アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
28日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ペルシャ湾でエスカレーション。米軍、「接近してきたイラン革命防衛隊の戦闘艇に警告射撃を行った」と発表
■楽観と困難。ウィーンで交渉中の核合意当事国、実務面の合意について検討する作業部会を設置
■米アフガン特使、「和平プロセスを支え、外交努力を続け、テロの脅威に対処する用意がある」と述べる
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン核合意の当事国は、米の合意復帰とイランの合意順守に向けてウィーンで協議を再開。EUのモラ欧州対外行動庁事務次長が、米、イランの代表団と個別に会合した。また露・イラン・中国が3国会談を行った。各国は「交渉を加速させ、集中的に行っていく」ことで一致。対イラン制裁解除や米の核合意復帰に向けた実務面の合意事項について議論するため、第3の作業部会を設けることになった。(既に、核合意再生に向けて米とイランがとるべき措置を協議する2つの作業部会が設置されている)
―アラグチ・イラン外務次官は、核合意をめぐるウィーンでの交渉について「我々は正しい道にいる」としつつ、「依然、課題や詳細における難しさがある」「課題の解決が見出されるかは不明だ」と述べた。
―ハティーブザーデ・イラン外務省報道官は、核合意再生の方法について「『一歩に対して一歩』」の原則に基づくいかなる提案も受け入れない」「米の制裁解除が必要との我々の立場は変わっていない。制裁の全面解除を求める」「米の核合意復帰のために米と直接・間接の交渉をする必要はない」と改めて述べた。
―ウリヤノフ露IAEA大使は、独誌デア・シュピーゲルに「イスラエルがイラン核合意を全面拒否しているのは残念で、合理的ではない」と述べた。また「ウィーンの交渉進展を楽観している。この交渉の成功に代わるものはない」「イランはまだ、米との直接交渉の準備はできていない」「合意成立の時期は予想できないが、欧州諸国は5月11日までの合意を望んでいる」と語った。
―マレー米イラン特使はツイッターで「(核合意をめぐる)ウィーンでの協議や、地域の安全保障について、GCC諸国と良い議論をした」「ウィーンに戻り、協議の次のラウンドに参加する」と述べた。
―米海軍第5艦隊(司令部・バーレーン)は、イラン革命防衛隊の高速戦闘艇3隻が、ペルシャ湾で米の哨戒艇ファイアボルトに接近したと27日に発表した。「無線や拡声器で警告したが、応答せず、接近をやめなかったため、警告射撃を行った」という。警告射撃の後、革命防衛隊の戦闘艇は安全な距離まで遠ざかった由。米軍は「革命防衛隊が国際法に基づき、全ての船の安全を尊重するよう期待する」としている。
ワシントン特派員:米軍の説明では、革命防衛隊の高速艇の接近は、現地時間の26日午後8時に発生。米軍の2隻がペルシャ湾北部の国際水域で任務を行っていた際、高速艇が急速度で62メートルまで近づいた。今月上旬にも革命防衛隊による同様の接近事案があったが、発砲はなかった。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ムハンマド・サウジ皇太子は、27日放送のTVインタビューで、「イランは隣国であり、我々は良い関係を望んでいる」「イエメンのホウシー派は、停戦を受け入れ、交渉の席に着くべきだ」と述べた。また「サウジアラムコ社の株の1%を外国のエネルギー企業に売却すべく、協議を行っている」「米政権とは90%の問題で一致している。米は戦略的パートナーだ」と語った。
―サウジのメディアは、「サウジに向けて(イエメンから)放たれた爆発物搭載ドローンを防空部隊が撃墜した」と報道。
○ エジプト情勢
―国内メディアは「キルダーサ警察署襲撃事件」(2013年8月、同年の軍事クーデター反対派が警察署を銃撃し、将校らを殺害したとされる)で、9人の死刑を執行したと報じた。ラマダン月の執行であること、80歳の死刑囚も執行されたことなどから、SNS上で多くの批判が出ている。
