旧聞に属するが、6月22日に起きたトルコ空軍機のシリア領空侵害撃墜事件は、シリア情勢の転換点となるかもしれない(=トルコとNATOの介入を招くかもしれない)重大事件として衝撃が走った。しかし、その真相が明らかになるにつれ、報道は立ち消えになっている。亡くなったトルコ空軍将兵には気の毒だが、状況から、どう見てもこの事件は、トルコ機がぼんやりピクニックしていて野つぼに落ちたようなものに見えるのである。
領空侵犯に対する防衛というと、すぐインターセプター(迎撃機)や地対空ミサイルによる攻撃が浮かんでくるが、撃ち落としたのは「イラン製機関砲」であったとのことだ。それは、領海上の艦船から放たれたものではなかった。海岸の高射砲拠点からのタマが届いたのだ!
前日には、シリア空軍戦闘機がヨルダンに亡命する事件が起きていた。このような場合、シリア空軍が緊急警戒体制を敷き、識別を変えたり(*)、レーダー監視を強化したりするのは当然で、そのようにシリア側が非常警戒でピリピリしているときに、のんびりと領空侵犯をしていて撃たれないと思うのはあまりにボケている。トルコも、面子があるので一旦は握り拳を振り上げざるを得なかったが、NATOの会議で「全面的な支持」声明をもらったが上出来、これ以上は恥ずかしくて話題にできない、というのが実際だろう。あるアラブ紙の論調に、「イスラエルの飛行機は、シリア領土奥深くまで侵入し、核開発施設と思しき施設の爆撃に成功しているのに、トルコ機だけは撃ち落とされた、というのも疑問が残る」とあったが、あまりにお粗末である。
インターネットに、撃墜の瞬間を捉えた、という映像が公開されている。「トルコ機が墜落する瞬間を捉えることができなかったのは残念だったが、この目で見たのです!」と作者はコメントを書いている。もちろん、アサド政権支持者がアップしたものなので、「創作」である可能性もなしとしない。アサド政権の完全なウソ映像である可能性も考えつつ、現場の雰囲気が伝わっているのでご紹介したい。
http://www.youtube.com/watch?v=oMf5EKEjfas&noredirect=1
(*)軍事専門家によると、航空機が亡命すればあらゆる情報が敵にわたるため、「識別」を変えるのは常識である。(サッカーで、ユニフォームの色で敵・味方を区別しているのと同じです)
コメント
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パイロットは実は無事脱出していて、トルコはシリア攻撃の口実がほしくて、わざと危険なピクニックを・・・
・・・と、中東をウオッチしていると、どうしても陰謀論に走りたくなりますね。前回シャフィーク当選をほのめかして、大外れした者です…失礼いたしました。
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中東ウォッチャー様
シャフィーク氏は惜しかったですね。
わたしもハラハラしていました。