盟は「選挙法と政治体制の見直し案を準備・議論する」と声明
■ カタール諮問評議会選挙の投票が締め切られ、開票が続く
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―アブドルラヒヤーン・イラン外相は、「核合意を再生させるための交渉は、近く適切なタイミングで再開するだろう」と述べた。
(0608JST、字幕速報)
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメン南部アデンのクレーター地区で2日未明、UAEの支援を受けて市を掌握する「南部移行評議会(STC)」傘下の部隊同士が衝突。市街地で重火器が用いられ、民間人を含む6人が死亡、子供を含む10人以上が負傷した。衝突したのは「治安ベルト部隊」と警察部隊。武装集団が警察署に押し入って将校を拉致し、署内の拘禁者を解放したことが発端。
―2日夜時点で、アデンの衝突は沈静化。治安ベルト部隊は市内に増援部隊を送った。治安委員会は住民に自宅待機を求めた。今回の衝突に先立ち、アデンでは「生活を改善し、通貨の価値低下や物価高に歯止めをかける」よう求める抗議行動が続き、治安ベルト部隊が若者たちを拘束。警察部隊が彼らの釈放を求めていた。
―イエメン国営通信によると、上記の衝突を受けてアブドルマリク首相は、ラムラス・アデン県知事兼治安委員長とシュアイビ・アデン治安局長に対し、事態の収拾に早急に取り組むよう呼びかけた。
―サウジアラビア主導の同盟軍は、イエメンのホウシー派がサウジ南西部ハミース・ムシャイトに向けて放った爆発物搭載の無人機を迎撃・破壊したと発表。
―カタールで初の諮問評議会選挙が行われ、開票作業が続いている。議員の3分の2にあたる30議席に対し、324人(うち女性28人)が立候補した。議員の残る3分の1は首長による指名。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン東部ジャララバードで武装集団の攻撃があり、政府の部隊の2人を含む4人が死亡した。一方、北部ジョウズジャーン州アクチャで、結婚式中の会場が爆破され、新婦が死亡、5人が負傷した。この実行者や動機は不明。
―パキスタン治安筋によると、正体不明の武装集団が北ワジリスタンのミール・アリー地域の検問所を攻撃し、軍人4人が死亡した。カーン首相が反政府武装勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の一部と対話を始めたと明らかにし、TTPの一派が「20日間の停戦」を宣言したばかり。
―国連の人道支援機関がアフガニスタンで活動を再開したが、一部の活動は、今年8月に資金供給が断たれて以降、停止したまま。既に多数のアフガン人が食糧、保健、教育分野の支援事業停止の影響を被っており、国内の実施団体は、国外からの資金提供中断が続けば、活動中止に追い込まれると懸念する。
○ マグレブ情勢
―仏大統領府によると、マクロン大統領はサイード・チュニジア大統領との電話会談で、「チュニジア国民と国際社会が期待する、憲法についてのロードマップの問題」を取り上げた。「仏大統領は、チュニジア国民の各勢力が参加する憲法改革の対話開始への拘りを伝えた」「チュニジア大統領は、近日中に政府が発足し、国民的な対話が始まると述べた」という。
―チュニジア大統領府によると、サイード大統領は仏大統領との電話会談で、仏がチュニジア人へのビザ発給数を減らすことへの遺憾の意を伝えた。また「チュニジア大統領は、新政府の発足後に不法移民問題の解決が模索されると述べた」「仏大統領は、ビザ発給に関わる決定は見直し可能だと述べた」という。
―チュニジア労働総同盟は、「選挙法、政治体制、政党・団体設置法の見直しに向け、議論と提案の準備を始めた」と声明。「来たる段階に備え、専門家を加えて協議を続ける。それは、国が得た成果、諸権利と自由を守るためだ」としている。
―チュニジア南部スファックス県で、大統領(による議会停止、首相解任など)に反対し、「憲法に対するクーデター」に抗議する集会が行われた。
―アルジェリア大統領府は、駐仏大使を協議のため召還したと発表、「内政干渉を断固拒否する」と表明した。これより先、仏大統領はルモンド紙に、「アルジェリア政権は仏への怨恨を抱いている」「仏の占領前にアルジェリアという国が存在したかは疑問」「トルコ人が塗り替えたアルジェリア史を、アルジェリアの言葉で書き直すべきだ」と発言。アルジェリアなどへの入国ビザ発給を減らす措置については、「対象は仏からの不法移民送還を拒む当局者。学生や実業界ではない」と述べていた。仏は、アルジェリアへのビザ発給を半減させるとしており、これに対してはアルジェリア外務省が仏大使を呼んで抗議した。
―ノーランド米リビア特使は、リビアの代表議会と国家最高評議会の代表がモロッコで協議したことを歓迎。「リビア諸勢力の見解を近づけるには更なる努力が必要」「全ての当事者は相手の正当な懸念を十分に考慮すべきだ」と指摘した。また「立候補者登録など必要事の実施に向けて選挙の準備は続く」「特定個人や組織に選挙法の立法への拒否権があってはならない」とした。
―シュクリー・エジプト外相はカイロで、ラーフィ・リビア大統領評議会副議長と会談し、「全ての外国部隊と傭兵がリビアから撤退する必要がある」「これら外国部隊がリビアの主権の完全回復を妨げ、近隣諸国の安全に影響している」と述べた。ラーフィ副議長は、リビアの安定確立に向けたエジプトの支援に感謝していると応じた由。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン情勢:
・自由変革勢力(FFC)などから離脱した20以上の政党や組織、武装運動がハルツームで大会を開き、「FFC結束のための国民合意憲章」を発表。「革命の政治的基盤を統一・拡大するのが目的だ」と主張した。これに対してFFC中央委員会は、「FFCはこの大会とは無関係」と声明。FFCの主要構成者である職能者連合(SPA)は、「大会とその開催者は、『誰がFFCの代表か』をめぐる法的・憲法的な危機をつくろうとしている」と評した。
関連レポート:スーダンの非軍部勢力間の対立が深刻化の様相をみせている。大会に参加したのは、ジブリル・イブラヒムが率いる「正義と平等運動(JEM)」、マン二・アルク・マンナウィが率いる「スーダン解放運動(SLM)」など。発表した「憲章」を、「公平で自由な選挙に向けて移行期の然るべき手続きを実施するため、(旧与党)国民会議を除く全ての政治勢力が参加する合意計画を策定するにあたっての新戦略」と位置づけている。大会で演説したマンナウィ氏(ダルフール地方知事)は、移行政府について「4つの政党が権力を独占している」と批判。イブラヒム氏(財務・経済企画相)は「スーダンは全てのスーダン人のものだと確認する憲章だ。幅広い基盤を持つ政府なくして国の安定はない」と述べた。
・ユースフ内閣担当相は記者会見で、「移行期を1日たりとも引き延ばさない政治・道義的な義務がある」とし、「選挙法を制定し、選挙委員会の設置を急ぐべきだ」と呼びかけた。
・スーダン東部「ベジャ族族長最高評議会」のムハンマド・ティリク代表は、「東部諸州の資源の半分を要求する」と述べた。また、「ジュバ和平交渉路線の中止、移行政府の退陣が(抗議行動として閉鎖したポートスーダンの)港湾再開の条件だ」とした。
エリコの目
―マクロン仏大統領は30日、18人のアルジェリア系青年をエリゼ宮に招き「民族間和解」を目的とする議論を行ったが、この席での発言が物議を醸している。「トルコのプロパガンダに対抗するため」マグレブ諸国向けのアラビア語・アマジグ語による論説チャンネル開設の必要性を訴えたマ大統領は、「植民地支配以前にアルジェリアという国は存在したのか?それが問題だ」「…トルコは同国がアルジェリアを支配した事実を忘れさせようとして、仏が唯一の植民地支配者だと説明し、アルジェリア人はそれを信じている。」(アルクドゥス・アルアラビー紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし