2021年10月12日 (No.21195)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

12日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■イラク議会選の暫定結果でサドル師率いる「サドル潮流」、ハルブーシー議長率いる「タカッドゥム(進歩)」、 マーリキー元首相率いる「法治国家連合」の3会派が優勢

■ スーダン統治評議会議長、統治への参加の基盤拡大を提唱し、移行期間から軍を排除する動きを一切拒否する姿勢を示す。東部ではベジャ族の評議会が「ウンマ党」の仲介を受け入れる姿勢を翻す

■チュニジアで、サイード大統領に任命された新内閣が就任宣誓。大統領は「議会に留まっている脅威」を理由として、例外的措置の継続に固執

■タリバン暫定政権、「独がアフガニスタンでの人道支援継続への意欲を示した」と発表。国連事務総長はアフガン経済崩壊を避けるため流動性を注入するよう呼びかけ。暫定政権の外相代行はドーハで「バランスの取れた国際関係を築きたい」と表明

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イラクの選管は、10日に実施された前倒しの議会選(定数329)の暫定結果を発表した(公表された投票率は41%)。イラク国営通信が報じたところによると、ムクタダ・サドル師率いる「サドル潮流」(シーア派)の会派が73議席を獲得してトップに立ち、ハルブーシー議会議長率いる会派「タカッドゥム(進歩)」(スンニ派)が38議席でこれに続いた。第3位はマーリキー元首相率いる「法治国家連合」(シーア派)で、37議席を獲得。サドル師は記者会見で、「国民を犠牲して権力を分け合うことはない」と強調。また、「イラクの国内問題への干渉は外交手段、そしておそらく民衆による対応を受けるだろう」と述べると共に、国家が武器を掌握すべきだとした。

バグダッド特派員:これは暫定結果だが、おそらく最終結果も大筋は変わらないだろう。勝利した諸会派は最終結果発表の後すぐに、議会の最大会派(過半数)を形成して首相を指名、内閣を形成することを目指して、連立交渉を開始することになる。これには様々なシナリオが考えられ、長く困難な交渉になると予測される。サドル師の発言には、予期されなかった内容も含まれており、次期政府の施政方針を示しているとの見方もある。彼は汚職関与者の追求を約束した上、「イラクに内政干渉しない限り、あらゆる国の大使館の存在を歓迎する」と述べ、内閣の形成等にも言及した。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―タリバンの暫定政権のムッタキ外相代行と随行団は、ドーハでウィーク独アフガン特使およびポッツェル駐アフガニスタン独特使と会合した。同政権の声明によると、独はこの会合で、アフガニスタンへの人道支援を継続する意向を示した。会合の終わりに、将来的に同様の会合を開くことで双方が合意した。

―タリバンの暫定政権のムッタキ外相代行は、ドーハで「紛争・人道研究センター」が開いたフォーラムで演説し、「アフガン政府は全ての国とバランスの取れた関係を築くことを望む」「アフガニスタンに対して外国が指示を出しても無駄だ」と強調した。

―グテーレス国連事務総長は、アフガン経済の崩壊を避けるため流動性を注入するよう国際社会に呼びかけ、同国の少なくとも1800万人に影響を与えている人道危機が悪化していると訴えかけた。また、タリバンに対しては、女性や少女らに対する約束を守るよう求めた。

○ マグレブ情勢

―チュニジアで、サイード大統領が任命したナジュラー・ブーデン首相率いる内閣が就任宣誓を行った。無所属の24人の閣僚(首相を含む10人が女性)と国家書記1人(女性)からなる。大統領は、自身が7月に発表した例外的(一時的)措置を継続する方針を発表し、「議会に留まっている重大な危険」をその理由とした。新内閣には、ミシーシー前内閣で内相を務めた後に解任されていたタウフィーク・シャルフッディーン氏が内相に復帰。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―スーダン統治評議会のブルハーン議長は軍幹部・将校らとの会議で、「解散した『国民会議』(バシール政権時の与党)を除く全ての革命・国民勢力を統治に参加させ、国民の合意を成立させることを目指す」「軍は自由で公正な選挙の実施に至るまで移行期間を守る」と述べた。また、「移行期間の局面から軍を排除しようとする試みは受け入れない」と表明した。

―スーダン政府の消息筋によると、ハムドゥーク首相は11日、移行期間を共同統治する軍人側と文民側の関係危機をめぐるブルハーン統治議会議長との会談の結果を政府の文民の閣僚らに説明する。両者は数日前に続いて10日に2度目の会談を行っていた。両者が2度の会談で対立の解決に至ったことを示す情報は流れていない。危機発生以降、軍人側と文民側の接触は完全に停止しているという。

―スーダン東部のベジャ族族長・独立地域高等評議会のテルク議長は、アルジャジーラのインタビューで「評議会はジュバ和平合意での「東部に関わる条項(『東スーダン・トラック』の部分)の撤廃について妥協しない。優先事項は暫定政府の解散だ。政府は評議会の要求と無関係の外国の計画を実行しようとして、本来とは異なる道筋を押し付けようとしている」と批判し、「全勢力を代表する、合意に基づく中央政府が相手であれば対話を行う」との姿勢を示した。また、ジュバでの合意の東部に係る条項の条件付き撤廃についての「ウンマ党」の提案を検討する姿勢を後退させた。

エリコの目

―サウジアラビアとイランの間で行われている「関係正常化」交渉がまとまる可能性が高まっている…。イラクの外交筋や専門家の見方をAFPが報じたものだが、サウジや湾岸諸国と貿易関係を強化したいイランと、イエメン戦争から足抜けしたいサウジの意向は合致しているものの、信頼醸成が遅れている現実の中で、急に合意が成立するとも思えない情勢だ。記事は今後数週間に新たな協議の場が設けられ、合意されるだろうと見ている。(アルクドゥス・アルアラビー紙)

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<特記事項・気付きの点>

―特になし

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