イスラエルは人種差別の国(2)

私がこの記事で言わんとしていることは大いに誤解を招く可能性が高い話である。それを敢えて話題にするのは、昨今、あまりにうわべだけの、本質についての議論や説明を欠いた報道が横行していることを憂うからである。
昨日の記事をよく読んでもらえば分って頂けると思うが、私は、イスラエルのパレスチナ人を差別する政策が良いとも悪いとも言うつもりがない。私が読者に指摘したいことは、ユダヤ人とシオニズムに関する事実である。事実の上に議論を重ねていかなければ、お話にならないのである。
私が言いたいことは、ユダヤ人がディアスポラ(離散)で2000年という長い間、差別や偏見、虐待、そしてホロコーストと呼ばれる集団虐殺という憂き目に遭ってきたという事実である。
差別されない人生を送るには、自分の国を持つしかない、と決意し、イスラエルを建国したからには、その国は差別とは無縁の国であるはずだったが、「先住民」たるアラブ人を差別せずして国は経営できないという、悲しい人間の性(さが)がある、という事実である。
その差別についての評価は、ひとそれぞれであって、南アのアパルトヘイトと同じか、それ以上だと非難したのはアラファト議長だが、「そんなことはない。近隣のアラブ諸国に住むよりよほどマシ」と考えるアラブ人も多い、という事実もある、ということである。
人類は常に差別、いじめ、格差、貧富の差、といった問題を抱えて生きていて、誰かを非難する前に自分が何をしているか、よく反省してみる必要がある、ということである。
次の事実も指摘しておかなければならない。
パレスチナ人は、アラブ諸国においても差別され、不当な扱いを受けている。湾岸諸国のパレスチナ人のほとんどは、もはや、その国で生まれた第二世代に代替わりしている。同じ言葉を話し、同じ民族であっても、パレスチナ人を親にもつ者は、アラブの他の国籍に帰化することが難しい。
私は、だからイスラエルの方がまし、と比較論でイスラエルを持ち上げるつもりがあるのではない。ユダヤ人は現在も、これからも、ずっと反ユダヤ主義と闘っていかねばならない。その戦いの拠点となる母国イスラエルを守るために、ユダヤ人は手段を選ばないところがある。そのことが、反ユダヤ主義を増幅させている。イスラエルが今後どのような政策をとっていくかは、自分たちで考えなければならない問題であるが、そのために、世界は、ユダヤ人を差別しない、国際社会の仲間として手を携えて歩むために、という観点から、積極的にアドバイスしていくべきである。

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