アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
21日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
(パレスチナ・イスラエル情勢に関する特別報道体制を続け、「ミッドナイト・ニュース」がなかったため、ヘッドラインはなし)
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
エルサレム支局長の話:イスラエル首相府の声明によると、縮小安全保障閣議に出席した閣僚らはエジプトが提案した「無条件での相互(且つ同時)の停戦」に同意した。これは治安機関及び軍の指導部、特にアルガマン・総保安庁(シャバク)長官とコハビ軍参謀総長の勧告によって受け入れられた。この2人は「イスラエルの軍事作戦は目的を実現した」とする報告書を提出した。後の情報により、停戦は(現地時間)21日午前2時(0800JST)から実施段階に入ることが確認された。また閣議の冒頭、一部の閣僚は懸念を表明し、「今回の戦いでは、ヤヒヤ・シンワールやムハンマド・ダイフのようなハマースの幹部を殺害できていない」と非難。また、空軍による攻撃の成果について「極めてわずかで、期待されていた成果や目的を達成していない」と疑問を呈した。
(停戦合意は)エジプトが仲介しており、ベンシャバト・イスラエル国家安全保障会議議長はエジプトに(停戦の受け入れを)伝え、エジプトはパレスチナ側に「21日2時から実施段階に入る」と伝えた。停戦実施まで約2時間あり、その間に更なるロケット弾攻撃はあるかもしれないが、2時以降はすべての抵抗諸派が停戦すると見られる。
縮小閣議のメンバーの合意には、仲介としてエジプトがこの後も停戦調停を続けることが盛り込まれているが、閣僚らは「成功しないだろう」としている。なぜなら、イスラエルの全派は「ハマースにこれまでと同じような軍事力やロケット弾による攻撃力を再構築させない保障」を条件として求め、パレスチナ側は「アルアクサー・モスクやシェイク・ジャッラーハ地区等での敵対行為の停止」をイスラエルに求めており、縮小閣議のメンバーらは「双方の立場の隔たりによって実現は不可能だ」と述べた。現在の合意は、両者無条件によるものであり、誰も過去数日間に仲介者と協議した条件を満たすことができていない。
―ハマースの反応(字幕まとめ):エジプトの兄弟たちが、「相互且つ同時に停戦することで合意に達した。停戦は(現地時間)21日午前2時(0800JST)に開始される予定」と我々に伝えた/イスラエルがこの停戦を順守するなら、パレスチナ抵抗勢力も順守するつもりだ。
―イスラム聖戦運動(字幕):エジプトが「21日午前2時から相互且つ同時に停戦に入ることをイスラエルが受け入れた」と我々に伝え、我々はこれに同意した/(アルジャジーラ・ネット)ナハーラ書記長:敵が順守することを我々も順守し、いかなる違反に対しても反撃するつもりだ。
ガザ特派員の話:パレスチナ抵抗諸派はおそらく、この停戦合意を順守するだろう。少なくとも抵抗諸派は何度も、「停戦に対する停戦」を強調し、「イスラエルが順守する限り、エジプトやその他の仲介によって成立したいかなる合意も順守する」と表明してきたからだ。
―エジプトの声明(字幕まとめ):エジプトの主導により、ガザ地区において21日午前2時から相互且つ同時に停戦を開始することで合意に達した/エジプトは合意履行をフォローするために、テルアビブとパレスチナ各地に治安代表団を派遣する予定。
―ハマースの軍事部門「カッサーム部隊」のアブー・オベイダ広報担当は音声による声明を出した。以下要旨。
