チュニジア制憲議会選挙

本日23日、チュニジアで「第二共和国」の体制を決する制憲議会選挙の投票が行われます。この選挙は、その結果がチュニジアの将来を決するという意味において重要であるだけでなく、今年初め、この国から始まった「アラブの春」によって体制変革を予定している数々のアラブ諸国の行方を占う選挙として極めて重要であり注視しています。
英紙が引用したある外交官はこの選挙結果がこれからの中東情勢についての「ベンチマーク(指標)」になる、と述べていますが、まったく同感です。おそらくナハダ党が第一党になるのでしょうが、その議席数とともに、同党がどのような政治姿勢と手法を他党、とくに世俗主義諸政党との関係において取っていくか、がみどころです。
原油価格のベンチマークといえばよく知られているようにWTIがありますが、この油は極めてガソリン成分が多い「軽質油」であるがため、高い値段がつくわけです。チュニジアはアラブ世界の世俗度、社会の穏健度ではトップクラスの国ですから、この国にイスラム過激主義政権が誕生すれば、それは間違いなく極めて「軽質油」的なベンチマークとなるでしょう。宗教心の篤い国民の割合が大きく、国民所得水準も大きく遅れているエジプトがこの後を追って「選挙」を実行する予定になっていますが、その選挙結果はおそろしく「重質油」なものとなるでしょう。
かねてから指摘しておりますように、私はエジプトがすんなりと選挙で「第二共和国」に移行できるとは考えておりません。ましてや、シリアやイエメンの民衆蜂起がどのような結果をもたらすか、良くわかりませんけれども、否定的な見通ししか思い浮かびません。そのような現状に対しても、選挙の結果とその後のチュニジア政情は、他のアラブ諸国に大きな影響を与えることでしょう。
またカダフィの消えたリビアには、特に大きな影響を与えるでしょう。チュニジアとリビアはまさに兄弟のような国であるからです。
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ナハダ党の創設者であり指導者のラーシド・ガンヌーシー
日本の民主党のように、政権を取ったら選挙前公約は忘れてしまうのではないか!?

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