エジプトはどうなるのか(2)
第二幕は、静けさを取り戻したタハリール広場から始まる。
いや、もし私に脚本を任せてもらえるなら、次のように書くだろう。
カイロにかつての生活が戻り始めた。大部分のカイロっ子は再び通勤ラッシュ
に揉まれて職場へと向かう。タハリール広場で見慣れた光景が復活した。バスの戸口に
ぶら下がってバス代を逃れる若者、タクシー運転手に向かって大声で行き先を叫ぶ女性
などの姿だ。しかし、その風景は以前とは少し違う。広場の中には、依然
何年も前から住み着いていたような顔をした職のない若者の集団や、その脇には、
乳飲み子を抱きかかえて物乞いの手を伸ばす貧しい女性が、かつての何倍もいる。
彼らの思いは共通だ。「ああ、祭りは終わってしまった。次はいつ始まるのだろう」
第一幕のカーテンが下りる前、主要登場人物が次のようなセリフを発した。
これが第二幕からの筋書きを知る上で、極めて重要だと思う。
1.ムバラク大統領は自ら辞任演説をせず、副大統領が「大統領は辞任した」と発表した。
2.副大統領は自分が大統領権限を継承したと言わず、全権が軍に委ねられたと言った。
3.タンタウィ―国防相・統幕議長は姿を表さず、報道官に声明を発表させ、国軍最高評議会は
「国民の間にある正当性の代わりになるものではない」(主権の存する国民の付託
を受けた政治権力ではない)とわざわざ宣言した。
すべては、第二幕を始めるための準備である。まずはデモ隊に家に帰ってもらわなければ
ならない。すべてはそこから始まる。これが依然そのままの力を有している旧体制側の目論見である。
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