アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
11日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イラクで前倒し議会選挙の開票作業が続く。選管は「開票結果は24時間以内に発表する」と述べる
■ アフガン政府代表団、ドーハでの米代表団との会合を「実りあるものだった」と評し、これにより同政府の国際的承認に道が開かれることを期待。同代表団は、EU代表団とも会合へ
■ チュニジアの首都で、治安部隊が集中配備される中、サイード大統領の特別措置を拒否し、憲法の維持を求めるデモ。これと時を同じくして、政治家らの軟禁措置が解除される
■ イエメンのアデン県で、同県知事と農業相の車列を狙った爆発。両者は無事も他の6人が死亡
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラクで10日、前倒し議会選挙の投票が行われ、開票作業が続いている。選挙管理委員会は、「投票は大きな違反もなくスムーズに行われた」と確認し、「開票結果は24時間以内に発表する」としている。EUなどの国際選挙監視団は、「各地での投票率は低い」との見方を示した。
バグダッド支局長のレポート:治安・技術的には投票はスムーズに行われた。小さな技術的問題は発生したが、選管によれば、結果に影響を及ぼすほどのものではない。ただし、大きな問題は投票率だ。通常は、投票終了直後の選管の会見で投票率が発表されるが、今回はそれがなく、11日になるものと見られる。投票率発表の遅れが今後発表される数字への疑いを引き起こす可能性があると見る向きもある。多くの指標や観測筋は、投票率は低かったと指摘している。選挙活動の始めから、ボイコットを呼びかける声が高かったことも理由の1つだ。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメンのアデン県タワーヒー郡の入り口で、ラムラス同県知事とソコトリー農業水産相(どちらもUAEが支援する南部移行評議会の幹部)の車列を狙って自動車爆弾が爆発した。両者は無事だったが、随行の6人が死亡した。昨年末のアデン空港に対する弾道ミサイル攻撃以降、同県で起きた最も激しい攻撃。国営通信によると、ハーディ大統領は、この事件に関する広範な現地調査を指示した。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ドーハで行われていたアフガニスタン暫定政府代表団と米代表団の会合が終了した。2日間にわたった会合で、両代表団は治安や人道支援など多くの問題について協議した。同会合に近い筋によると、米側は「タリバン主導のアフガン暫定政府との情報調整の形」を提示し、「IS攻撃のために域内にある米軍基地を使用する可能性」に言及した。ムジャーヒド同政府情報省次官は、この会合を「前向きで実りあるものだった」と評し、「この会合が、米と国際社会による同政府承認に道を開くことを期待する」と発表した。同政府代表団はその後、ドーハで欧州諸国の代表者らと会合。EU代表団とも会合する予定。
―ムハンマド・カタール副首相兼外相は、ドーハでムッタキ・アフガニスタン暫定政府外相代行と会談し、両国間関係について協議した。カタールは、アフガニスタンで経済プロジェクトを実施する用意を表明。またカタール外相は、アフガン代表団が国際社会の代表者らと会合したことを歓迎。
○ マグレブ情勢
―チュニジアの首都チュニスのハビーブ・ブルギバ通りで、多くの治安要員が配備される中、「反クーデター国民キャンペーン」の呼びかけにより、憲法の維持を求め、サイード大統領が7月に発表した特別措置を拒否するデモが行われた。
―チュニジアで7月の特別措置により自宅軟禁の決定を受けていた要人らは、同決定解除の通知を受けたことを確認した。軟禁の決定を受けていたのは、タビーブ前国家汚職対策委員会委員長や「ナハダ運動」幹部のアンワル・マアルーフ氏、「尊厳連合」所属のユスリー・ダーリー議会議員、ムシーシー前首相の顧問らを含む政治家や議会議員など70人。内務省は、これまでのところ、この件に関する声明を出していない。
―テブン・アルジェリア大統領は、同国国営TVのインタビューで、先のマクロン仏大統領の「アルジェリアを侮辱する発言」を受けて呼び戻した駐仏アルジェリア大使の復帰の条件について「大使の復帰は、仏がアルジェリア国家に対して完全な敬意を払うかどうか次第だ」と述べた。またリビア問題について、同大統領は「同国から外国人傭兵を撤収させるよう」訴え、「リビアでの大統領選挙の実施を妨害しようとする勢力がいる」「世界の大国は、リビアでの選挙路線以外のシナリオを一切阻止すべきだ」と指摘した。更に、同大統領は「アルジェリアは、モロッコとの間の問題で、いかなる仲介も受け入れない」と強調した。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン東部のベジャ部族長高等評議会が昨年10月のジュバ和平合意の中の「東部路線」の破棄を求めて政府に圧力をかけるために実施している東部の港や道路の閉鎖が続く中、国内の経済危機が深刻化。首都ハルツームの市場では小麦や砂糖といった基本的な物資が不足し、価格が高騰。パン屋の前には市民が行列を作っている。
―ティルク・ベジャ部族長高等評議会議長は、地元ラジオのインタビューで「文民政府は悪夢だ」と評し、「スーダン国民への奉仕として同政府を打倒するよう」呼びかけ、「ハルツームで東部の公正実現のためにデモを実施するよう」訴えた。また、「現在の政党政府には東部問題を処理することはできない」とし、「状況を複雑化することなく同地域に対応する無所属の実務者政府」の樹立を呼びかけ、「ジュバ和平合意の中の『東部路線』の破棄の是非を問う住民投票を東部で実施すること」を提案した。
―スーダン政府消息筋によると、ハムドゥーク首相は10日夜、ブルハーン統治評議会議長を始めとする暫定政権の軍部全員と会合し、文民・軍人間の見解が相違する問題を含む政治情勢について話し合う予定。
―パキスタンの「核開発の父」として知られるアブドルカーディル・カーン博士が、新型コロナウイルス感染症により85歳で死去した。著名な軍・政治指導者らを含む数千人が葬儀に参列した。同博士は1998年に同国での核実験に成功。ムシャラフ政権下の2004年には、イランやリビア、北朝鮮などに核関連情報を漏えいさせ遠心分離機を売ったことを認めたため、自宅軟禁措置を受けていた。
エリコの目
―イランが北部の対アゼルバイジャン国境に兵力を集中させ、同国との間で軍事的緊張が高まっている。イランは、イスラエル軍が同国内にいると非難しているが、アゼルバイジャンは否定している。イランは、同国の核施設が度々破壊活動の対象となっているのはイスラエルの仕業と考えており、イランと深い関係のあるアゼルバイジャンとイスラエルの軍事的な関係の深まりに神経を尖らせている。(アッシャルクルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし