外交はPR

10月14日、長島昭久防衛政務官はジョーンズ大統領補佐官(国家安全保障担当)やマレン統合参謀本部議長らとワシントンで会談、インド洋での海上自衛隊による給油活動について「来年1月に法律の期限が切れる」などと継続が困難であることを伝達した。
賛否両論あるようだが、何を言おうとわが国新政権は「対米追随外交」からの脱却を旗印に掲げ、国民の支持を得てその政策を実行し始めた。このニュースは、石原慎太郎が「ノーといえる日本」と著書に書いても、なお、誰もノーと言えなかったわが国政府が始めて「ノー」と言った、歴史的瞬間を伝えているのではないか・・・、その一報を早朝のラジオで聞きながら私はそう感じた。世が世であれば、日比谷公園に集って提灯行列をしてもよいような歴史的な第一歩である。
しかし、その後は普天間基地の問題で民主党政権は内外から総攻撃に遭う。総論で賛成していたはずの大手マスコミすら、民主党には外交政策がなく、幼稚なお坊ちゃんだ、というような論調に早変わりである。
私は仕事柄、アラブのメディアが、日本のことをどのように伝えているかを観察している。また、常日頃のアラブの要路との接触を通じ、アラブを含む中東地域の人々が、日本の米国への惨めなまでの服従にあきれ返っていることを知っている。だから、このニュースがアラブ紙などでどう取り扱われるか、興味があった。
しかし、至極当然、というかこのニュースに関心を示した新聞はなかったようである。アルジャジーラも、基地の問題は小さくフォローしているが、このことについては気が付かなかった。気が付かないのは彼らの問題なのかもしれないが、私の考えではそれを知らせなかったほう、日本政府の責任だ。
外交はPRだと思う。
ひとつのことをしたら、それを世界に知らせなければならない。それは大げさと言われるぐらいで丁度いい。「日本の対米姿勢が変化し始めた。」このことをアラブのマスコミに植えつければ、たちまち大きな応援団が結成される。それが、今後の対米交渉にじわりと効くのである。
その結果が吉とでるか凶とでるか、はまた別の議論である。しかし、国民がそう決意し、その仕事を始めたのであれば、もう少しまじめにやってほしい、と思う。しかし、日本政府は昔も今もPRマインドがゼロである。国民的な病である。
ところで、そのような情報ギャップを埋めるべく、笹川平和財団の中東イスラム基金がこのほどアラビア語情報サイトを立ち上げました。弊社はそのお手伝いをさせていただいております。
アルヤバーンネット
http://www.alyaban.net
ご批判を仰ぎたいと思います。
(上記サイト保守の契約は2010年12月で終了しました。-2011.8補足-)

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