アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
22日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ エチオピア、「ルネッサンス・ダムの2回目の貯水は、下流2か国に損害を与えなかった」と述べる。スーダンは一方的な措置の回避を呼びかけ、エジプトは国際社会に交渉プロセスの後押しを求める
■ イラン、ライシ次期政権下の核合意をめぐる交渉の方向性に言及し、「制裁に関してロウハニ政権が成立させたことは、イランの法律と一致しない」と確認
■ タリバン、アフガニスタン軍の捕虜を新たに解放。カンダハル、ナンガルハル、クナル各州で攻撃発生。米、「アルカイダの脅威が再熱した場合に行動する用意がある」と述べる。露は介入又は攻撃を実施する可能性を否定
■ 米独、露のガスパイプライン「ノルドストリーム2」をめぐる合意を発表。露がエネルギーを武器として利用することを阻止する等の内容
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン政府報道官は、「イラン国家安全保障最高評議会で『制裁解除及び国益保障に関する法律』に基づき設置された委員会は、ロウハニ政権がウィーンで達した理解は、議会が(核合意に関して)制定した法律と一致しないことを確認した」「ライシ次期政権は交渉を継続する」と述べた。
これに先立ち、プライス米国務省報道官は、「米は、イランの新大統領が核合意をめぐるウィーン協議の前進を選択することを期待している」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―ルネッサンス・ダム問題をめぐり、エチオピア外務省はツイッターで、「エジプトとスーダンは、2回目の貯水で損害を被ることはなかった」「善意に基づく交渉が行われれば、全員の利益を実現する合意に達することは今も可能だ」と投稿した。これに先立ち、ハムドゥーク・スーダン首相は、「単一の意志(一方的な措置)から離れるよう」呼びかけた。一方でシーシー・エジプト大統領は、「法的拘束力のある公正な包括的合意に達するべく、国際社会が真の政治的意思をもって、交渉プロセスを真剣に後押しする重要性」を改めて確認した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―タリバンは、「イード・アルアドハー(イスラム教の犠牲祭)に際して、6州でアフガニスタン政府軍の捕虜145人を解放した」と発表した。一方で、政府軍とタリバンの戦闘により、カンダハル州ダンド郡のタリバン支配地域で過去24時間に民間人7人死亡、40人負傷した。治安筋によると、ナンガルハル州ホジヤニ郡で爆発物の爆発により民間人6人が死亡した。また、国防省筋によると、クナル州ガジアバド群でタリバンの戦闘員らが政府軍の検問所を襲撃した。
―アフマドザイ・アフガニスタン国防省報道官はアルジャジーラのインタビューで、「政府軍は、国内の主要道路及び検問所の奪還に向けた包括的計画を策定した」「今後数日間で状況は変わるだろう」と述べた。
―タリバン広報担当はAFP通信に対し、「タリバンは、イード・アルアドハーの間は自衛を除いて戦っていない」と述べた。また、シャヒーン・タリバン政治局広報担当はCNNのインタビューで、「タリバンが一部の郡を制圧したのは、これらの地域の治安部隊が我々の戦列に加わった後でのことだ」「タリバンの方針は、アフガニスタンで平和的解決に達することを基盤としている」と述べた。
―オースティン米国防長官は記者会見で、「タリバンが正統性の獲得を望むのなら、アルカイダにアフガニスタン国内で『安全な隠れ家』を提供しないとの約束を果たすべきだ」と確認し、「現時点では、アフガニスタンから米への『テロの輸出』防止に尽力している」と述べた。
―ラブロフ露外相はインタファクス通信に対し、「アフガニスタンへの部隊の派遣や、同国のテロ集団に対する攻撃の実施を検討していない」「露は米にタジキスタンやキルギスの軍事基地の使用を提案していないが、露の軍事基地が収集した情報を米、中国、パキスタンと交換する用意はある」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―米と独は21日、露からドイツに天然ガスを運ぶ海底パイプライン「ノルド・ストリーム2(NS2)」をめぐる合意を発表した。両国は共同声明で、「露がエネルギーを『武器』として使用することを試みた場合には、独は制裁も含めた露の対欧州エネルギー輸出制限措置を講じる」「米独は、ウクライナが2024年以降も露のガス輸出の経由地であり続けることは、ウクライナ及び欧州の利益であるとの認識で一致している」「露産天然ガスをウクライナ経由で欧州に輸出することに関する露とウクライナの協定を最長で10年延長すべく、独は全ての影響力を行使する」と述べた。
―上記について、クレバ・ウクライナ外相は、「NS2をめぐる米独の合意はウクライナの安全に対する脅威であり、欧州の『エネルギー源の多様化の原則』に反する」と述べた。また、ヌランド米国務次官(政治担当)は、「NS2は『悪い取引』で、(欧州の)露への(エネルギー)依存を高める」「米は、ウクライナを沈黙させることに取り組むことはない」と述べた。
―ユネスコ、「都市開発で歴史的景観が損なわれた」として、英中部の港湾都市リバプールの世界遺産登録抹消を決定。登録抹消はこれが3例目。
エリコの目
ー「米軍は完全に敗北した。タリバンを殲滅することが介入の目的だったがわれわれはそれを達成できず、タリバンはアフガニスタンを支配しようとしている」帰国した海兵隊員の言葉だ。多数の米軍将兵が命を落とした20年のアフガン戦争は何であったのか?元兵士の間で自問が続き、それをベトナム戦争に準える者もいる。(アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
ーイラク保健省は、感染者数増大のため、もはや「病院は新型コロナ感染者の入院を受け入れられなくなった」と警告を発した。そして「この先、非常に危険な状態となるため、高等委員会が会合を開き、厳しい対策を検討することになるだろう」と述べた。19日には、新規感染者数が過去最高の9,883人を記録し、20日の現在感染者数は12,0408人と、拡大の一途を辿っている。
<特記事項・気付きの点>
―特になし