アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
6日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ ヨルダン王宮府、「ハムザ前皇太子が叔父のハサン王子の自宅にて、他の王子数人の立会いの下で署名した」とする書簡を公開。国王と現皇太子への支持を誓う内容
■ キンシャサでのルネッサンスダムをめぐる会合の最終日、閉幕声明をめぐって3か国が対立。スーダンとエジプトはAU・EU・国連・米の4者による交渉仲介にこだわり、エチオピアはこれを拒否。次の一歩はいかに?
■ ウィーンで6日に開かれる米を含む核合意署名国の会合を前に、イランは「会合で制裁解除を求める」と予告。米は大きな進展を期待せず
■米国務長官、「新型コロナウイルスのパンデミックを終わらせるため、世界は団結せねばならない。これを達成するには、米のリーダーシップが必要となる」と表明
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―プライス米国務省報道官は、「6日にウィーンで開かれる核合意をめぐる会合では、早急に大きな進展が起こることは期待できないが、これは前に向かう正しい一歩だ」と述べた。また、「イランとの直接協議は望めないが、米は今もこれに対して門戸を開いている」と述べた。
―6日のウィーンでの(上記の)会合に先立ち、ハティーブザーデ・イラン外務省報道官は、「ウィーンでの会合で、解除されるべき米の対イラン制裁のリストを提出する」「イランは段階的な制裁解除の取り組みを提案しておらず、一度に解除されることを求めている」と発表した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―コンゴ民主共和国の首都キンシャサで5日夜、AUの主導の下で3日に開始したスーダン・エジプト・エチオピアのルネッサンスダムをめぐる協議会合が終了する。会合の関係者によると、閉幕声明の内容をめぐって3か国が対立している。スーダンとエジプトは、仲介の輪を広げてAU・EU・国連・米の4者が仲介することにこだわっているが、エチオピアはこれを拒否し、必要に応じて監視を依頼することを提案している。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―ブリタ・モロッコ外相は、ダフラ(モロッコが実効支配する西サハラの都市)でのセネガル総領事館の開設式の合間に記者団に対し、「西サハラ問題に関するアルジェリア高官らの言動(同国のブカドゥム外相がモロッコとポリサリオ戦線に対話を呼びかけたことを指す)は、『問題解決はモロッコ・アルジェリア両国の合意を通じてのみ可能』というモロッコの主張や見解を裏付けるものだ」と述べた。また、アルジェリア外相が「西サハラ問題を担当する新たな国連特使の任命を急ぐべきだ」との発言したことに言及し、「モロッコには、国連に任命された人物が誰であっても受け入れる用意がある」とした。
○ トルコ情勢
―海軍の退役将校104人が共同声明を発し、イスタンブール運河の建設を通じて「モントルー条約」(ボスポラス・ダーダネルス両海峡の通航について定め、黒海沿岸諸国以外の国の軍艦の通航を規制する内容)を議論の対象としないよう警告、運河建設プロジェクトの停止を呼びかけた。エルドアン大統領はこれを非難し、「クーデターを示唆する声明を発するのは、退役将校の任務ではない」「この声明は、よからぬ意図から発せられている。トルコで過去に起こった民主主義に対する攻撃は、全てこれと同様の声明から始まった」と述べた。治安部隊は、声明に署名した104人のうち10人を拘束。国防省は、「(上記)声明は民主主義を損なうだけだ」とした。トルコは、「ボスポラス海峡の通航量を軽減するため」として、同運河の掘削を目指している。
<その他の重要ニュース要旨>
―ヨルダン王宮府は、アブドラ国王の異母弟で前皇太子のハムザ王子が署名した書簡を公開した。王子が「ハーシム王家の伝統に従い、兄である国王に忠実に振舞う」「ヨルダン憲法を守る」「国王と皇太子を常に支援・支持する」等と誓う内容。王宮府は、ハムザ王子がハサン王子(故フセイン前国王の弟で元皇太子)の自宅で、他の数人の王子の立会いの下でこの書簡に署名したとしている。
―(上記前)ヨルダン王宮府は、「アブドラ国王は、叔父のハサン・ビン・タラール王子に対し、ハムザ王子の件に対処するよう委任した」「ハムザ王子は、ハーシム家の流儀に従うとハサン王子に明言した」とツイッターで発表した。
アンマン特派員:5日、国王とその兄弟、ハサン王子の間で連絡が取られ、国王とハムザ王子の対立を舞台裏で丸く収める方法が模索された。上記の王宮府が発表したハムザ王子の書簡は、その結果だ。国王の叔父のハサン王子は、王家の「大黒柱」「賢者」だとされ、国王や皇太子を始めとして、王家の全員が彼に大きな敬意を払っている。今や王家は元の結束を取り戻したといえる。今回の件で「外国勢力に支援された陰謀」を背景に拘束された元王宮府長官らは、現在総合情報部や軍事治安機関の取り調べを受けている。彼らが今後なんらかの国王の恩赦の対象に含まれるか、あるいは軍事法廷にかけられるかは不明だ。
―フネイティ・ヨルダン軍合同参謀総長は、「ヨルダンの軍と治安機関には、国内・地域での様々なレベルでのあらゆる情勢展開に対応できる能力がある。また、国境でのいかなる脅威にも力強く対応でき、国の安全と安定を揺るがそうとする試みを全て阻止できる」と声明した。
―プライス米国務省報道官は、「米はヨルダンの状況を注視している。ヨルダンは米の戦略的パートナーだ」述べた。
エリコの目
―イスラエル紙「マコール・リション」は、「米政権の交代で機を逸したが、イスラエルとサウジアラビアの同盟関係は密かに存在しており、それはイランに対抗するものだ」との記事を掲載した。記事は、「イスラエルとサウジアラビアを結ぶ包括的な地域的共同目標は、「イラン核合意」を許さないこと、及び、イランが域内各国にばら撒く武器との戦いである」などと述べている。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
―国別感染状況(サウジアラビア)
サウジアラビアの累積新規感染者数は392,682人と、UAEの470,136人より少ないが、総死者数は6,697人で、UAEの1,510人の4倍である。サウジアラビアの人口規模はUAEの約3.5倍であるから、両国は似たような感染状況にあることが推測される。百万人あたり死者数で、状況を把握してみよう。日本:73、UAE:151、サウジ:190、英国:1,861、台湾:0.4。
4月4日の新規感染者数は673人、死者数は7人であった。
―サウジアラビア保健省の報道官は、昨年のような感染拡大を招きたくない、と昨今の感染を示す数値の拡大に強い懸念を示した。感染者数は急勾配を描いて上昇しており、内務当局は1週間で予防措置・行動に関する違反27,083件を摘発、違反者は必要な処罰を受けた。違反の種類は、設備関係、集会規則への違反、マスクの非着用、隔離義務違反、デマの流布等。
一方、サウジ宗務省は礼拝者の感染が判明した7つのモスクを一時閉鎖した。これにより56日間で461か所のモスクが一時閉鎖され、消毒と予防措置が講じられた後、441か所は再開された。(シャルクル・アウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし