アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
6日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ タリバン、「我々はパンジシール州の全郡を制圧し、中心部に近づいている」と声明。同州の反タリバン勢力指導者は、タリバンの撤退を条件に戦闘停止と交渉を行う意図を示す
■ ドーハからカブールへの航空便が続く。アフガニスタンの空港再稼働支援と人道支援物資搬入のため。米はカタールが空港を整備して数日中に国際線の運航再開を可能にすることに期待
■シリア政府軍のダラアでの攻撃激化で死傷者が出た後、露が介入。地元筋によると、ダラアの住民代表らと政府が以前の合意に復帰
■ギニア軍の特殊部隊司令官、国営テレビで「憲法停止、政府と議会の解散、国境閉鎖」を宣言。同 部隊がコンデ大統領を拘束。AUはこれを非難、大統領の即時解放を要求
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―シリア政府軍が南部ダラア・バラドの諸地区を激しく砲撃し、オマリー・モスクを地対地ミサイルで攻撃するに至った。シリアの革命が2011年に同モスクから始まったという経緯がある。2018年に政府軍が露空軍や民兵集団に支援されてダラア県を制圧したが、県内の一部は、当時の停戦合意に基づいて残留した反体制派武装勢力の支配下にあった。約2か月前から政府軍がこの地域を包囲しているため、停電や水の供給停止が起こり、食料や医療サービスが欠乏している。8月31日の夜遅く、露の仲介で停戦合意が成立し、政府側が同県の全域を支配することになった。しかし、政府軍による支配の程度と反体制として戦っていた者らの武装解除をめぐる対立が起こり、この合意は今月3日に崩壊。政府軍は「ダラア・バラドの諸地区に検問所を配置し、住宅を1軒1軒立ち入り検査する」という新たな要求を出しており、反体制派と地元の名士らはこれを拒否している。
―(上記後)地元筋によると、ダラアの住民交渉委員会とシリア政府は、露の仲介で以前の合意に戻った。露はシリア政府軍にダラアから撤退させ、包囲を解除させる約束したという。その代わり、政府軍はダラアの9か所に治安上の検問所を置くことになる。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジ国防省のマーリキー報道官は「サウジ軍の防空システムは、ホウシー派が東部州と南部のナジュラーン、ジャーザーン両州に向けて発射した弾道ミサイル3発と攻撃用無人機3機を迎撃し、破壊した。その結果、子供2人が負傷し、住宅14軒が損壊した」「国防省は国土を防衛し、このような攻撃を阻止するため必要な措置を講じる」と表明した。
―ホウシー派のサリーア軍事広報担当は、同派に属するマシーラ・テレビで「我々はジッダ、ジャーザーン、ナジュラーンにあるサウジアラムコ社の施設を弾道ミサイル5発と無人機2機で攻撃した」「東部州ダンマームのラスタヌラにある同社の別の施設も無人機8機と弾道ミサイル1発で攻撃した」と発表した。ロイター通信が消息筋の話として伝えたところによると、同社は「攻撃によって被害を受けた施設はない」としている。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―タリバン政治事務所のナイーム広報担当はアルジャジーラのインタビューで、「タリバンは攻撃開始から数日でパンジシール州の全ての郡を支配し、中心部の制圧に近づいている」と述べた。また、「パンジシール州でタリバンに加わる勢力は、いかなる問題にも直面しない」として、「タリバンに加わる全ての人の身の安全を保障する」との組織の方針を強調した。
―アフガニスタン北東部パンジシール州で反タリバン勢力「国家抵抗戦線」(NRF)を率いるアフマド・マスード氏は、「タリバンがパンジシール州から撤退したら、戦闘を停止して交渉を行う用意がある」と声明した。
―タリバンのナイーム広報担当は、「マスード氏は2週間前にタリバンの和平案を拒否した。もはや彼と交渉するべきことは何もない」と表明した。また、「新政府樹立に向けた努力は続けられている」として、数日中に政府の陣容を発表する可能性に言及。タリバンのアクンザダ指導者は国家の「首長」に就任する見通し。首相が誰になるかは未定だという。
―地元消息筋によると、パンジシール州のNRFは、同州のドランサンクにある橋をタリバン戦闘員千人余りが渡った後に爆破し、彼らを包囲した。NRFは「タリバンがパンジシール渓谷への封鎖を解除して、戦闘を停止しなければ、これらの戦闘員を全滅させる」と迫っている。
―アフガニスタンで国内線の運航が再開。カンダハルとカブールの両空港にヘラート発の商用機が到着した。
―クレイン米大統領首席補佐官はCNNのインタビューで、「米はカタールが近日中にカブール国際空港発の国際線の運航再開に成功することを期待する」「アフガニスタンに残っている米国民は約100人。バイデン政権は希望者の退避のための取り組みを続ける」と述べた。
―米のオースティン国防長官とブリンケン国務長官は5日、ドーハを訪問する。国務省の声明によると、国務長官はカタールのタミーム首長や高官らと会談し、米国民やアフガン人がカタール経由で安全に移動できるよう支援を提供したことへの謝意を示す予定。アフガニスタンからの退避作業の連携や地域の他の優先課題についてカタール側と話し合うという。また、米国防総省の発表によると、国防長官のカタール訪問は、アフガニスタンからの退避作業を支援した諸国に謝意を表するための湾岸諸国歴訪の一環として行われる。
―カタールのタミーム首長は、ドーハを訪れたディ・マイオ伊外相と会談し、アフガン情勢を始めとする地域内外の主要な最新情勢を協議した。伊外相は首長に対し、伊国民のアフガニスタンからの退避作業を円滑にするためにカタールが演じている役割とその努力への感謝の言葉を述べた。伊外相はカタールのムハンマド外相兼副首相とも会談し、後のツイートでこれを「生産的な会談だった」と評した。両者はアフガニスタンの政治状況の最新情勢をめぐって話し合ったという。伊外相はまた、アフガニスタンからの安全な移動(トランジット)の保障と人道支援物資提供でのカタールの努力に対する評価をツイートで改めて示した。
―カタール国営通信によると、タミーム首長はパキスタンのカーン首相から電話連絡を受け、両国関係及びアフガン情勢等の地域内外の最新情勢をめぐって協議した。
―アフガニスタンへの緊急人道支援物資を積んだカタールの航空機が5日、カブール国際空港に到着した。カタールの慈善団体「カタール・チャリティ」と同国の赤新月社が提供した物資。駐アフガン・カタール大使によると、同国からの支援物資の航空便の到着は今後数日間続く予定。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―ギニア軍のドゥムブヤ特殊部隊司令官は国営テレビで声明を発し、「コンデ大統領の拘束・解任、憲法の無効化、憲法に由来する国家機関の解散、政府の解散、陸上国境の閉鎖」を実行すると発表。SNSで公開された動画には、大統領が特殊部隊に拘束されている様子が示されている。一方、同国国防省は「大統領警備隊は、離反した兵士らの大統領宮殿への攻撃を阻止した」「治安部隊が秩序回復に取り組んでいる」と声明。コンデ大統領が2期を経て、国民投票で改憲して再出馬し、3選を果たしたことを「不正」「憲法違反」として認めていない多くの人々は、首都コナクリの路上に繰り出して大統領解任を祝った。一方、AUと国連事務総長はこの軍事クーデターを非難し、大統領の即時解放を要請。カタール外務省もギニアでの軍事クーデターと大統領拘束を非難し、対話による危機解決を呼びかけた。
エリコの目
―リビア当局はカダフィの三男・サーイディを釈放した。これより先、ドベイバ首相はカダフィ部族の代表団の訪問を受けており、首相の指示によるものとみられる。サーイディは2011年の革命後ニジェールに逃亡していたが、2014年に送還され、公金横領、殺人等の容疑がかけられていた。しかし、2018年にリビアの裁判所は無罪を言い渡していた。最近、兄のサイフルイスラムが生存とリビア政界への復帰希望を発表しており、動向が注目される。(アラビー・ポスト)
中東の新型コロナ動向
―エジプト保健当局は、同国の感染状況が「第4波」に向かっているとして、国民にワクチン接種のための登録を急ぐよう呼び掛けている。保健省は、全国に512の接種センターを開設し、「アストラゼネカ、ジョンソン&J、スプートニク、シノヴァック、シノファーム」の各ワクチンが用意されているとしている。当局は、予防措置が不十分ないくつかのモスクの閉鎖を命じた。(アッシャルクルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし