アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
27日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ スーダン軍司令官、「政治的移行と、全国民を代表する有能な政府の形成」を約束。首相事務所は「誰も軍司令官の言い分に騙されはしない」と評する。治安筋、「首相は自宅に戻り、厳しい警備下にある」と明かす
■ 12か国に駐在するスーダン大使、「クデーター拒否」を表明。米大統領府、地域諸国の指導者と連絡をとり、スーダンの民主主義のプロセスへの回帰を呼びかけ
■ イラクで選挙結果に反対する勢力の支持者がバグダッドで座り込みを継続。選管に対する再開票実施の「期限」を迎える中、政治諸勢力は「対応がなければ、国は先行きの見えない危機に陥る」と警告
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラクの議会選挙(今月10日投票)の開票結果に異議を唱えている諸政党の支持者が、8日前からバグダッド中心部のグリーンゾーン入口で座り込みを継続。「結果を撤回し、手作業で開票と集計を全てやり直す」よう求めており、この抗議参加者が選管に示した要求実行「期限」を迎えた。座り込みの場所には多数が集結しているが、静かな状況。
―イラク選管は、議会選挙の手作業による再開票・集計の第一段階を、ニナワ県の70か所で27日に始めると発表した。各政党の代表、候補者、オブザーバー、メディアが作業に立ち会う由。
―イラクのイヤード・アッラーウィ氏(元首相)率いる「国民連合」は声明で、選管に対して「状況悪化を避けるために迅速に動き、選挙結果に異議を唱える愛国的諸勢力の求めに応える」よう求めた。「さもないと結果の見通せない危機に陥る」と警告している。
―イラクの議会選挙で勝利した「サドル潮流」のムクタダ・サドル指導者は、「次期政府は、法に基づく断固とした方針をとる。法は、まず政府高官に課されるべきだ」「次期政府は、所属の違いに拘わらず国民に平等に暮らしを保証せねばならない」「法の適用と処罰の実行には、政府への国民の協力が必要だ」とツイートした。
―イラン「サイバー空間最高評議会」のファイルーズアバディ事務局長は、「外国(名指しせず)が、ガソリンスタンドの燃料供給システムを狙ったサイバー攻撃の背後にいる」と非難した。「攻撃した国や用いられた手段を特定するのはまだ早い」としている。イランでは26日、テヘランと他複数の都市でガソリンスタンドの販売システムが「技術的問題」で停止。評議会は「電子システムが攻撃に晒された」「専門家が復旧作業中」と発表していた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジアラビアが主導する同盟軍は、「爆弾を搭載した無人機によって、サウジ南西部アブハ空港への攻撃が試みられたが、これを迎撃・破壊した」と発表した。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン情勢
・ブルハーン軍司令官は26日、自身が議長を務める暫定統治評議会(TSC)や内閣を解散、首相や閣僚らを拘束し、非常事態を宣言した前日の措置について記者会見。「政治的移行を実現し、全てのスーダン人を代表する能力本位の政府を形成する」と約束した。また「憲法裁判所、最高司法評議会、検察評議会など、移行期の機構整備が済み次第、非常事態を解除する」とした。その上で、一連の措置に踏み切った理由を「自由変革勢力(FFC)の一派が独占を追及し、革命を攫おうとした」ためだとし、「革命を守るために介入した」と正当化した。首相の居場所については、「逮捕したのではなく、彼の身を案じて保護した。私の家に滞在し、通常の生活を送っている」と主張。
・ハムドゥーク首相の事務所は、軍司令官の上記発言について、「クーデターの頭目が自身の行いを『革命を守るためだ』と主張しても、国民は欺けない」と声明。「スーダンと革命にとどめを刺す目的で、(旧政権与党)国民会議に支援され、国内外の指示を実行した」と非難した。
・治安筋によると、ハムドゥーク前首相と妻が(首都圏の北部)ハルツーム・バハリー市カーフーリー地区にある自宅に戻った。「厳しい警備下に置かれている」という。
・26日、TSCと内閣を解散した軍の措置を拒否するデモが、ハルツームの諸地区と複数州で行われた。ハルツームではデモ隊が主要道路上でタイヤを燃やし、一部の通りや橋を遮断、治安部隊と衝突した。デモの多くはFFC中央評議会派が呼びかけたもの。FFCの一員である職能者連合は、「平和的な抵抗手段による抗議」を呼びかけた。インターネットの接続が戻り、デモの様子を撮影した映像が出回った。
ハルツーム特派員の話:消息筋は、「ハムドゥーク前首相が2日間をゲストハウスで過ごした後、カーフーリーの自宅に戻っている」と確認した。軍の一連の行動に対して首相が声明やコメントを出すかが注目される。また、TSCのムハンマド・タアーイシ委員もカーフーリーの自宅に戻ったという。一方、ブルハーン軍司令官の行動を拒否していたウンマ党のシッディーク・マフディ党首補佐、職能者連合のイスマイール・タージュ幹部が新たに拘束された。ハルツームでは非常事態宣言下、依然、当局が橋を閉鎖している。ブッリ―・ダラーイサ地区では夜間デモが行われ、参加者がマアラド通り、シッティーン通り、バイト・ハティム通りの広い範囲をブロックを積むなどして遮断。ナイル通り及びトゥーティ橋の一部を閉鎖したデモ隊に対し、治安部隊が催涙ガスを用いた。
・消息筋によると、治安部隊はファイズ・シディク前首相補佐官を拘束した。また教員組合は、アブドルカリーム運営委員長がハルツームのガーバ通りで軍と迅速支援部隊(RSF)の合同部隊に拘束されたと発表した。連行先は不明。
・12か国に駐在するスーダン大使は、軍事クーデターを拒否するとの共同声明に署名した。署名したのは、米、UAE、中国、仏、ベルギー、スイス、南ア、カタール、クウェート、トルコ、スウェーデン、カナダに駐在する大使。EU、国際諸機関へのスーダン代表もこれに加わった。「クーデターへの民衆の抵抗を支持する」と表明。
上記声明に署名したサーティ駐米大使の話(ワシントンから電話):民主主義と文民統治に向けた(暫定政権の)軍部と文民の合意に対するクーデターだ。銃による政権奪取は断固拒否する。自身は、本国から呼び出しとなるか、展開を見守っている。署名した大使は全員解任されるだろう。その場合も、別の選択肢を模索しつつ仕事を続ける。首相を自宅に帰しただけでなく、他の閣僚とともに職務復帰させることが、正常化への唯一の道だ。
・スーダン民間航空当局は、ハルツーム発着の全便を今月30日まで停止すると発表。この決定に合わせた運航を国内外の航空各社に呼びかけた。
・在ハルツーム米大使館は、「25日にハルツームで暴力行為が報じられたが、その後、夜間に更なる暴力行為があったとの報告はない」「米国民に、各自の場所で可能な限り安全を確保するよう強く勧める」とツイッターに連投。また、「25日の出来事以降、航空各社の大部分は運航を無期限停止しており、チャーター機2便以外にハルツーム空港を発った商用機はない」として、空港に向かわないよう促した。
エリコの目
―先週発生したヨルダン国境に近いシリア領内にある米軍の拠点に対するドローン攻撃は、イランが関与していると見られているが、ワシントンポスト紙は、イランが米軍に対する攻撃を激化させる兆候と見ている。革命防衛隊系の「通信社」は、この攻撃がイスラエルによるパルミラ郊外の民兵組織拠点への攻撃に対する報復であり、大きな成功を収めた、これからも米軍に対する攻撃は続けられる、と主張している。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
<特記事項・気付きの点>
―引き続き、ニュース枠の大部分でスーダン情勢を報道。