アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
19日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ アフガン政府とタリバン、ドーハでの2日間の協議を終了。交渉の流れを加速させ、全土への人道支援物資到達ための措置を講じることで合意
■ スーダン、「ナイル川の水位が予期せぬ形で上昇するのを観測した」と発表し、エチオピアがルネッサンスダムでの貯水を実行できていない可能性を指摘。エチオピア側の説明はなし。エジプトは法的拘束力のある合意を改め て要求
■イラン、収監者交換を核合意から切り離すよう求め、米が収監者交換合意の存在を否定したことを「許容できない」と批判。米国務省は「イランはウィーン協議停滞の責任逃れを試みている」と反論
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―五輪出場のため来日した仏のスケートボードのチームは、茨城県笠間市のスケートパークで練習を続けている。選手の1人は、「数日前に到着してから、仏とは異なる猛暑に適応するのに苦労している。その一方で、住民から受けた歓迎に非常に満足している。練習用の素晴らしいスケートパークもあり、ここにいられることをとても嬉しく思う」と話した。スケートボード競技が五輪で行われるのは今回が初めて。新型コロナの感染拡大の影響による日本の当局の決定で、五輪は無観客で行われることになったが、練習の見学客らは、フェンス越しとはいえ、この機会に選手らと記念写真を撮ることができた。練習を見学していた男性は、「五輪が無観客で行われ、子供たちが競技を近くで観戦する機会はない。それで今日は、練習を直接見られるようここに連れてきた」と語った。東京五輪のスケートボード競技は、ストリートとパークの2種目に分かれ、計80人の選手が参加する。(スポーツニュース)
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン外務省のハティーブザーデ報道官は、(米英に)収監者交換合意の実行を呼びかけ、米が合意の存在を否定したことを批判した。また、ウィーンでの核合意をめぐる交渉のイランの責任者であるアラグチ外務次官は、米が収監者交換問題を核合意の協議再開と結び付けていることを批判。一方、米国務省は収監者交換についてイランと合意に達したことを否定し、「イランは核合意をめぐる交渉停滞の責任から逃れようとしている」と非難した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―「OPECプラス」は、今年末までの段階的増産(減産縮小)と現行の合意の来年末までの延長、および来年5月から全体のベースライン生産量を日量(4380万から)4550万バレルまで増量することで合意。UAEの生産割り当てを日量350万バレルに増やし(316.8万から、同国が要求していた日量は380万)、イラクとクウェートについては日量15万バレルずつ増量、サウジと露はそれぞれ1150万バレルに増量(50万バレル増)するとした。
―サウジのアブドルアジーズ・エネルギー相は、OPECプラスの会議の終わりの記者会見で、来年9月に原油の減産を完全に終える意向を示し、「参加諸国は今後数か月、互いに協力して市場の状況に対応し、需要を満たし続ける」と述べた。一方、マズルーイUAEエネルギー・インフラ相は、「UAEはOPECプラスに従って、常にその範囲内で活動し、市場でのバランスを実現するため最大限の努力を払っている」と述べた。
○ エジプト情勢
―スーダン水資源・灌漑・電力省の筋によると、同省はエチオピア高原での豪雨の後、青ナイル川に流入する水量の増加を観測した。この筋は、「技術的不具合のため、エチオピアにルネッサンスダムでの貯水が実行出来ていないことが増水の原因」だと推測している。一方、シーシー・エジプト大統領は、カイロでの王中国外相との会談で、ルネッサンスダムの稼働・貯水に関する法的拘束力のある合意にエジプト・スーダン・エチオピアが署名することを要求する姿勢を確認した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル警察の部隊は18日未明、エルサレムのアルアクサー・モスクの敷地に突入し、ユダヤ人の過激派が宗教儀式を行えるよう、パレスチナ人の礼拝者らを追い出した。パレスチナ外務省は国際社会に対し、イスラエルが続けているアルアクサー・モスクへの攻撃を止めるため断固とした姿勢を取るよう求めた。ハマースはパレスチナ人民に対し、エルサレムに赴いて同モスクの敷地に留まるよう呼びかけた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―カタールのカフターニー外相特使(テロ対策・紛争調停担当)の主宰の下、ドーハで2日間続いたアフガニスタン政府とタリバンの協議が18日に終了。両代表団は共同声明を出して、協議での合意内容を発表した。声明の要旨は以下の通り:紛争の公正な解決に至るため、交渉を加速させる/イスラムの原則に基づき、アフガンの利益となる解決に至ることの重要性を双方が確認した/解決に至るまでハイレベルでの交渉を続ける/双方が民間施設の安全保障と民間人への攻撃阻止に取り組む/全土での人道支援提供で協力する。
―ナイーム・タリバン政治局広報担当(ドーハ協議での代表団メンバー)は、「協議は互いの見解を近づける良い機会だった」「タリバンと政府両代表団の会合は継続する」とアルジャジーラに述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―「イスラエルはなぜエジプトとエチオピアの仲裁に乗り出さないのか?」イスラエルの記者が同国マアリフ紙に書いた記事の要旨:2年前にイスラエルはエジプトに仲介を要請されたが、解決の見込みは薄く、やがて、エジプト、エチオピア両国は非難の矛先をイスラエルに向けかねないと懸念された。イスラエルは建国70年になるが、未だ、他国の問題を解決しようとの熱意はその外交にない。それは、能力の問題ではなく、政治的文化の問題だ。イスラエルは軍事的には強国だが、外交では力を有しておらず、エジプトのように様々な国に影響力を与えようとの行動はとらない。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
―リビアでは、新型コロナ感染が始まって以来最大の感染拡大が起きている。17日の新規感染者数は4,061人、死者数は28人であった。国立疾病対策センターによれば、この新規感染者数は15日にPCR検査した9,927人の検体に対するもので、陽性率は41%に上ったという。また、隣国でデルタ型変異株が流行していることが原因であるとして、同センターでは対策としてザーウィヤ、ズワラ、ミスラータ、ズリティン等の感染急拡大地域に緊急ワクチン接種計画を実施する、と発表した。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし