アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
10日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米のアフガン撤退後初めて、ドーハでアフガン政府と米が直接協議。アフガン側は「単独でISに対峙することができる」と強調。米は「米国人のアフガン退避の安全確保が優先事項」とする
■ スーダン東部の港の閉鎖が4週目に入る。ベジャ部族長評議会は、「トロイカ」に直接連絡を求める。暫定政権の文民側は「政権内の一部勢力が東部の危機を利用している」と非難
■ イラク当局、前倒し議会選の投票開始を数時間後に控え、空陸の出入り口の閉鎖を発表。大統領は「選挙を過ちを正すための愛国的瞬間とするよう」呼びかけ
■ リビアのトリポリにある収容所からの難民逃走から2日目、内務省は国際機関に難民を帰国させるための支援を要請。UNHCRは、トリポリ事務所の業務を停止
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラクで10日、前倒しされた国民議会選挙の投票が行われる予定。これに先立ち、投票の安全確保のために各地で治安措置が強化された。最高選挙安全委員会は、投票前日の夜から翌日の早朝まで国の空陸の出入り口を閉鎖すると決定した。また、各県の出入り口も閉鎖されるほか、薬局と食料品店を除く商店・レストランも閉鎖される。サーレハ大統領は、「議会選挙は、能力ある国家を建設する機会だ」とし、「これを、誤った道筋を正し、汚職を含む大きな課題に立ち向かうための愛国的瞬間とするよう」呼びかけた。
―レバノン国営電力会社は、「燃料の枯渇により北部のデイル・アンマール発電所と南部のザハラーニー発電所が操業を停止し、全土で停電となった」と明らかにした。その後、レバノン軍が両発電所の操業再開のために軍の戦略備蓄の燃料6百万リットルを提供することに合意した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメン外務省は、「サウジ領土に対するホウシー派の攻撃は戦争犯罪に相当するものであり、サウジの安全・安定と同国の領土の安全を守るためにあらゆる必要な措置を取るべきだ」「そのためには、国際社会が組織的な侵略行為を停止させるための明確かつ抑止的な立場を示し、これを行った者たちを処罰する必要がある」と指摘した。
―サウジ主導の同盟軍は、「サウジの防空システムが、ホウシー派がサウジ南部に向けて飛ばした爆弾を積んだ無人機1機を迎撃・破壊した」と発表した。一方、ホウシー派は「同盟軍が、マアリブ県各地で41回、ジャウフ県各地で6回の空爆を行った」と発表した。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―タリバンが樹立したアフガニスタン暫定政府のムッタキ外相代行率いる代表団(外務省・文化省の代表と情報機関の長)が、米軍のアフガニスタン撤退後初めて、ドーハで米代表団(国務省・国際開発庁・情報機関の代表者)と直接会合した。ムッタキ氏は、「両代表団は、米・アフガニスタン間に新たなページを開くことを協議した」「アフガニスタン代表団は米側に、アフガニスタンの領空主権を尊重し、アフガニスタンの内政に干渉しないよう求めた」と明らかにした。これより先に、米国務省はアルジャジーラの質問に対し、「今回の会合は、タリバン政府の承認や同政府への正統性の付与に関わるものではない」と述べていた。米側は、「アフガニスタン領土を米やその同盟諸国に対する攻撃の起点として利用させないという保証をさせるため、タリバンに圧力をかける」としている。
―米国務省は、「米の優先事項は、アフガニスタンからの脱出を希望する米国人やアフガン人の安全な通過にある」と強調した。
―AP通信によると、シャーヒーン・タリバン政治事務所広報担当は「アフガニスタンでのIS封じ込めのために米と協力することはない」「タリバンは、単独でISと対峙することができる」と述べた。
○ マグレブ情勢
―リビア内務省は、「首都トリポリ西部ゴート・シャアール地区にある政府の難民(不法移民)収容所から難民数百人が逃走する事件が発生し、(その際の押し合いなどの混乱で)難民1人が死亡、数人が負傷した」と発表した。同省は、国際機関に「難民を自発的に帰国させ、迅速に国外に退去させるための支援」を求めた。これより先に、IOMは8日、「難民が同収容所から逃走した際に発砲を受け、6人が死亡、少なくとも24人が負傷した」と発表していた。トリポリのUNHCR事務所の前には、同収容所での待遇の悪さから逃走した難民多数が「リビア国外へ退去させるよう」求めて集結、同事務所は無期限で活動を停止した。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン東部のベジャ部族長高等評議会の報告者は、「評議会は、スーダン東部問題の解決に向けた国内外からのすべての提案を歓迎する」とした上で、「評議会は、この地域の歴史的権利を譲ることはない」と述べた。また(スーダン和平に関与してきた米・英・ノルウェーの「トロイカ」が「東部の封鎖」を解除するよう呼びかけたことを受け、)ティルク同評議会議長は「トロイカ」に対し「東部閉鎖の問題について、一方(政府側)の話だけを聞くのではなく、我々と直接連絡を取るよう」求めた。
―ベジャ部族長高等評議会による紅海州の諸港の閉鎖は4週目に入り、ポートスーダンとハルツームを結ぶ道路と鉄道の閉鎖も続いている。これらは、昨年10月のジュバ和平合意に抗議して(同合意の東部に関する規定の破棄などの)同評議会の要求の実現を目指すもの。こうした中、シェイク産業相は、アルジャジーラに対し「首都ハルツームにはパン製造のための小麦が1日分しかない」と述べた。
―ユースフ・スーダン内閣担当相は、「東部の閉鎖が文民主導の暫定政権を圧迫するに至った」「暫定政権内の親クーデター勢力が、国民にクーデターを受け入れさせる準備として国内の危機を利用しようとしている」とした上で、「いかなるクーデターの試みにも対抗する」と強調した。
―EU加盟の12か国(オーストリア、ギリシャ、ポーランド、ハンガリーなど)は(7日)、欧州委員会に「国境に難民の流入を防ぐための壁やフェンスを建設するための資金提供」を求めた。この要請に関する共同書簡を受け取ったヨハンソン同委委員(内務担当)は「これら諸国には国境に壁を建設する権利がある」とした上で、「本当は、同委が改革案として提示した『移民・難民に関する欧州協定』に関する提案に注目すべきだった」と指摘した。
エリコの目
―英国では、物議を醸したサウジ投資ファンドによるサッカー・プレミアリーグの万年下位チーム「ニューカッスル・ユナイテッド」の獲得がなり、話題になっている。チームは早速7人の世界的スタープレイヤーを高給でスペイン、イタリアリーグ等から引抜き、1月に「ニューカッスルの革命」を起こす考え。(スカイニューズ・アラビア)
―「beIN Sports」の視聴解禁をサウジが表明した翌日にニューカッスル買収の成立が発表されたのは偶然でない。また、英国市民がサウジ投資ファンドを歓迎する事で、サウジ(皇太子)は、カショギ暗殺事件を「スポーツ洗浄」した形。暗殺団を乗せた特別機のオーナー財団は、許された。(中東研究家Kristian Ulrichsenの論説)
<特記事項・気付きの点>
―特になし