アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
26日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米国務長官、「アフガニスタンからの退避を容易にするための8月31日以降の計画を策定している」と述べる。独首相は国際社会にタリバンとの対話を呼びかけ
■ ガザ地区封鎖の解除を求めるパレスチナ人とイスラエル軍が衝突、複数が負傷。イスラエル、ガザ地区に対する措置の軽減を、捕虜帰還と結びつける
■ イスラエル、イランの核開発進展への対処計画を加速させる。イスラエル高官は、「アラブ諸国との反イラン同盟形成を米大統領に提案する」と述べる。イラン大統領は「制裁解除に向けた取り組みを続ける」と約束
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン国会は、ライシ大統領が提出した閣僚候補について、教育相を除き承認した。大統領は政府の重点政策について、「全ての国と関係を持ち、制裁解除に取り組み、コロナ感染拡大に歯止めをかけ、経済状況の改善に注力する」と述べた。
―シリア南部ダラアの「ダラア・バラド住民委員会」は、露の仲介により、アサド政権と停戦合意した。露警察部隊と親露「第8軍団」がダラア・バラドの市街に入り、停戦の定着を図るとともに、包囲された地域と政府軍支配地を結ぶルート上の民間人の移動の安全を確保する由。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジ国営通信は、「イエメンのホウシー派がハミース・ムシャイトに向けて爆弾搭載の無人機を放ったが、防空部隊がこれを破壊した」と報道。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―ベネット・イスラエル首相が就任後初の外遊でワシントンに到着した。米政府高官と相次ぎ会談し、イラン核問題などについて協議する。ベネット首相は米大統領との会談を控え、「イラン核合意に戻ることが適切な解決だとは思わない」と述べた。
―NYタイムズ紙によると、ベネット・イスラエル首相は「イランの核開発を抑え込む新たな手法を含む計画を米に示す」「この計画は、イランの覇権に反対するアラブ諸国との地域同盟の形成や、外交・経済的な一群の対イラン措置からなる」と語った。
―ガザ地区封鎖と国境検問所閉鎖に抗議するパレスチナ人の平和的な行進(イスラエルとの境界近くで実施)に対し、イスラエル軍が発砲し、パレスチナ人14人が負傷した。一方、ガンツ・イスラエル国防相は「ハマースのもとで捕虜となったイスラエル兵や国民を取り戻し、(ガザ地区と接する)南部が完全に沈静化して長期的解決に至るまでは、ガザ地区の再建は認めない」と述べた。
―エルサレム・ポスト紙は、コハビ・イスラエル軍参謀総長の話として、「軍はイランに対する作戦計画を加速させる。同国の核計画の進展が理由だ。そのために最近、防衛予算を割り当てた」と述べた。
―イスラエル国防相は「イランが核兵器製造の能力を得るまでに2か月しかない」と警告し、「現行のイラン核合意の再生ではない新たな計画の策定」を国際社会に呼びかけた。国防相はテルアビブでの各国大使との会合で、「イラン体制に、合意に調印して交渉に戻る用意があるかは不明だ」「イランの核兵器開発の進展を防ぐ実現可能な代替策が必要」「将来イスラエルは、イランが核保有国になるのを阻止する措置を講じる可能性がある」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ブリンケン米国務長官は、アフガニスタンからの退避作戦について「米国人やアフガン人協力者を支援する取り組みに最終期限はない」とし、「(外国部隊の撤収期限とされている)8月31日以降についても高度な計画を策定している」と述べた。また長官は、アフガン出国の支援を得ようと努めている米国人の数について「千人を大きく下回る」とし、「タリバンはこれまで約束を全て果たしている。責任ある行動をとることが彼らの利益になる」と語った。また、「イスラム国ホラサン州(IS-K)」による攻撃が発生する可能性がある、と指摘した。
―アフガニスタンの現地筋は、「有志連合のヘリが、ホースト、クナル、カンダハル、パクティアの各州から、アフガン人協力者をカブール空港に移送した」と述べた。一方、米紙WSJは米高官の話として、「カブール内外から米国民をカブール空港に移送する秘密作戦がここ数日、CIAの指揮で米軍ヘリにより行われている」と報道。
―メルケル独首相は、「アフガニスタンでタリバン(の支配)は実際に起きたことだ。苦い現実だが、対応せねばならない」と述べた。また「国際社会は『過去20年にアフガニスタンで実現した成果』を守るため、タリバンとの対話を継続すべきだ」と呼びかけた。
―ボーヌ仏欧州問題担当相は、アフガニスタンでの仏の退避作戦は26日夜で停止するとの見通しを示し、「仏は今月、カブールから2千人超を退避させた」と述べた。また、「退避の航空機で仏入りしたうち5人は、タリバンとの関係が疑われ、監視下にある。彼らは仏で難民資格を得ることはなく、第3国に退去となるだろう」とした。「アフガンからの移民の波が発生する恐れがないと決めるのは早計だ。あらゆる事態を想定し、それに対処すべくアフガンの近隣諸国と連携すべきだ」とも語った。
―ペスコフ露大統領報道官は、「アフガニスタンにはイスラム国(IS)構成員が存在し、そのためテロの脅威度は高い」「アフガン国民ではない『真のテロリスト』がいる。現地の状況は依然緊迫しており、懸念を持って注視している」と述べた。
―バラダル・タリバン政治局長は、カフターニー・カタール外相特使とカブールで会談し、「カタールがアフガン国民への人道支援を継続するよう願う」と述べた。カフターニー特使は、「アフガンの各勢力に平和的な政権移行プロセスの加速、アフガン国民の期待に応える包括的政府の樹立」を促すためにアフガニスタンを訪問。カルザイ元大統領、アブドラ国家和解高等評議会議長、ヘクマティヤル「イスラム党」党首とも会談した。
―カブール空港の周辺は25日、(外国軍の撤収期限に伴う)今月末の退避作戦の終わりを前に、出国を望むさらに多くの人々が詰めかけた。緊迫した状況の中、銃声も聞かれた。
―カブール空港では、複数の国の軍用輸送機による、自国民やアフガン人避難者の退避作戦が続いている。(特派員が空港内から、多数のアフガン人が韓国空軍機に登場する場面、カタール機への搭乗を待つアフガン人家族の様子を報告)
―トルコ政府の高官2人は、アフガニスタン駐留トルコ軍について、「タリバンは今月末の撤退に拘っている」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―アルジェリアは、リビアにおける議会選挙実施を支援する近隣諸国外相会合の開催を計画しており、同国外相がリビア駐在米国大使にその内容を伝えたところ、米国は歓迎する意向を示した。選挙自体は12月24日の実施が計画されているが、暫定政府筋は遅延するとの見通しを示している。「怒りの火山」作戦本部(暫定政府側)によると、反政府の「リビア国民軍」(ハフタル派)が支配する空港にロシア機2機が発着。これは停戦協定違反であると非難している。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―ワクチン接種が行き渡るとどうなるか、という世界のモデル国として注目されているイスラエルであるが、引き続き感染は拡大しており、新規感染者数は爆発状態である。(23日:9,948人、24日:10,087人)また、1日あたり死者数も20人から50人程度に増大している。
同国で少なくとも1回のワクチン接種を済ませた人の人口比は68.4%。また60%は2回接種を完了している他、既に160万人(17%強)が3回目のブースター接種を受けている。(出所:下記、及びアナドール通信)
<特記事項・気付きの点>
―特になし