アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
20日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■バグダッド東部の市場で爆発が発生し、30人以上が死亡、数十人が負傷。当局は将校1人を拘束し、調査を開始
■ルネッサンス・ダムの2回目の貯水の完了後、エチオピアは「下流の国々に損害を与えない」と述べる。スーダンは「一方的な措置」を拒否
■米政府、「対イラン制裁は、交渉を通じた外交によって解除されない限り継続される」と表明。イランは「ウィーンでの協議は新政権発足後に再開される」と確認
■タリバン、アフガン軍兵士数十人の解放を発表。米はドーハでの協議の成果を歓迎し、アフガンの近隣諸国に解決を支援する役割を求める
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―東京五輪の取材に当たる報道関係者は、新型コロナ対策による行動制限によって多くの困難に直面しており、活動や取材にも影響が及んでいる。メディアセンターがオープン(1日にプレオープン、13日から本格稼働)して約1週間が経ち、東京に押し寄せた国内外の報道関係者が活動を開始。入場を希望する人々は皆、毎日、規定された予防措置を行わなければならない。また、日本の当局は取材中の行動についても厳しい制限を設けている。これは、特にこの2週間に増大している感染者の人数を抑えるためだ。記者らは、「センターに到着したらまず体温を測り、コロナ対策のために設けられた多くの手続きを細かく実施しなければならない。また、インタビューをする選手とは2メートルの距離を保たなくてはならず、これまでとは全く状況が異なっている」、「制限は非常に厳しい。私たちはセンター内で主に活動し、入国から2週間までは他のどの場所へ行くこともできない。撮影も限られた場所でしかできない」、「過去の五輪とは違い、センターが非常に静かで寂しい。以前は活発で活き活きとしていた。しかし、コロナ対策による制限で、私たちの活動は非常に困難で、制限されている」と述べた。五輪の取材には国内外からの報道関係者約6千人が参加すると見込まれ、厳しい措置や手続きにもかかわらず、あらゆる観点から見て例外的な状況の中で、五輪の開幕を待っている。
(スポーツニュース)
○ イラン・イラク・シリア情勢
―バグダッド東部のサドルシティにあるウハイラート市場で爆発があり、31人が死亡、35人が負傷した。国防省傘下のセキュリティ・メディア・セルによると、爆発は国産の爆発物によるものとのこと。カージミー首相は調査の開始を命じ、軍は同市場の責任者である将校1人を拘束した。
―プライス米国務省報道官は、「全ての米による対イラン制裁は、交渉を通じた外交によって解除されない限り継続される」「イランで新大統領が選出されたことによって、核合意をめぐるウィーンでの協議が進展することを望んでいる」と述べた。
―ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米政府高官らは「イランに核合意への復帰を促すため、中国へのイランの石油輸出に対して厳しい制裁を科すことを検討している」と述べた。一方、ハティーブザーデ・イラン外務省報道官は、「ウィーンでの協議を中断しているのはイランでの政権移行が理由であり、イランの政策は変わらない」と述べた。
―レバノン大統領府は、ハリーリー元首相がアウン大統領と組閣案をめぐって合意できず、組閣の断念を発表したことを受け、組閣を担う新首相を指名するための議会諸会派との協議を26日に開始すると決定した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ムハンマド・サウジアラビア皇太子とムハマド・アブダビ皇太子がリヤドで会談。両国の良好な関係と戦略的協力を確認し、地域の諸問題等について協議した。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―プライス米国務省報道官は、アフガニスタンの近隣諸国に「アフガンにおける紛争の包括的な政治的解決の支援において、建設的な役割を果たすよう」呼びかけた。また、アフガン政府とタリバンがドーハでの協議後に出した共同声明の内容(協議を加速する必要性を確認)を歓迎し、タリバンに対して「インフラと民間人の保護・人道支援における協力等に関する同声明の約束を守るよう」求めた。
―アフガン国家和解最高評議会のアブドラ議長はアルジャジーラのインタビューの中で、「アフガン政府とタリバン双方に柔軟性が必要だ。もちろん、これまでの協議で柔軟性が示されたが、過去の協議は遅々として進展しなかった。従ってこれまでよりプロセスを加速する必要がある」「我々は政治的解決に向けて真の問題や主要事項について話し合いを開始しなければならない」「協議の当事者らは、未だに停戦・平和的解決・国家の将来に関する明確なロード・マップで合意に達していないが、協議を継続することで合意した」「政府とタリバン間の協議が続いている間に合意に至ることを望む」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―エチオピアは「ルネッサンス・ダムの2回目の貯水を完了した」と発表。シレシ水資源・灌漑・エネルギー相は、「スーダンとエジプトに損害を与えることを望んでいない」「エチオピア高原での豪雨によって貯水が加速し、予定の8月初めより前に完了した」と述べた。一方、スーダン水資源・灌漑・電力省は「エチオピアによる一方的な措置を拒否する」と述べ、「政治的意志があれば、同ダムの貯水と稼働等に関する法的拘束力のある包括的な合意に達するために、時間はまだ十分にある」と述べた。
―ハック国連事務総長副報道官は、「記者・政府高官・活動家の電話をハッキングするためにスパイウェア『ペガサス』が使用されていたとの報告を国連は知っている」と述べ、「サイバー活動によって個人の権利が侵害されないようにすることを含むより良い規約(を設けること)」を改めて求めた。
―バチェレ国連人権高等弁務官は、スパイウェア「ペガサス」について明らかにされたことを「極めて遺憾であり、記者・活動家、政治家の監視等に監視テクノロジーが悪用された最大の恐怖だ」と述べた。また、各国政府に「監視技術の人権侵害への悪用を阻止すべく、具体的な措置を講じるよう」求め、「反体制派や批判する者を弾圧するために監視ツールが悪用される危険を回避すべく、人権(保護)に即した組織的な枠組みを設けることが必要だ」と述べた。更に、監視技術の開発に関与している企業に対し、「製品による損害を回復する措置を直ちに講じるよう」求めた。
エリコの目
―レバノンのヒズボラは、着地時の誤差が10m未満の高精度のミサイルを百発以上有し、イスラエルへ照準を向けている。この状態を是正すべく先制攻撃に出るのがイスラエルの常套手段であるが、厳しい反撃を受けるのは必至である。イスラエルとしては、戦争以外の方法、例えば、今次のレバノンの経済危機によってヒズボラが回復し難いダメージを受けることを願っている。(アルマヤディーン・ネット)
中東の新型コロナ動向
―サウジアラビアは、8月9日より、全ての国民に対し、海外渡航を許可する条件として「2回目のワクチン接種済であること」を義務付ける。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし