2021年10月13日 (No.21196)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

13日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ G20首脳ら、アフガン国民への人道支援提供の義務を共同で果たすと確認。カタール首長はアフガン問題に対して実際的なアプローチを取るよう呼びかけ

■ 米国務省、ドーハでの米・タリバン両代表団の会合を「率直で前向きだった」と評価。アフガン暫定政府は国際社会に交流と協力を要請

■イラクの諸会派・政党が議会選の結果への拒否を表明。選管委員長はアルジャジーラに「結果は暫定的なもので、異議申し立てが可能」と説明。サドル師は選挙結果に抗議する際に法的手段を取るよう求める

■スーダン治安筋、「統治評議会議長が総合情報局に政府高官らの渡航を阻止するよう指示した」とアルジャジーラに明かす

■チュニジア、「フランコフォニー国際組織の常任理事会が今年ジェルバ島で開催予定だった首脳会議の来年への延期を決定した」と発表

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イラク議会選の暫定結果発表で、「サドル潮流」が優勢となる一方、人民動員隊傘下の武装勢力の代表らを擁する「ファタハ連合」が大きく後退(47議席から14議席に減少)したことが示された。ファタハ連合はこの結果を「捏造」だと反発。「イラク・イスラム党」(スンニ派)も「この結果は正しくない。内外の勢力が協力して、我が党の候補者らを排除した」と主張した。

―イラクのハーディー・アーミリー議員(バドル機構代表)が率いるファタハ連合のアサディ広報担当は記者会見で、議会選の結果を認めない姿勢を表明し、「ファタハ連合の支持者らには、法から逸脱することなく選挙結果への憤りと拒否を表明する権利がある」としつつ、「選挙結果に対する抗議は、特定の政治会派に向けられたものではない」と述べた。

―イラク選管のアドナーン委員長はアルジャジーラのインタビューで、「発表された選挙結果は暫定的なものであり、候補者や政党には、証拠を添えて異議申し立てを行う権利がある」と話した。

―イラク議会選で躍進したサドル潮流を率いるムクタダ・サドル師は、選挙結果に反発した全勢力に自制を呼びかけ、異議申し立てで法的な手順に従うよう求めた。

―(字幕速報)人民動員隊:バグダッド北西の幹部の自宅に爆弾が投げられ、家族の2人が負傷。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―ドーハで12日、カタールのタミーム首長とヨルダンのアブドラ国王が会談し、両国関係や地域内外の諸課題を協議、意見交換を行った。この首脳会談について、タミーム首長は「ヨルダン国王とパレスチナ情勢を中心に協議した」とツイートした。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―アフガン情勢をめぐるG20の特別首脳会議が12日、(オンライン形式で)ローマで開催された。参加した首脳らは会議の終わりに、「アフガニスタンでの人道支援を現段階の優先事項にしなければならない」「アフガン経済崩壊を阻止するためにやるべきことがある」との認識で意見を一致させた。会議を主催したドラギ伊首相は、「冬の到来が近づく中、アフガニスタンで人道上の惨事が起ころうとしている」と警鐘を鳴らした。

―上記のG20の特別首脳会議に参加したカタールのタミーム首長は、アフガン問題に関して実際的なアプローチを取るよう呼びかけ、国際的な統一姿勢の下でアフガン暫定政府の責任・義務を定める行程表を作成することを提唱した。また、国際社会は人道支援等でアフガニスタンに対して大きな責任を持っていると強調すると同時に、アフガン暫定政府(タリバンの暫定政権)に対して、包括的国民和解の実現と人権尊重を新たに呼びかけた。他方、トルコのエルドアン大統領は、「トルコはアフガニスタンからの新たな難民の流入に耐えられない」と訴えかけた。

―米国務省は、ドーハで開かれた米とタリバン両代表団の会合を「率直でプロフェッショナルで、前向きだった」と評価した。

―米・カナダ・英・EUの各代表団とアフガン暫定政府の代表団が12日にドーハで会合した。暫定政府のムッタキ外相代行は、「アフガニスタンに圧力をかける政策は成功しない」「アフガン政府の弱体化は誰の利益にもならず、世界にとって負の影響が生じるだろう」と表明し、交流と協力、制裁解除を国際社会に求めた。

―カザフスタンの首都ヌルスルタンで12日、「アジア信頼醸成措置会議(CICA)」の会議が開かれ、カタール・露・イラン・ヨルダン・イラク・中国・韓国・トルコ・アフガニスタン・ウズベキスタン・エジプトの代表らが参加、アフガン情勢を始めとする諸課題を協議した。カタールのムハンマド外相(副首相兼任)は開幕会合で、「アジアにおける協調は、アフガニスタンの安全と安定を実現しなければ不可能だ」「カタールは地域の平和実現での信頼すべきパートナーだ」と述べた。ラブロフ露外相は、「NATOはアフガニスタンから撤収した部隊をアジアに再配置しようと試み、アフガン難民を地域に送り込もうとするなど、アジア大陸に緊張を引き起こそうとしている」と非難した。

○ マグレブ情勢

―「フランコフォニー国際組織(CPF)」(仏語が公用語または仏語話者が多い諸国を中心に構成、本部はパリ)の常任理事会のチュニジア代表、サリーム・ハルブース氏は「CPFの常任理事会はチュニジアのジェルバ島で11月20、21日に開催予定だった第18回首脳会議を2022年秋に延期すると決定した」と発表した。延期後も開催国はチュニジアのまま。これより前、サイード大統領が7月に例外的措置を取ることを決定した後のチュニジアの政治危機が原因で、この首脳会議が中止されたとの情報が広まっていた。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―スーダン治安筋によると、統治評議会のブルハーン議長(元陸軍司令官・元暫定軍事評議会議長)は、文民の政府高官数人を渡航禁止者のリストに載せるよう総合情報局に指示した。同リストに載せられた人々の中には、統治評議会の文民メンバーのムハンマド・ファキー・スレイマーン氏や「前政権解体」を担当する委員会の主要な委員ら、首相顧問のヤーセル・アルマーン氏らが含まれているという。ブルハーン議長の指示は、移行期間を共同統治する文民側と軍人側の関係危機の結果出されたもの。

エリコの目

―イラクの総選挙で勝利したのは「イラン」と言ってよいだろう。選挙不正等を巡り非難合戦が繰り広げられているが、どのような結果が出るにせよ、サドル派を核とする親イラン政治勢力の連合が次の政府を率いることとなる。それは今回の選挙で「敗北」した「ファタハ連合(人民動員隊)」などを含むことになる。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/259492

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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