アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
20日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
(引き続きパレスチナ・イスラエル情勢を特別体制で報道したため、ヘッドラインはなし)
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―ガザ特派員(0502JST):19日、イスラエル軍の砲撃や無人機・戦闘機での空爆等の軍事行動激化が明白に見られた。これにより、パレスチナ人12人が死亡、多数が負傷した。デイル・バラハでの無人機による空爆では、身体障害者の男性と妊娠中の妻、2歳の娘が死亡した。また、ガザ地区各地の住宅15棟以上が破壊され、パレスチナ諸派の拠点や農地も標的となった。しかし、今から約2時間前からは、攻撃の手法や対象地域が変化した。イスラエル軍は砲撃や空爆の度合いを緩和し、対象をガザ地区の境界付近に限定するようになった。パレスチナ諸派も、砲撃やロケット弾での攻撃対象をスデロット等のガザ周辺20キロ以内の範囲に限定するようになった。仲介者を介して、口頭での相互理解が成立したかのようにみえる。早急な停戦合意成立に向けた協議を行う余地を作るためだ。しかし、これは現場での成り行きに左右される。
―アシュケロン南部特派員:ガザ特派員の(上記の)指摘のように、しばらく前から双方の攻撃が限定的になっており、イスラエル軍は住民らが避難所から出ることを許可した。イスラエルは、ガザとの停戦が成立したら、エルサレムや西岸地区の状況、そしてイスラエル領内のパレスチナ人らの抗議行動にも反映すると見ている。また、イスラエル軍は、ガザ側の姿勢はレバノン・イスラエル国境での最近の緊張にも影響すると予測している。
―テルアビブ特派員:イスラエル(グリーンライン内)のウンム・ファハムで19日夜、約1週間前のデモの際にイスラエル警察に銃撃されて負傷した17歳のパレスチナ人の若者の死亡が発表された。アルアクサー・モスクへのイスラエルの治安部隊の攻撃以降の衝突におけるグリーンライン内のパレスチナ人の2人目の死者だ。20日に葬儀が営まれる予定で、その際に何が起こるかが注目される。19日にもウンム・ファハムで自然発生的な抗議デモが発生し、イスラエル警察の大規模な部隊が催涙ガス弾でこれを分散させた。エルサレムでは19日夜、オリーブ山付近のトゥール等で衝突が再発した。
19日、レバノン南部からイスラエルに向けてロケット弾が4発発射された。レバノンからイスラエルへのロケット弾発射は、約1週間で3回目だ。イスラエル軍は、防空システム「アイアンドーム」が4発のうち1発を迎撃したと発表。別の1発はガリラヤのシェファ・アムル付近の空き地に着弾し、残りの2発は海に落ちたという。同軍は直ちにロケット弾の発射元の地域に向けて報復の砲撃を行った。この件に関して、同軍は「ロケット弾を発射したのはヒズボラではなく、連帯のメッセージを示そうとしたレバノンのパレスチナ諸派」との見方を示した。
―ワシントン特派員:ホワイトハウスの声明によると、バイデン米大統領は19日、ネタニヤフ・イスラエル首相に(イスラエルとガザの情勢激化が開始してから)4度目の電話連絡を行った際、「停戦成立に向けて、本日大幅な軍事行動の緩和が行われることを期待している」と伝えた。バイデン政権内には、「ネタニヤフ氏の政府が望んだガザでの軍事的目標は既に達成された。それゆえ軍事作戦を完了させる必要がない」との評価がある。また、オースティン米国防長官もガンツ・イスラエル国防相に電話連絡を行い、国防総省の声明によると、長官はイスラエル側に情勢を緩和させるよう促した。また、レバノン南部からイスラエルに向けてロケット弾が繰り返し発射されていることに関して、カービー米国防総省報道官は、紛争の範囲がガザ地区やその周辺を超えて地域レベルに拡大することへの懸念を表した。ブリンケン国務長官やサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)もガザをめぐる緊張緩和に向けて外交努力を行っている。また、メディア関係者によると、アムル米国務次官補代理は、イスラエルのネタニヤフ首相と会談した際、「米は停戦を求めている」とはっきり伝えた。
そんな中、米議会では「歴史的」と評される前例のない動きが起こっている。下院でコルテス議員らがバイデン政権にイスラエルへの精密誘導兵器の売却の停止を求める決議案が提出したのだ。この決議案が可決される見込みはないが、議会内部でイスラエルへの武器売却取引の停止を求める声が高まっていることは重要だ。また、上院ではサンダーズ議員がガザでの停戦を求める決議案を提出する予定だ。
―ガザ特派員(0603JST):過去数分間にイスラエルはガザ地区を3回空爆した。うち1回は中部デイル・バラハにあるパレスチナ諸派の拠点に対するものだった。過去2時間、イスラエルとガザの双方が攻撃を緩和させていたが、これらの空爆により、現地での状況は新たな段階に入るかもしれない。
―ガザ特派員(0658JST):過去1時間でガザ地区の複数の地域が空爆を受けた。ラファハのシャーブーラ難民キャンプ、デイル・バラハ等の住宅が標的となった。ハーン・ユーニス南東の税関付近にある住宅への空爆では、4人が軽傷を負った。また、一帯が停電した。他の多くの地域でも、発電所の燃料不足やインフラ等への空爆で停電が発生している。
―ニューヨーク市で、パレスチナとイスラエルをそれぞれ支持する集団が衝突し、これを収束させるために警察が介入した。
―(速報)米国務省は、「米は精力的に様々なレベルで停戦成立に向けて取り組んでいる」と発表した。
―(速報)ハニーヤ・ハマース政治局長は 、ドーハでウェネスランド国連中東和平担当特使と会談した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―米バイデン政権は発足後初めてハイレベルの使節団をシリア北部のクルド勢力(「シリア民主軍」)に派遣し、今後「クルド人による自治政府」の人材育成を支援していくことを約束した。米軍は2014年より同地で「イスラム国」と戦う国際同盟軍を率いているが、この戦いの完全勝利を期して、今後も駐留を続ける由。シリア民主軍司令官がツィートした。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―クウェートは、基本的な感染防止措置を遵守することを条件に、5月23日から飲食店内に着席する営業を許可する、と発表した。また同国政府は、入国者の検疫待機を廃止し、到着の日から3日以内にPCR検査をして陰性の証明をすることを義務付けることを決定した。これはクウェートが承認しているワクチンを接種済の者、新型コロナウイルスに感染して回復し、90日以上経っていない者等に対する措置。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―引き続き、パレスチナ・イスラエル情勢を連続報道。