―アムネスティ・インターナショナルは、上記事件の裁判について「拷問で引き出した自白が採用され、公正ではなかった」と批判。また国際人権団体「We Record」とエジプトのNGO「彼らの権利」は、死刑が執行されたのは17人だと指摘。同じくエジプトの人権団体「シェハーブ」は、「多くの政治的反対派に死刑が執行された」としている。事件でカイロ刑事裁は、20人に死刑判決を下していた。
―エチオピア外務省報道官は、「エジプトとスーダン(のみ)のナイル川の取水権を明記した1959年の協定は、不公正で受け入れられない」と述べた。また「交渉はルネッサンス・ダムの貯水について行われる。水資源の分け合いに関する交渉は、別のラウンドで行う」とした。
―マドブーリ・エジプト首相は。「エジプトは厳しい水不足の段階に入った」との認識を示し、「水資源の一滴一滴を有効活用すべく取り組んでいる」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―イラン核合意の当事国が米の合意復帰とイランの合意順守に向けてウィーンで交渉再開する中、イスラエルのハイレベル代表団が訪米。イラン核合意再生がイスラエルに及ぼす危険について米に説明し、米の合意復帰への反対を伝える。代表団には、ベンシャバット国家安全保障顧問、コーヘン・モサド長官が含まれる。
―米大統領府は、「米とイスラエルは、イランの無人機とミサイルに対処するための作業グループの設置で合意した」と発表。
―イスラエル軍は、ガザ地区からロケット弾2発が発射されたのを確認したと発表。「発射は失敗し、2発ともガザ地区内に落下した」という。
―イスラエル軍は、「イスラエル上空に短時間侵入したレバノンのヒズボラの無人機を撃墜した」と発表。ヒズボラは現時点でコメントせず。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ハリルザド米アフガン特使は米上院外交委員会で、「アフガンから撤退中の米軍が攻撃された場合、米は強力な自衛を行うとタリバン側に伝えた」と述べた。また「米は、撤退後もアフガン和平プロセスへの支援を続ける」と語った。
―マッケンジー米中央軍司令官は、「米軍は、自軍やNATOの同盟軍がアフガンから安全に撤退できるように計画を準備した」「米は大使館をカブールに維持し、警護のためのごく限られた部隊を残す」と述べた。
―米中央軍は、高機動ロケット砲システム「ハイマース」を、クウェートからアフガンに輸送した。アフガン撤退支援のため。同システムは、3.4マイル先の標的を正確に捉えることが可能。
―シラージュ・アフガン情報長官は、「タリバンの攻撃はドーハ合意の後、全土で24%増加した」「米大統領のアフガン撤退表明後、タリバンの攻撃は最高水準に達している」と述べた。また「タリバンは、ドーハ合意に基づくアルカイダとの関係断絶を行っていない。両者の関係はイデオロギー面だけでなく、婚姻を通じた家族的なものだ」と指摘した。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―ヒューマンライツ・ウオッチは、「イスラエル当局は、人種隔離政策と迫害という人道に対する罪を犯している」とする204ページからなる報告書を発表した。イスラエルのこの政策は、イスラエル人がパレスチナ人に対する優越を維持するために行われていると指摘、法的に許される限度を超えているとしている。(BBCアラビア語)
中東の新型コロナ動向
―トルコでは、4月29日夕からラマダン明け休日後の月曜日である5月17日まで、「完全封鎖」を実施。26日、エルドアン大統領が会見して発表した。飲食店はデリバリーのみでの営業が認められる。都市間の移動は許可制で、バスの乗客数は半数に制限。教育機関は幼稚園を含め、対面授業を停止。(アナドール通信)
―トルコ、26日の新規感染者数は37,312人。24時間以内の死者は353人で後者は過去最高水準のまま推移している。
<特記事項・気付きの点>
―特になし