アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
7日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米国務長官、「イランとの核合意の相互順守に直ちに戻る必要があるとの点で露外相と一致した」と述べる。露とイランは「イランの譲歩なしに協議に戻ることの重要性」で一致
■ アフガニスタンのホースト州知事が「攻撃を計画していたISメンバー14人を拘束した」と発表した数時間後、同州内の学校が攻撃を受け、1人死亡、数人負傷
■ チュニジア・ジャーナリスト組合、民間人の意見や立場や発行物に関する軍事裁判を「表現の自由の後退であり、民主主義への打撃だ」として拒否
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―今年のノーベル物理学賞は、日本人の真鍋淑郎氏、独人のクラウス・ハッセルマン氏、伊人のジョルジョ・パリージ氏の3人の研究者が受賞した。真鍋、ハッセルマン両氏は「地球温暖化の影響を予測できる地球気候コンピューター・モデルの開発」により受賞。
―6日にアフガニスタンのカブール空港を飛び立ったカタール航空便に日本人が乗っていたとされる。関連ニュースは、下記「国際テロ・過激主義情勢」の項目に記載する。
○ イラン・イラク・シリア情勢
―米国防次官補(政策担当)は、「米は、イランの中東での活動についてパートナー諸国と懸念を共有している」「長期的な課題に立ち向かうため、国際・地域パートナー諸国と緊密に連携する必要がある」「バイデン政権は、第1に外交に頼るとコミットしている。イラン(問題)がその最も良い例だ」「米は、全当事者が核合意の内容順守に戻るために、誠意をもって協議に参加している」と述べた。
―ラブロフ露外相は、モスクワでアブドラヒアン・イラン外相と会談し「イランとの核合意をめぐる(ウィーン)協議を直ちに再開すべきだ」「露とイランは、核合意を完全に実施する必要があるとの点で一致している」「核合意の維持とイランがその他の問題で譲歩することとを結びつけようとする試みは無益だ」と述べた。イラン外相はこの会談で、アゼルバイジャン・イスラエル関係の拡大とアゼルバイジャンでのイスラエルの存在に対するイランの懸念についても触れた。これに対し、露外相は「露は同地域での軍事行動の拡大や挑発的な軍事演習に反対する」と述べた。
―米国務省によると、ブリンケン国務長官はラブロフ露外相と電話会談し、「イランとの核合意の相互順守に直ちに戻る必要がある」との点で一致した。また同長官は、OECD事務総長との共同会見で「イランが核開発計画で行っていることは、同国の核合意へのコミットメントと合致しない」と述べた。
―イスラエルのメディアによると、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、ワシントンでフラタ・イスラエル国家安全保障担当補佐官とイランの核開発計画に対抗する手段について協議し、「米は、外交こそがイランに核兵器を保有させないことを保証する最善の道だと信じている」とした上で、「外交努力が失敗した際には、別の選択肢に頼る用意がある」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ムハンマド・カタール副首相兼外相は、アブダビでムハンマド・アブダビ皇太子と会談した。両者は両国の協力関係を再確認し、それを強化・発展させる手段について話し合った。
―アブドラヒアン・イラン外相は、「イランは恒常的にサウジと話し合っている」と述べ、「イランとサウジの対話、そして域内諸国間の対話が、両国間の和解の一助となるだろう」との見方を示した。
―サウジ国営TVは、サウジ主導の同盟軍の発表として「同軍が、イエメンのジャウフ県にあるホウシー派の拠点を破壊した。同拠点は、無人機に爆弾を積んで飛ばす拠点として使われていた。また、同拠点でサウジ攻撃のために準備されていた無人機2機を破壊した」と伝えた。これより先に、同軍は「サウジ攻撃のために準備されていた爆弾を仕掛けた舟艇3隻をホデイダで破壊した」と発表していた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン東部ホースト州の州都ホーストにある宗教学校内で爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。一部は重傷。
―上記攻撃とほぼ時を同じくして、オマリー・ホースト州知事は、アルジャジーラのインタビューで「州内で攻撃を計画していたISのメンバー14人を拘束した」と明らかにし、「彼らは国内の他州から来た者たちで、国外からではない」と述べた。また同知事は、「アフガニスタン攻撃を正当化するために、国内に存在するISの規模が誇張されている」と指摘した。
―ラブロフ露外相とアブドラヒアン・イラン外相は、モスクワでの会談でアフガニスタン問題ついて協議し、「アフガニスタンの安定を実現し、同国がテロ組織の避難所になることを防ぐべきだ」と確認した。またイラン側は、「露も参加するアフガニスタン近隣諸国外相会合をできるだけ早急に開催する」と発表した。
―ハーティル・カタール外相補佐官は、自身のツイッターで「カタール航空旅客便の6機目が乗客300人超を乗せてアフガニスタンのカブール空港から飛び立った。これは8月以降、最大規模の商用旅客便となる」「同機には、アフガン人ジャーナリストやアフガン・クリケット・チームのほか、日本や英・ベルギー・仏・スウェーデン・カナダなど他の諸国の国民も乗っている」と明らかにした。
https://twitter.com/Lolwah_Alkhater
―マクグロアーティWFPアフガニスタン事務所代表は、「同国の経済の崩壊が間近に迫っている」と警鐘を鳴らし、「同国で活動する人道援助団体は、冬が来るまでに飲用水や保健・食糧サービスにアクセスできないアフガン人家族への支援を提供すべく、時間と競争している」と述べた。
○ マグレブ情勢
―国連リビア支援団は、「外国軍と傭兵・戦闘員のリビアからの撤退計画の立案について話し合うため、ジュネーブで5+5合同軍事委員会の会合が始まった」と発表した。クビシュ同支援団団長は、同会合で「国連と国際パートナーは、同委の取り組みを支援する用意がある。それには、撤退活動を監視・確認するために、同委の監督下で活動する国連停戦監視団を派遣することも含まれる」と述べた。
―リビアの公正建設党、変革党、国民戦線などの諸政党は、各々個別に声明を出し、4日に代表議会が可決した議会選挙法を「スヘイラート政治合意に盛り込まれた法的根拠に基づいていない」として拒否した。
―チュニジア全国ジャーナリスト組合は、民間人の意見や立場や発行物を背景とした民間人に対する軍事裁判を「表現の自由の後退であり、民主主義や相違への権利に対する打撃だ」として拒否した。
―チュニジアのメディアによると、同国治安部隊が民間TV局「ゼイトゥーナ」の本社を包囲し、報道関係者が入ることを禁じた。これより先に、同部隊は「同局は放送の法的許可を得ていない」として、局内の放送用機材を押収していた。また軍事司法当局は、同TV局の番組のアナウンサーを「軍司令部を侮辱した」容疑で取り調べるために拘束した。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―米国務省は、前トランプ政権が3年以上前に非公開とした米の核弾頭保有数を公表した。同省によると、米軍は2020年9月時点で3,750発の核弾頭を保有しており、2019年から55発減少。
―NATOは、NATO露代表部の露人外交官8人を「秘密の情報将校だ」として追放すると決定した。NATO報道官は、「これはスパイや暗殺を含む不審な活動に対抗する措置だ」とし、「同代表部の露人外交官を10人に削減した」と述べた。
エリコの目
―サウジアラビアは、カタールの衛星スポーツ・チャンネル大手「BeIN Sports」の国内における視聴禁止措置を撤廃する見通し。同国は4年前の対カタール断交措置とともに、この衛星チャンネルの視聴を禁止、その一方で海賊版放送の「BeOut Q」の暗躍を放置していた。サウジ投資ファンド等は英プレミアリーグのニューカッスル買収を計画したが、この行為が同リーグによって問題視され、買収できないでいた。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし