いすゞ自動車のサウジアラビア現地法人Isuzu Motors Saudi Arabia(IMSAC)は、同国東部地区ダンマンの第二工業団地内にある。12日、そこにアッラビーア商工相ほかサウジ側要人、日本側関係者、来賓など多数を集めて工場開所式が盛大に行われた(同社プレスリリース)。
今朝偶々「アルイフバーリーヤ」チャンネル(国営TV)を視ていたら、「サウジアラビアで初の『Made in Saudi Arabia』自動車!」という触れ込みで、この祝賀会の模様を大きく報道しているのが目にとまった。開所式で発表されたサウジアラビア国産第一号車は、いすゞの中型トラックである(写真)。同社プレスリリースによると「フォワード」と呼ばれる型式のようだ。初年度は600台の生産を計画、その後大型、小型と順次車型を増やし、将来的には湾岸諸国への輸出も視野に、年間25,000台規模の生産を目指すという。
アジア人労働者だけでなく、是非ともサウジアラビアの若者が多数生産現場に関わることができるようプロジェクトを進めてもらいたいものだと思う。モノ作りの伝統のない同国として画期的な出来事であることに間違いはない。アッラビーア商工相はインタビューに対し、「歴史的な偉業だ」と答えていたが、事実、その通りだ。その第一号車が日本車であったことは私達の誇りでもあり、サウジ国民と共にお祝いしたいと思う。
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このニュースを見ながら思い出したのは、20年近くも前から16年前ぐらいまで、私がアラブの賓客と繰り返していた某自動車メーカーの本社工場等への訪問である。
わたしのお客さんたちは、口々に「湾岸にはものすごい量の貴社製自動車が輸入されている。なぜ現地生産しないか!」と尋ね、そして進出を促していた。これに対し対応した担当者は「たくさん買っていただきありがとうございます。しかし、あなた方にとっては大量と思われるかもしれませんが、世界シェアで言えば、中東全体で言っても5%に過ぎないのですよ」と具体的な説明をするのはよい方で、大体は、「そうですねー。検討するように上の方へ言っておきますか〜。」といった反応で、バカにした笑いが後ろから聞こえてくるような態度だった。「その程度の市場へ」、「中国やBRICSが伸びている今、誰がリスクの塊のような中東に進出するか」、という認識が支配的だったのではないか。
もちろん、乗用車とトラックでは事情が異なるのであろうが、いすゞは、早くから中東北アフリカ地域で地道に活動している会社のひとつである。上記の工場訪問をする前、わたしがチュニジアに駐在していた時から、いすゞは現地にその足で立っていた。
世界的な不況と金融危機の中、今やオイルマネー有り余る湾岸地域へ詣でる日本企業が押すな押すなの状況である。時代はあっと言う間に変わるものだ、と感じた。
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