偽装と市場監視(その1)

今年最初の「目から鱗が落ちる」ような話は、ドバイの隣国・シャルジャ(الشارقة:UAEを構成する7首長国のひとつ)で経験した。
官民が合同で組織する団体「知的所有権保護フォーラム」は、中国などで氾濫する模倣品(ニセモノ)被害から自らを守るべく主要な日本企業が結成した組織で、これまで中国政府に熱心に働きかけてきた結果、同国内での取り締まりが一定の成果を上げつつあるという。そこで今年初めて、今度はそのニセモノが世界に流通する拠点である中東ドバイに働きかけ、その流れを断とうということでミッションが派遣された。
知的所有権(حقوق الملكية الفكرية)は、大きくわけて商標権と著作権に分けられるが、今回の訪問の主眼は、商標権保護、すなわち、日本の主要メーカーのブランドに似せたニセモノの氾濫を防止する、という点におかれた。例えば、トヨタの自動車部品や、キャノンのカメラのバッテリーなどのニセモノが大量に出回っている。それは、両社の商標権を侵害して売上げに著しい悪影響を与えて
いるだけでなく、ブレーキの効きが悪くなったり、突然爆発したり、と消費者の安全にも深刻な問題が発生している。
このようなニセモノを製造しているのは(主に)中国の業者である。中東には、物を製造する、という文化がそもそも希薄であるのでニセモノを作らないが、そこは商業の民。少しでも安いものは大歓迎、ということで偽ブランド品流通の一大拠点となっている。
だから、「少し教育してやろう」、という意気込みでの訪問となった。

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