我々は共同体全体を代表して、名誉・意思・力を以て、エルサレムを守るために「エルサレムの剣」という戦いに突入した/アッラーの加護により、我々は敵(イスラエル)とその脆弱な軍隊に恥辱を与えることができた。イスラエルの指導部は、計画的に狙って子供・女性を殺害したことや住宅塔・民間施設の破壊を誇った/イスラエルは虐殺で満たされた暗黒の歴史から教訓を得ていない。虐殺は我々の抵抗の拡大を食い止めず、我々の銃やロケット・ランチャーを黙らせることはできなかった/アッラーのおかげで今回の戦闘のための準備を我々自身で首尾よく行った。シオニストの強奪者たちが、我々の民衆・家族・神聖なものに挑むなら、彼らを苦しめる物を我々はまだまだ持っている/仲介者たちによる停戦が周知の事となったが、我々は明確に表明する。我々はパレスチナの北端から南端をカバーする大規模なロケット弾攻撃の準備をした。正確には、北はハイファの敵の拠点から、南はラモン国際空港までだ/しかし我々は、停戦の枠組みにおけるアラブ諸国の仲介に応え、敵の振舞いを見極めるため、21日午前2時までこのロケット弾攻撃を中止することにした/この攻撃を開始するかどうかは、敵が午前2時まで完全に敵対行為を停止するかどうかによる。イスラエル指導部はこの数時間、真に重要な試練に晒されている/ロケット弾攻撃の決定は、午前2時まで検討され続ける。
エルサレム支局長の話:アブー・オベイダ広報担当の声明の中で重要な点は2つあり、1つ目は「アラブ諸国の仲介による停戦の受け入れ」と「攻撃に向けた力と能力の維持」の表明だ。2つ目はイスラエルに対して「今後2時間にいかなる愚行を行った場合にも、カッサーム部隊はイスラエルの北から南まで攻撃できる」と警告したことだ。これがパレスチナ抵抗諸派の明確な立場だ。これに対して毎晩会見をしていたネタニヤフ・イスラエル首相は、今夜に限って何の発言もせず、姿も表していない。それは停戦の決定後、「勝利し、成果を上げた」と首相が納得できる根拠がないからだと思われる。縮小安全保障閣議に出席した閣僚内でも、例えエジプトの提案による停戦を受け入れることを全会一致で承認したとしても、「ヤヒヤ・シンワールやムハンマド・ダイフのようなハマースの幹部を殺害せずに、どのように戦争を終結させるのか」という困惑や、空軍による5段階にわたる空爆のわずかな成果に対する非難をめぐり、議論がなされたことからも明らかだ。
アシュケロン南部の特派員の話(0645JST頃):ガザ地区北東部からロケット弾2発が発射され、「アイアンドーム」によって2発とも迎撃された。少し前にイスラエル軍は、「現在、ガザとの境界地帯の多くの地域がロケット弾攻撃に晒されている」と述べ、境界付近の住民に「避難所に留まるか、家から出ないよう」無期限に求めた。この要請はガザ地区との境界フェンスから7km圏内の地域にあるイスラエルの村々に及んでいる。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―ハマスは、今回のイスラエルとの「非対称戦争」で、抵抗の英雄であると同時に被害者であるとのイメージを国際世論に植え付けることを狙ったが、威力を増したロケット弾がイスラエルの一般市民を殺傷したことで、欧米の同情を買うことができない窮地に陥った。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―スーダン当局は同国の新型コロナ感染状況が「極めて危険」な状態にあるとして、全国の学校を1か月間閉鎖すること、インドからの入国を14日間禁止すること等を決定した。保健省によれば、PCR検査の陽性率は50%以上(65,252人の検査に対し、34,707人が陽性)に上っている。累積新規感染者数(現状約3.5万人)は6月には10万人を超えることが懸念されている。(アッシャルク・アルアウサト紙)
―バーレーンは、ほとんどの公共施設への入場はワクチン接種済者(及び新型コロナ・ウイルスに感染して治癒した者)に限定される、と発表した。ワクチン接種を受けていない成人(18歳以上)は、21日よりモール(大型商業施設)への入場ができない。(同上)
<特記事項・気付きの点>
―引き続き、パレスチナ・イスラエル情勢を重点的に連続報道。