アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
24日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、「今月末のアフガンからの撤退期限までに退避を完了する」と確認。EUは退避期限の延長を求める。タリバンは外国軍撤退の遅延に対して警告
■ カブール空港周辺で発砲によりアフガン兵1人が死亡。アルジャジーラ取材班は同空港内部に入り、退避作業が続く状況をレポート
■ イラン、「核合意をめぐるウィーンでの協議が時間の浪費になることを許さない」と述べ、協議の期限を定めるよう求める。
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―茂木外相のイラン訪問については、下記のイラン情勢の項目を参照。
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ハティーブザーデ・イラン外務省報道官は、「核合意をめぐる交渉に関してイランの主権を守る立場は、政権が交代しても変わらない。効果的な形で制裁が解除され、全当事者は義務を履行すべきだ。これはウィーンでのあらゆる合意の土台になるだろう」「新政府の樹立後、4+1諸国(英仏中露独)に進捗状況と交渉再開の日程を伝える予定だ」「欧州諸国が約束を履行せず、米が合意に違反しているため、時間(が長引くこと)は必ずしも核合意のためにはならない」「交渉が時間の浪費になることを受け入れない。交渉は決められた時間の枠組みにおいて行われるべきだ」と述べた。
―アブドルラヒヤーン・イラン議会議長顧問(国際問題担当)は茂木外相との会談中、「時間の浪費を止めることを条件に、ウィーンでの核合意をめぐる交渉を歓迎する」「ウィーンでの協議は建設的でなければならず、当事諸国に義務を履行させることを含むべきだ」と述べた。イラン議会はインターネット上のサイトで、「茂木外相は、『日本は核合意を支持し、全締結国に義務の履行を求める』と述べた」と伝えた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―グリフィス国連人道問題担当国連事務次長(元イエメン担当国連特使)は、同役職に就いて初めて国連安保理でブリーフィングを行い、「イエメンでは2千万人以上が人道支援と保護を必要としている。この人数は人口の約3分の2に当たる」「包括的人道支援の優先事項はおそらく、飢餓を阻止することだ」「現在、約5百万人が飢餓とそれに伴う病気を患う寸前の状態にある」「治安・経済・人道状況は更に悪化している」と述べた。
―キアリ国連事務総長補佐(中東・アジア・太平洋担当)は、「ホウシー派は依然として、イエメンの政治プロセス再開の条件を課している。それはホデイダ港とサヌア空港の再開、敵対行為と占領の終結だ」と述べた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル軍は、ガザ地区南部ハーンユーニスのパレスチナ抵抗運動の拠点をはじめ、地区内各地を空爆した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ムジャーヒド・タリバン広報担当はツイッター上で、「親政府の武装集団が再び制圧していたバグラーン州の3郡を先週、奪還した」「パンジシール州の反タリバン軍事指揮官らがタリバンへの同州の引き渡しを拒否したことを受け、戦闘員は同州を包囲した」「タリバンは交渉による事態の打開を試みている」と表明した。
―ナイーム・タリバン政治事務所広報担当は、「パンジシール州がタリバン制圧下にないままであることは受け入れられない」「同州に戦闘員を送り込んではいるが、戦闘は望んでおらず、平和裏に問題を解決しようとしている」と述べた。
―サリバン米大統領顧問(国家安全保障問題担当)は、「アフガニスタンからの撤退期限である今月末までに退避を完了する」と確認し、「米国人とアフガン人協力者の退避作業において、米は大きく前進した」「今後数日間、アフガンからの出国を望む米国人の退避を完了できる十分な時間があると信じている」「退避作業は複雑で危険なものであり、兵站・人道面などの課題に直面している」「我々は、アフガンでの全ての出来事、空港に関する事、米国人と特別ビザ発給申請者やその他の外国人等の(カブール国際空港までの退避)経路の確保などについてタリバンと協議しており、この協議を継続する意向だ」「最終的にどのように(協議を)進展させるかについての決定権は、他の誰でもない米大統領にある」と述べた。
―カービー米国防総省報道官は、「米は今月末のアフガンからの撤退期限までにカブール国際空港からの退避を完了する」と確認し、「空港の外側に検問ポイントを有しているタリバンとの連絡回線は開いたままにし、円滑に空港に入るにはタリバンと常に調整する必要がある」と述べ、「同空港は安全になった」と述べた。一方で、これより前、「退避作業の期限延長が必要と見る同盟諸国の立場を検討している」とも述べた。
―米統合参謀本部のテイラー地域作戦担当副局長は、「米軍は退避作業において、中東や欧州の様々な国の軍事施設を利用している」「これらの国々の支援は、米と同盟諸国を結び付けるパートナーシップがいかに重要であるかの証拠だ」と述べた。
―ウォレス英国防相は、「ジョンソン首相は今月末後も(アフガンでの)米軍の任務を延長するようバイデン米大統領に説得を試みる意向だ」と述べた。また仏外務省は、「軍の任務を延長する必要がある」との見方を示した。一方、タリバンは「今月末の期限のいかなる延長も受け入れるつもりはない」と表明した。
―マース独外相は、「現在の退避作業の期間が無期限ではないことを認識している。そのため、アフガンから出国し、安全な生活をするために依然として保護を必要としているアフガン人支援者のために、ここ数日間、具体的な措置を講じてきた」と述べた。
―米国防総省は、「退避作業の開始以降、アフガンから約4万2千人を退避させた」と発表。米大統領は先週、「1万~1万5千人いると推測される米国人の退避を計画している。またアフガン人協力者とその家族5万~6万5千人にも同様の措置を講じることができるよう望む」と述べた。また、英は今月13日以降、アフガン人3,100人を含む5,700人以上を退避させた。一方、ボレルEU上級代表は21日、「米及び同盟諸国の軍隊が、期限内に数万人のアフガン人協力者とその家族を退避させることは不可能だ」と述べている。
―独軍は「23日朝、カブール空港付近で正体不明の武装集団との戦闘中にアフガン兵1人が死亡、3人が負傷した」と述べた。また、ロイターが伝えた軍事関係筋の話によると、独軍はこれまでにアフガン人約3千人を退避させた。
―独外務省は、「独人や外国人のアフガンからの安全な退避作業において、カタールが主導的役割を果たしている」と述べた。カタール軍は欧米人やアフガン人のカブール国際空港からの退避に貢献して、多くの航空機を派遣しており、これまでに数千人を移送している。
―クレシ・パキスタン外相は、「アフガンのタリバンがパキスタン等の他国に対する攻撃のために、アフガンの領土を利用させることを許さないと確信している」「アフガンの新たな指導部が、パキスタンのタリバンやあらゆるテロ組織を監視すること期待する。アフガンが再びそのような組織の安全な避難場所に戻らないよう望んでいるからだ」「タリバンが政府を樹立し、アフガンの政治的空白を利用されないようにすることを望む」と述べた。
―ロイターによると、イランの石油・ガス・石油化学製品輸出業者組合の広報担当は、「タリバンがアフガンを制圧して以降、停止されていたアフガンへの燃料輸出を再開した」「タリバンがイラン当局に要請し、数日前から輸出が再開された」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―イランはアフガニスタンのシーア派ハザラ族に対して、現下のアフガニスタン情勢から距離を置いて、タリバンを刺激しないよう求めた、とロシア紙が伝えている。「ニェザヴィーシマヤ・ガゼータ」が報じるところによれば、イラン政府がこの指令を出したのは、タリバンがもし国外勢力の介入があった場合はシーア派住民地区を「浄化」するかもしれない、とRTが報道したことを憂慮したもの。ロシア専門家は、タリバンはバランスのとれた現実的な政策を志向しているので、かかる衝突が起きる可能性について懸念する必要はない、と述べた。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
本日はお休みします。
<特記事項・気付きの点>
―引き続きアフガニスタン情勢を重点的に報道。