アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
31日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ オマーン沖でイスラエル系企業が運航するタンカーへの攻撃が発生。米高官らはイランに攻撃の責任があるとの見方。イスラエルは厳しい反撃を警告。イランメディアは「タンカーに対する作戦は、シリアでの攻撃に対する報復」と報道
■ チュニジア大統領、自身の取った措置は憲法に則ったものと主張し、国民にデモを呼びかける者らに警告を発する。 議会議員の免責特権剥奪措置の適用が開始し、ヤーシーン・アイヤーリー議員が拘束される
■ リビアで沿岸道路が再開、東西の両勢力が共に歓迎。米は「国の統一に資する」と評価。国連は傭兵撤収を呼びかけ
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし(日本企業所有でイスラエル系企業が運航するタンカーに対する攻撃関連はイラン情勢の項目に記載)
○ イラン・イラク・シリア情勢
―オマーン沖で30日、イスラエル系企業「ゾディアック・マリタイム」が運航するタンカー(日本企業所有)が攻撃を受けた。欧米情報筋はロイター通信に対し、同タンカーへの攻撃で主に疑われているのはイランだと述べた。また、米の軍関係の高官は、タンカーが無人機で攻撃されたと見方を示した。同企業は「攻撃で乗組員2人(英国人とルーマニア人)が死亡した」「船は米海軍が監視する中で安全な場所に向けて航行した」と発表。イスラエル軍放送(ラジオ)によると、タンカーに積み荷はなく、タンザニアからUAEのフジャイラ港に向かっている途中だった。
―ロイター通信はイランの「アルアラムテレビ」を引用して、「(上記の)タンカー攻撃は、シリアのダバア空港へのイスラエルの攻撃に対する報復だった」と報じた。イスラエルのラピド外相は、「厳しい反撃」を呼びかけ。米国務省は同攻撃に対する懸念を表し、真相解明のため状況を注視するとした。
―シリアの地元筋によると、政府軍はダラア県の諸戦線に新たな援軍を派遣し続けている。これに先立ち、反体制派武装勢力は、同県各地で政府軍と衝突していた。米国務省は、ダラアの状況に深い懸念を示して緊張緩和を呼びかけ、人道支援物資のスムーズな輸送と民間人の自由な移動を許可するよう求めた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジメディアは、同国率いるアラブ同盟軍の声明を引用し、「同盟軍はサウジの商船に対する無人機での攻撃を未然に防いだ」「ホウシー派はイランの支援を受け、紅海南部での航行を脅かし続けている」「同盟軍の努力は、航行の自由とバーブルマンデブ海峡を通過する船舶の安全の保障に貢献した」と報じた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―チュニジアのサイード大統領は、米メディアの代表者らを迎えた際、「議会停止と首相解任の措置は、憲法の枠組みから外れるものではない」と改めて主張し、「言論の自由は保障される」「チュニジアでは、自由権に触れることは一切行われない」と述べた。また、一部の政治指導者らが「国民にデモを呼びかける」と警告したことを「憲法と法的措置に反する」と評し、「最近取った措置の目的は、奪われた権利をチュニジア国民に戻すことだ。正義は歩みを進めなければならない」と強調した。
―チュニジア大統領府の告知によると、サイード大統領は、外務省のムハンマド・アリー・ナフティ国務長官を解任した。理由は明らかにされていない。
―「チュニジア民主潮流」党のアッブー前書記長は、地元のラジオ番組に出演した際、憲法第80条の適用期間を延長しないよう警告し、延長は重大な事だとみなされるとした。サイード大統領は、この条項に基づいたとして首相解任、議会停止、議員の免責特権剥奪等の例外的措置を取っている。アッブー氏はまた、ナハダ運動のガンヌーシ党首(議会議長)に対し、「支持者らを火中に引きずり込まないように」と呼びかけた。
―チュニジア議会のガンヌーシ議長は伊紙「コリエーレ・デッラ・セーラ」のインタビューで、以下のように述べた(要旨):民主主義の回復に向けて、平和的・合法的なあらゆる手段で抵抗する/議会は国の政策決定機関の中枢に戻らなければならないと、大統領は理解すべきだ/チュニジアで起きたことはクーデターだ/合意に至るため、対話の余地はまだある/大統領が取った措置は全て拒否する。彼は国の行政・立法・司法の権限を全て掌握しようとしている/チュニジア人と欧州の人々は同じ船に乗っている。チュニジアに民主主義が戻らなければ、皆が混乱の中に沈み込むだろう。テロが助長され、不安定な状況によって人々があらゆる手段を使って移住する方向に押しやられるだろう。
―チュニジア司法当局は、「2018年に下された判決を執行して、議会のヤーシーン・アイヤーリー議員を拘束した」と発表した。チュニジア国営通信が司法筋を引用して伝えたところによると、同議員に対する禁固刑(2か月)の判決は、「軍での士気を喪失させるための活動に日々参加していた」との罪状に基づくもの。議会議員の免責特権を剥奪する大統領令が官報に掲載された後、軍事検察が判決を執行したという。同議員が所属する政党「希望と労働運動」は、「(大統領が首相を解任し、議会を停止したことを批判していた)アイヤーリー議員が自宅前で治安要員らに拉致された。その際、逮捕令状も他のいかなる書類も提示されなかった」と発表。アムネスティ・インターナショナルは、同議員拘束に対する懸念を表明。
―ナハダ運動の筋によると、チュニジア司法当局は、「(大統領に対する抗議デモで)暴力行為を働いた」との容疑で取り調べを行った同党の4人を釈放した。その中には、シューラー評議会メンバーでガンヌーシ党首の護衛だった人物も含まれていた。
―リビアの「5+5合同軍事委員会」は、「30日からリビアの東西を結ぶ沿岸道路(ミスラータ・シルト間)が再開される」と発表。また、国防相を任命して、安保理決議に規定されているリビアからの傭兵・外国部隊撤収を履行するよう挙国一致内閣に改めて求めた。国連リビア支援団(UNSMIL)は沿岸道路再開を歓迎。UNSMILを率いるクビシュ国連リビア特使は、「沿岸道路再開の次の主なステップは傭兵撤収だ」と指摘した。ドベイバ首相は、道路再開の措置を「国家建設と統一への新たな一歩」と評した。ノーランド駐リビア米大使は、「沿岸道路開通は商業・社会両面で国の統一に役立ち、国家予算の決定や12月の選挙の憲法上の位置づけ等の緊急課題に関するさらなる前進の布石となるだろう」とツイートした。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―乗組員(うち1人は英人)の死亡でイランとイスラエルの「タンカー戦争」は新たな局面に入り、今後激化するだろう。アラビア湾からオマーン海、バーブルマンデブ海峡を通じ紅海に至る航路はもはやイラン製ドローンの標的であり、航行の安全が著しく脅かされている。(ラアイアルヨウム紙)
中東の新型コロナ動向
―リビアでは、感染者数の急拡大から、各都市の「隔離センタ ー」が非常に混雑し、医療崩壊の様相を呈している。医療スタッフの数が全く足りていない。感染者数増大の傾向は主に西部に見られるが、東部が少ないのは、検査能力が限られているだけで、実際には同様に感染が進んでいると見られている。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし