偶々、アルジャジーラにコメントを求められたことで、改めてネットに頼って尖閣諸島などの問題を勉強しています。FBに書いたのですが、(酩酊中に電話を受け)インタビューにお答えしている最中は変なことを言わないよう、質問を取り違えないよう、ということに気が行っていましたので(笑)、キャスターが2回「係争中の島」と言ったのを聞き逃し、言わせっぱなしにしてしまいました。
実は、アルジャジーラが尖閣の問題を報じるのは何もこれが初めてではなく、2010年に中国漁船が大暴れしたときも同じように「係争中の島」المتنازعة عليهاと言っていました。日本は「領土問題存在せず」という立場ですので、その認識は中国寄り、というより中国の見解に沿っていることになります。また、その報道の特色は、必ず、日本名と中国語での呼称を並列的に紹介することでしょう。
これは、何もアルジャジーラに独自の取材や見解があってそうなっているのではなく、単に外電の影響を受けているからに他なりません。例えば、BBCやロイターなど英語系の報道がdisputed territory, disputed islandsという表現を使っています。しかし、AFPの19日の報道ではそういう表現は見当たらず、今朝NHK-BSが取り上げたF2の報道は「日本領である尖閣諸島に中国が領有権を主張している」と、事実に即した報道をしています。背景は憶測の域を出ませんが、英字メディアが香港他中国に強いベースを持つ半面、仏メディアは東京発の合理的な報告を重視しているのでは、と思います。
つまり、こういったことは正攻法で情報発信をしていけば修正できることです。日本が実効支配している固有の領土であることの世界的な認識が確立していれば、中国は軍事力やテロ行為をもってしてもこの島を強奪することはできず、やがてそれを言い出すこともなくなるでしょう。
そんな折、国益を考えず私益を優先する人々(またはそれが国益に資すると信ずるおバカな人々)たちが固有の領土と決まっている島で国旗を振るという軽率な行為に出ました。メディアはそれ、とばかりに飛びついて大騒ぎし、両国のナショナリズムを掻き立てて一儲けしようとしています。(日中双方の活動家が記者を連れて上陸しました。何かを語る前に、まずこの異常さについて言及した上で論評する必要があるでしょう。)
日本政府・外務省は外国語で適切かつ効果的、戦略的な情報発信をする機構を持ち合わせていませんし、その意欲もノウハウもありません。我が国の安全保障を脅かしているのは、自衛隊が戦うことを禁止されていること以上に、戦略的思考に基づいた情報発信ができないことなのです。
なお、孫崎大使は「尖閣は係争地である」という基本認識を持て!と説いておられます。大使のご識見は評価できるものですが、それが外国語で世界に知らされたときに、これほど有害なものもありません。広報を考えない、前近代的な外交論の弊に堕しているといわざるを得ないのではないでしょうか。
当方の取組みとしては、日本領の尖閣諸島を欲深い中国が狙っている、またその究極的な目的は東アジアの覇権であるということを対外的に納得させる努力をしていきたいと思います。
コメント