アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
9日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ アフガニスタン北部クンドゥズでシーア派のモスクが爆破され、数十人が死亡、約100人が負傷。ISが実行声明
■ リビアの国家最高評議会、「選挙の法整備をめぐる代表議会の取り決め違反に対して、法的措置を検討する」と声明
■ スーダンの内閣担当相、文民の統治評議会議長就任をめぐる評議会副議長の発言を、「憲法宣言の履行に対する直接的な脅威だ」と評し、「これに断固立ち向かう」と述べる
■ サウジ主導の同盟軍、「南西部のキング・アブドラ空港に対するホウシー派の爆装無人機による攻撃で5人が負傷」と発表
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―消息筋によると、米軍の車両数十台がイラクからシリア領に入り、クルド勢力中心の「シリア民主軍(SDF)」が支配するハサカ郊外の軍事基地に向かった。一方、マクナルティ米国防総省報道官は、軍事専門メディア「Defense One」に、「現在シリアでは米軍人約900人がSDFと共に働いている」「我々の唯一の任務はイスラム国(IS)の敗北を永続化することだ」と述べた。「米軍は今後もシリア北部や南東部タンフの拠点周辺に残り、戦いにコミットする」としている。
―シリア国営通信は、「シリアの防空部隊が、ホムス郊外のT4軍事空港周辺に対するイスラエルの敵対行為に対処した。この際、シリア軍の6人が負傷した」と報じた。「イスラエルの攻撃は、米軍の基地がある南西部タンフ方面から行われた」としている。
―イラク議会の前倒し選挙の投票が10日に行われる。これに先立ち、軍・治安機関職員、避難民、被拘禁者を対象とした期日前投票があり、有権者の69%が投票した。今選挙でも、投票率、治安と選挙の公正さの確保が課題となっている。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジアラビア主導の同盟軍によると、サウジ南西部ジャーザーンのキング・アブドラ空港が、ホウシー派の爆弾搭載無人機1機による攻撃を受け、空港従業員と旅客の計5人が軽傷を負った。サウジ国営通信は、空港の被害状況の写真を報じた。
―バーレーンの治安部隊は、「イスラエルとの正常化を拒否する」としてマナマのイスラエル大使館に向かおうとしたデモ隊を解散させ、多数を拘束した。活動家たちがSNSでこの抗議行動の映像を広めた。デモは金曜礼拝後に開始。参加者はパレスチナ旗を振り、「正常化と大使館開設に反対」と書いた横断幕を掲げた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン北部クンドゥズ州のハーン・アバードで、シーア派の少数派ハザラ人のモスクが爆破された。金曜礼拝が行われており、60人が死亡、107人が負傷した。「イスラム国(IS)」が実行声明を出した。タリバン政権下でシーア派モスクが攻撃されたのは初めて。現場はタジキスタン、ウズベキスタンに近い。中央アジア諸国や露は以前から、アフガニスタンの治安崩壊と、広域を活動範囲と定める「イスラム国ホラサーン州(IS-K)」等による暴力波及に懸念を示してきた。
―ムジャーヒド・アフガニスタン副情報文化相(タリバン報道官)は、ツイッターで上記攻撃を非難。「非道な罪を犯した者を追跡し、罰する」として、ISへの報復を誓った。
―アフガニスタン暫定政府の閣僚代表団が8日、初の外遊で、カタール航空機でドーハ入りした。カタール高官らと会談する。代表団はモッタキー外相代行を長とし、ハイルフワー情報文化相代行、ワシーク情報局長官代行、ヌールジャラール副内相ら。
―ロイター通信によると、米の高位代表団が9、10の両日にドーハでタリバンの有力幹部と会談する。米軍のアフガニスタン撤退後、双方のハイレベルの直接協議は初となる。米高官は、「アフガニスタンでの人々の通行の安全確保、拉致された米国人の解放を要求する」としている。
―マイガ・マリ暫定政府首相は、露のRIAノーボスチ通信に「マリで活動するテロ組織を仏が訓練しており、その証拠がある」と述べた。「現在マリにいるテロリストはリビアから来た。仏の駐留部隊は(マリ北部)キダルに『軍』をつくり、それをアルカイダと連携する『アンサール・ディーン』等からなる組織に引き渡した」と主張。「マリ政府は現在、仏支配下の孤立地帯となったキダルに入れずにいる。同地に仏将校が訓練した武装集団がいる」「仏は、マリの現指導部が治安の責任者だと理解すべきだ。仏の振る舞いに不満であり、露など他の信頼できるパートナーに支援を求めるだろう」とした。マイガ首相は以前にも「仏はテロ対策の道半ばで撤退してマリを見捨てようとしている」と非難していた。暫定政府は、露大統領に近い(軍事会社ワグナーの)戦闘員千人を雇い入れようとしている、と報じられている。
○ マグレブ情勢
―リビアの国家最高評議会(諮問機関)は、「代表議会は選挙を期日通りに完全実施するための手続きを妨げ、取り決めに反する一方的な措置をとった」と非難した。代表議会は今月4日、大統領選と議会選を12月24日に同時実施するとの従来の取り決めに代えて、「大統領選の30日後に議会選を行う」とする選挙法の成立を発表していた。
―リビア「5+5合同軍事委員会」は、外国の部隊や傭兵・戦闘員を国外撤収させる計画の実施に向けた、停戦メカニズムの整備を呼びかけた。国際監視団の重要性を強調している。これに先立ちクビシュ国連リビア特使は、ジュネーブでの「5+5」の会合で、「国連とパートナー諸国は、国連の監視要員派遣を通じて停戦や(外国部隊など)撤退の取り組みを支援する」と伝えていた。
―トリポリ西部グート・シャアールにある不法移民対策機関の収容施設から、難民数百人が逃げた。現地筋は「警備要員の少なさが原因」と話した。一方、トリポリ中央病院の関係者は「多数のアフリカ系難民が負傷して病院にたどり着いた」と述べたが、けがの様態や原因については語らなかった。内務省は先週、トリポリ西部ガルガールシュで、「不法入国し、犯罪を犯した」として難民約4千人を拘束していた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン情勢:
・ユースフ内閣担当相はFBで、「治安、警察機関は軍人に従属している」とのダグルー統治評議会第1副議長の発言を、「(警察は行政権に服する等と規定する)憲法宣言文書への明白な違反だ」と批判。「治安・軍事機関を改革・発展させることは、市民的・民主的移行の成否を決める本質的な任務だ」「副議長の発言は憲法宣言文書の履行を直接的に脅かすもので、断固としてこれに立ち向かう」とした。
・ダグルー統治評議会第1副議長は、今月7日の(上記)発言で、「統治評議会の議長職の文民への引き渡しは時期尚早であり、まだ議論されていない」「警察や公安機関は、選挙で選出された政府にしか引き渡さない」と述べていた。(憲法宣言は、2019年8月から39か月の暫定期間の統治評議会議長について、最初の21か月を軍人、残る18か月を文民が担うとしている)
エリコの目
―イスラエルの裁判所が、ユダヤ人のアルアクサー・モスク(神殿の丘)における礼拝を許可する判決を下したが、この危険な展開は、第三次インティファーダの引き金となるのではないか?イスラム最初のキブラ(礼拝方向)である聖地はパレスチナ人と全イスラム教徒にとっての最後の砦だ。2007年の第二次インティファーダは、故シャロン首相が立ち入っただけで爆発した。アラブ諸国は正常化の流れの中で沈黙しており、パレスチナ内部の不満は充満している。爆発はあると考える。(ラアイ・アルヨウム紙 アトワン編集長のYouTube 解説)
<特記事項・気付きの点>
―特になし