アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
12日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ エジプト外相、安保理がルネッサンスダムの貯水を非難しなかったことへの不快感を示した後、この件をEUと協議するためブリュッセルに向かう。モスクワではスーダン・露が協議へ
■ アフガニスタンで戦闘が過熱、パキスタンがアフガン内戦勃発を警告。イランは東部国境での警備を強化。米は、外部からの押し付けによらないアフガン人自身が率いる交渉での解決を呼びかけ
■ スーダンで治安の混乱による死者。政府は南コルドファン州と紅海州に部隊を増派
■ オマーン国王、サウジ国王の招待に応じて同国を公式訪問。両国王は全分野を扱うサウジ・オマーン調整評議会設置を発表
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―シリア東部の駐留米軍が24時間で2度目の攻撃を受けた。シリアとイラクのメディアによると、標的となったのはデリゾール東郊のコニコ・ガス田にある米軍基地。また、シリア国営通信によると、デリゾール郊外のオマル油田にある米軍基地もロケット弾で攻撃された。
―ベネット・イスラエル首相は週例閣議で、「レバノン国家は、イランが掌握する全ての国がそうであるように、崩壊の瀬戸際にある」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ハイサム・オマーン国王が2020年1月の就任以来初の外遊でサウジを公式訪問し、サルマン国王と会談した。その際に両国の協力拡大に向けたサウジ・オマーン調整評議会の設置が決定された。オマーン国王はサウジに2日間滞在予定。サウジの湾岸研究センターのアブドルアジーズ・サクル所長は、オマーン国王のサウジ訪問を「経済などの様々な分野で重要な結果を生む」と評価した。また、オマーン人ジャーナリスト・国際問題研究者のサーレム・ジャフーリー氏は、「今回の訪問は極めて重要。2国間の関係に加え、イエメン危機やイラン問題等の主要課題についての両国の視点が話し合われる」との見方を示した上、「オマーンはイエメン危機解決への努力を後押ししているが、現在までのところ、この努力への反応は、直接対話を開始するには十分ではない」と述べた。
○ エジプト情勢
―シュクリー外相は、ルネッサンスダム問題に関してEUの諸機関の支援を求めるため、ブリュッセルに向かった。この数時間前に同外相は、エチオピアによる同ダムの2度目の貯水に対して安保理が非難を表明しなかったことに不快感を表していた。また、マフディー・スーダン外相は、モスクワで露高官らと会合する予定。ダムの件が議題の筆頭に来るとみられる。一方、アビー・エチオピア首相は、下流に位置するエジプト・スーダンに対し、「両国を脅かす損害は存在しない」「エチオピアはナイル川の水の公正な配分を望んでいる」と説明している。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン各地で戦闘が過熱。タリバンは「中部バーミヤン州の4つの検問ポイントと中西部ゴール州のユーラーを制圧した」と発表した。一方、政府軍報道官は、「3州の5郡をタリバンから奪還した」と発表。また、国防省は、首都カブールをロケット弾攻撃から守るため、市内中心部に防空システムを設置したことを明らかにした。
―タリバン政治局のハイレベル代表団がトルクメニスタンの首都アシガバートに到着。タリバンの声明によると、代表団は同国の外務次官や他の高官らと会談し、アフガン和平に加え、政治・経済・治安各分野の関連する課題を協議した。
―クレシ・パキスタン外相は、アフガニスタンでの内戦勃発への懸念を表し、「軍事力による支配は、それが誰によるものであっても、問題解決にはならない」と指摘した。これに先立ち、パキスタン軍報道官は、治安悪化によるアフガン難民の流入を警告。パキスタンは「新型コロナウイルス感染拡大防止のため」として、対アフガニスタン国境のトールハム検問所を6日から閉鎖している。
―カービー米国防総省報道官はFOXニュースのインタビューで、アフガン政府とタリバンに対し、「紛争を終わらせるため、外部からの押し付けによらない政治的解決」に至るよう新たに呼びかけた。また、「米はアフガニスタンでの外交上のプレゼンスを維持する」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―シェイク・スーダン内相は、「紅海州と南コルドファン州の状況をコントロールして住民の安全を実現するため、両州に合同部隊が向かう」と発表した。政府が緊急閣議を開いて両州での緊迫した治安情勢を協議した後のこと。ハムドゥーク首相は閣議後、治安の混乱を制止して関与が確認できた者を拘束するため、厳重な治安措置を講じるよう命じた。また、内相が率いて閣僚や治安組織幹部らからなる代表団をポートスーダンに派遣するよう指示した。
―スーダン・南コルドファン州のバシール知事はアルジャジーラのインタビューで、「ガドグリでカワーヒラ族とハワーズマ族の間で発生した抗争のため、13人が死亡した」「戦闘は9日に開始し、10日の夜遅い時間まで続いた」「抗争による暴力と負傷者の増加が原因で、東部の山岳地帯に向けて住民の避難の動きが起こった」と述べた。抗争の拡大を避けるため、州内の6地域での緊急事態宣言の発令を決めたという。
―スーダンの紅海州で、部族関連の事件が発生したことを受け、緊急事態宣言が出された。同州の州都ポートスーダンのサルボーナー地区で、何者かが爆発物を爆発させて5人が死亡、複数が負傷した。紅海州知事事務局の広報担当によると、治安機関は事件の実行犯を拘束した
―ロンドンのウェンブリー競技場で行われたサッカー欧州選手権決勝で、伊がPK戦を制してイングランドを退け、1968年大会以来2度目の優勝を果たした。
エリコの目
―イラン反体制派組織の「ムジャヒディン・ハルク」は前例のない規模のリモート「大会」を開催し、アルバニアのキャンプに亡命中の数千人をはじめ、ベルリン、ロンドン、ブリュッセルの反体制組織等が参加した。また、ポンペイオ前国務長官を筆頭にVIPも参加した。マリヤム・ラジャウィ・イラン国民抵抗会議議長が演説し「ライシ師が大統領に選ばれたことは、『法学者による支配』体制が民衆の反乱を恐れ、政治的な死を迎えていることに他ならない」「民衆は勝利に近づいた。イランは解放される」などと述べた。(アルアラブ紙)
(エリコ注:同組織はホメイニ師と共にパーレビ王制を打倒したが間もなくイランを追われ、サダムフセイン政権下のイラクで反政府活動を行っていた。2016年に米国(及び国連)が仲介して、数千人がアルバニアに「移住」している。米国はテロ組織指定を解除したが、依然テロ組織と見る国もある。)
中東の新型コロナ動向
―リビアでは、各都市で新型コロナの感染者数が急増しており、各自治体は、商業施設や飲食店、学校等公共施設、屋内施設のほとんどを閉鎖する命令を決定している。(流行が拡大している)チュニジアとの陸路・空路の国境を封鎖することを政府が決定したため、帰国できなくなったリビア国民を救援するための救援機がチュニス・トリポリ間で運航された。11日に発表された新規感染者数2、854人は、過去最高であった9日の1,710人を大幅に上回る数字。(アッシャルク・アルアウサト紙ほか)
<特記事項・気付きの点>
―特になし