米・タリバン対話

さすが野口大使はブログ「中東の窓」で話題にされているが、英「タイムズ」紙が報じたという「カタールにタリバンの大使館設置。米が承認」のニュースは驚愕モノだ。
この報を伝えているalquds alarabi紙記事の要旨は次のとおり。
・米国は、カタールに今年末までにタリバンが政治事務所を開設する計画に青信号を出した。これは9.11事件10周年を経て、米国とタリバンが和解に向けて前進する上で大きな一歩だ。
・この措置により、タリバンと戦闘状態にある欧米各国も公式和平協議を開始することができ、10年越しの戦争終結が期待される。
・タリバン側は、行動の自由(要員の不逮捕の保障等)をカタールに求めているが、これが実現しそうである。カタールに白羽の矢があたったのは、パキスタンの影響力の及ばない地域で対話したい米の意向が背景にある。
・匿名外交筋は、事務所は「アフガニスタン・イスラム首長国」の大使館といった公館の地位を獲得するものではなく、政党事務所のようなものとなるとの予測を披露。
・米国とタリバンの事前秘密対話はカタールとドイツで行われていたが、その内容が漏れたため、崩壊した。対話の秘密保持は(特に米国にとって)大前提。
歴史は繰り返す。
小生がチュニジアで「アラファト番」をしていたとき、「米・PLO対話」が開始され、その数年後にオスロ合意が成立した。上記の話は、そのときの両者の立場、振る舞いにそっくりである。政治の行方は常に偶発的な事件によって左右されるため、年内とされるこの事務所の開設が絶対確実とまでは言えないが、このニュースが示唆している米・タリバンの対話は、近い将来間違いなく正式発表されて開始されるだろう。それは戦況の不利と、世界を震撼させている金融不安を前に明らかだ。アメリカという国の外交が、どれほど節操のないものか、よくわかる。

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